エブリシング・イズ・ゴーイング・トゥ・ビー・トロ＃３/全てがトロになる③（完結）

劉度 @arther456

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【全てがトロになる】③

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目を覚ますと、雲一つ無い青空が見えた。体は僅かに揺らめいて、自分が波の上にいることを知る。気を失うほどの頭痛は、嘘のように収まっていた。「赤城さん、起きた？」ちゃぷん、と音がする。見れば人魚の提督が、赤城を抱えて泳いでいた。1

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「提督……」「立てる？足が治ってきてるから、泳ぐの辛くなってきたんだけど」「すみません、艤装とのシンクロに異常があるみたいで、動けないみたいです」「そう……じゃあ、船まで頑張る」提督は再び『蔵王』を見据えて泳ぎだす。2

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「マグロはどうなりました？」「大体片付けた……少し、取り逃がしちゃったけど」アルバコアを燻り出した後、提督はなおも逃げる知性マグロたちを追撃していた。だが、海上で何かが爆発四散した後、海中に気絶した赤城が落ちてきたので、追撃をやめて彼女を助けたのだ。3

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「提督、体は大丈夫ですか？」「勿論。いくらなんでも丸腰のマグロ相手に遅れはとらないよ」「そうではなくて、その尻尾」「これ？アルバコアがやられたから、すぐに治るって妖精さんが言ってた」マグロ化魔力を放っていたアルバコアが死んだことで、提督たちのマグロ化も治りつつあった。4

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「それより赤城さんこそ大丈夫？ボロボロだよ？」「ええ、赤城は大丈夫ですから安心して下さい」「え？」おかしな言葉をかけられて、提督は気づいた。彼女が纏う雰囲気の違いに。「あと、この勝利で慢心していてはダメ。索敵や先制を大事にしないと。またマグロに奇襲されたりしてはいけませんよ？」5

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その一言で、提督は全てを察した。「……肝に銘じておきます、天城さん。でも妹さんはしっかりやってますから、無理に出てこなくても大丈夫ですよ？」「分かってます。今回は赤城に悪い霊がとり憑いたので、緊急出動です」赤城の顔が微笑む。6

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@SaTMRa ＼期待に答えてみせます／　具体的に何をするかは不明の模様

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「悪い霊って……いや、あれはどう見てもニンジャ……」「ニンジャはいない。いいですね？」「アッハイ」有無を言わせぬ天城の声に、提督は逆らえなかった。二人を見つけた『蔵王』から内火艇が迎えに来ていた。7

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【エブリシング・イズ・ゴーイング・トゥ・ビー・トロ】＃３

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ネオサイタマ。分厚い雲に空は覆われ、重金属酸性雨が降り注ぐ。PVC傘で身を守りながら、キシハダとチョーシは街を歩いていた。キシハダが知っているジャンクパーツ屋に、モーターヤブの残骸の見積もりを依頼するためだ。「こっちです、ハイ」チョージが先を歩く。1

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「ザッケンナコラー！」「スッゾオラー！」行き先から合成ヤクザクラクションが聞こえてくる。見れば黒煙が上がっていた。交通事故のようだ。警察が道路を封鎖している。「回り道、か？」キシハダの問いに、チョーシが頷く。二人が野次馬に背を向けた時だった。2

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「ニンジャナンデ！？」突然、群衆の中から絶叫が上がった。「ニンジャ？」「アイエッ？」「落ち着いて下さい！ただの事故です！」「ナンデ？ニンジャナンデ？」小さなざわめきが、野次馬の中に広がっていく。果たして彼らはあの事故の中に何を見たのか。キシハダとチョーシに確認する術はない。3

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「船長、ニンジャって……」「気にするな。ニンジャなんていない。いいな？」「アッハイ」道を戻ろうとキシハダが振り返ると、後ろから歩いてきたトレンチコートの男とぶつかってしまった。「スミマセン」「いえ、お構いなく」奥ゆかしく謝罪し、キシハダは横を通り抜ける。4

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その時、ふとキシハダは既視感を覚えた。今の目を最近見たことがある。あのマグロ溢れる海で。慌てて振り返るキシハダだったが、今さっきすれ違ったばかりの男は人混みの中に消えていた。遠くで、赤黒い風が吹いている気がした。5

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【エブリシング・イズ・ゴーイング・トゥ・ビー・トロ/全てがトロになる】終わり