体罰と教育~アリス・ミラー『魂の殺人』より

散逸防止のためのメモ
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アリス・ミラー_bot @alice1923miller

あれほど素晴らしい立派な父親であり教育者である人が実は自身真実に忠実であることができず、そのためにいっそう子どもを苦しめているのだなどということを想像できるのは、精神分析をやったことのある人だけです。(アリス・ミラー「魂の殺人」)

2014-01-05 12:11:15
アリス・ミラー_bot @alice1923miller

ですからこのかわいそうな子供は善良な大人の傍らにあって自分はなんと悪い子供なのだろうと思わざるを得ないわけです。ところで先刻のコンラート君の父親はどうなのでしょう。あの父親の中にももしかすると現代の多くの父親の悩みと同じ悩みが写し出されているのではありますまいか?

2014-01-05 13:11:07
アリス・ミラー_bot @alice1923miller

「私は、息子に決して手を挙げまいと決意していたのであったが、しかし残念ながら、そうはいかなかった。ほど経たぬうちに、どうしても鞭をふるわなければならない事態に立ち至ってしまったのである。事件の経緯は次の様であった。小さいクリステルが家に遊びに来、人形を持ってきた。…」

2014-01-05 14:11:19
アリス・ミラー_bot @alice1923miller

「コンラートは人形を目にした途端あれが欲しいと言い出した。私は小さいクリステルにコンラートに人形を貸してやってくれないかと頼み、クリステルが貸してくれた。コンラートがしばらく人形で遊んだ後でクリステルが人形を返してほしいと言ったのに、コンラートは返してやろうとしなかった。…」

2014-01-05 15:11:09
アリス・ミラー_bot @alice1923miller

「私はここでどうすればよかったのだろう?もし絵本の一冊なり取って来てコンラートにそれをやり、その代わりにクリステルに人形を返しなさいとでも言っていれば、コンラートも素直に言うこと聞いたに違いない。しかしそういうやり方はその時私の頭には思い浮かばなかったし、…」

2014-01-05 16:11:13
アリス・ミラー_bot @alice1923miller

「たとえ思いついたとしても、本当にそうしたかどうかわからない。私はその時、この子もそろそろ、父親の言葉には黙って従わなければならないということを覚えてもよい時期だと考えたのである。で私はこう言った。コンラートちゃん、クリステルちゃんに人形を返すんじゃなかったのかな?…」

2014-01-05 17:11:11
アリス・ミラー_bot @alice1923miller

「いやだ!コンラートは少し声を荒げた。だってかわいそうにクリステルは人形がないんだよ!いやだ!コンラートは繰り返し、泣いて、人形をぎゅっと抱きしめると私に背を向けてしまった。そこで私は厳しい口調でコンラートに言い聞かせた。…」

2014-01-05 18:11:12
アリス・ミラー_bot @alice1923miller

「コンラートちゃん、お前はすぐに人形をクリステルちゃんに返さなくちゃいけない、お父さんの言うことを聞きなさい。そしてコンラートはどうしたか?あの子は人形をクリステルの足元に投げつけたのである。…」

2014-01-05 19:11:07
アリス・ミラー_bot @alice1923miller

「神よ、私はなんと驚いたことか。もし私の廏舎いる一番いい牛が死んでしまったとしても、これほどまでに私を驚愕させたりはしないであろう。クリステルは人形を拾い上げようとしたが私はそれを止め、コンラートちゃん、すぐに人形を拾ってクリステルちゃんにあげなさい、と言いつけた。…」

2014-01-05 20:11:21
アリス・ミラー_bot @alice1923miller

「いやだ!いやだ!コンラートは鳴き声を立てた。そこで私は鞭を持ってきて、それをコンラートに見せて言った。人形を拾いなさい、さもないと鞭で打つよ。しかし息子は意地を張り続け、大声でいやだ!いやだと繰り返した。…」

2014-01-05 21:11:07
アリス・ミラー_bot @alice1923miller

「…人形を拾え、さもなければ鞭で打つぞ!ところが息子のコンラートはそれでもウンと言わなかった。そこでピシ!ビシッ!ビシッ!と二、三発打ってから人形を拾った気になったかねと再び尋ねる。いやだ!という返事。もう一度今度はかなり厳しく鞭を喰らわせ、私はもう一度言った。…」

2014-01-05 22:11:13
アリス・ミラー_bot @alice1923miller

「すぐに人形を返しなさい!…息子は人形をクリステルに返した。それから息子は大声で泣きながら母親に駆け寄り、顔を母親の懐に埋めようとした。しかし母親にも、息子をつき放し、 「お前はいい子のコンラートじゃありません」と言うだけの分別はあった。…」

2014-01-05 23:11:08
アリス・ミラー_bot @alice1923miller

「…母親が出ていってしまってからコンラートは15分ばかりまだ泣き叫んでいたが、それでもそのうち鎮まった。この出来事のため私の心はひどく苦しんだと申し上げて間違いはない。 一つには息子が憐れであり、 一つには息子の強情が私の気を重くさせていた。」C・G・ザルツマン1796年

2014-01-06 08:12:00
アリス・ミラー_bot @alice1923miller

「食事の時間になっても私は食べることができず食事はそのままにして教会に神父を訪ね、心の悩みをうちあけることにした。神父は私に慰めを与えてくれた。それでよろしかったのですよ、キーファーさん、と神父は言ってくれたのである。いらくさがまだ小さいうちなら引き抜くのも難しくありません。…」

2014-01-06 09:11:30
アリス・ミラー_bot @alice1923miller

「しかしもしも放っておいたりすると根が張ってしまいその後抜こうと思っても必ず根が残ってしまうものですからね。 子供達の悪さにしてもそれと同じ事です。…あなたが息子さんの聞き分けがないのを厳しく咎めて痛い目に会わせなさったのだって正しい事です。…」C・G・ザルツマン1796年

2014-01-06 10:11:29
アリス・ミラー_bot @alice1923miller

「…子供たちが母親にぶたれてもなんともないのはそのためなのです。母親と言うものは、子供を本当に痛い目に会わせるだけの勇気を持っておりませんから。それにどれほど酷い折檻をしてみても何の効果もない子供がいるというのも、実はそのためなのです。」C・G・ザルツマン1796年

2014-01-06 12:11:18
アリス・ミラー_bot @alice1923miller

「…家に戻られたらコンラートちゃんに色々こまごまと命令なさる事です。長靴やら靴やらパイプを持ってこさせたりまた持って行かせたり、…子供は何も言わずに言われた通りに何でもするでしょうしそうして従順を学ぶことになるのです。」C・G・ザルツマン1796年よりKR158頁以下から再引用

2014-01-06 13:11:23
アリス・ミラー_bot @alice1923miller

神父様の慰めーここで言われている事は古臭いでしょうか? 1979年という年に、ドイツ人口の三分の二は罰として子供を鞭で打つことに賛成なのだと聞かされていたのではなかったでしょうか?イギリスでは鞭打ちはまだ法的に禁止されておりませんしイギリスの寄宿学校では今でも鞭が使われています。

2014-01-06 14:11:31
アリス・ミラー_bot @alice1923miller

しかし子供の受けるこのような屈辱をいったい誰が支払わなければいけなくなるのでしょう。イギリスの植民地はもはや昔日の面影を残していないのに。それにかつて生徒だった人すべてが教師になるわけではありませんから、教師になって恨みを晴らすというやり方もできない人の方が多いのですが… 。

2014-01-06 15:11:12
アリス・ミラー_bot @alice1923miller

<総括>以上の引用のねらいは、全体主義に限らず、さまざまなイデオロギー集団になんらかの形で姿を現している一種独特の姿勢を明示することにありました。

2014-01-06 16:11:19
アリス・ミラー_bot @alice1923miller

弱いものである子供を軽視し迫害する事および生命力豊かに創造し情感に浸る様なところがもしあればそれが子供の内部にある場合であれ自己自身の内部にあるものであれ必ず抑圧すると言うやり方は、我々の生活のあまりにも多くの領域で行われており、…

2014-01-06 17:11:13
アリス・ミラー_bot @alice1923miller

…私達はもはやそれに不感症になってしまっていると言ってもかまわないほどです。人により立場によって熱意も違えばやり方も違うとは言え、しかしほとんどどのような人達にも子どもらしさ、すなわち弱く、力なく、頼りない性質とはでき得る限り早くおさらばして、…

2014-01-06 18:11:23
アリス・ミラー_bot @alice1923miller

…なんとか大人らしい自立したしっかりした性質になり、人に尊敬してもらおうとする傾向があります。 自分の子供の中に子どもらしい性質を見つけると、大人は自分の時と同じやり方でそれを潰しにかかり、それを「教育」と名づけるのです。

2014-01-06 19:11:11