2014年1月10日

同調圧力の起源

日本は「出る杭は打たれる」と言われ、それが日本の古くからの民族的伝統だと信じられている。しかし「普通」からずれたら大変なことになる、という同調圧力は比較的歴史が浅いように思われる。その起源を考えてみた。
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shinshinohara @ShinShinohara

日本社会は「出る杭は打たれる」であり、みな同じ行動を取るよう強制する「同調圧力」が強いと言われる。そして、その同調圧力は昔から存在する日本の伝統であるかのように考える人も多い。だが、おそらく同調圧力は戦中の大政翼賛運動に起源し、歴史は古いとはいえないと思われる。

2014-01-09 19:01:05
shinshinohara @ShinShinohara

「「普通の子」の起源」http://t.co/5HN1tikuf6でも述べたように、戦前は「普通の人」「普通の子」という考えが成り立ち得なかった。身分も違えば考え方もバラバラ、差別はダメという意識もなかった。そんな状況では「普通」がなく、同調圧力も発生しようがなかった。

2014-01-09 19:16:06
shinshinohara @ShinShinohara

しかし戦中になって状況が一変する。軍国主義が強まり、国家危急の時に反抗するものは「非国民」と罵られ、同調を強く求められた。おそらくこれが、日本の歴史上初めて全国民的に同調圧力がかけられた時だった。

2014-01-09 19:22:41
shinshinohara @ShinShinohara

この同調圧力は、真面目な優等生が率先した。森毅「イイカゲンが面白い」によると、軍国主義に染まったのは決して酷薄非情の人間だったのではなく、模範とされるようなまじめな人であったという。当時、軍国主義に染まらなかったのはちょっとした不良だった。だからこそ同調圧力は強力だった。

2014-01-09 19:26:15
shinshinohara @ShinShinohara

なぜ真面目で優等生の「よい子」が率先して軍国少年になったのか?なぜ当時の日本人は軍国主義に染められたのか?それには、軍国主義に人々を魅了する何かがあったのに違いない。それは恐らく「格差解消」だ。

2014-01-09 20:39:27
shinshinohara @ShinShinohara

当時は格差に対する怒りが渦巻いていた。東北の大飢饉、容赦なく取り立てられる小作料、田畑を奪われるか娘を身売りするか迫られる貧農、取り立てた小作料で都会の華美な生活を楽しむ不在地主、彼ら資産家に支えられ料亭で接待を受ける政治家たち。庶民は格差に憤慨していた。

2014-01-09 21:50:08
shinshinohara @ShinShinohara

だから青年将校たちが政治家たちを暗殺したのを庶民は歓迎した。たとえ富裕層であっても配給される食料だけでやりくりしなければならなくなり、軍国主義を応援しないものは「非国民」になった。軍国主義の精神が格差を強引に縮小するように思われた。いわば軍国主義は「精神的共産主義」であった。

2014-01-09 21:56:47
shinshinohara @ShinShinohara

富裕層であっても「非国民」と呼ばれることを恐れなければならなくなった。軍国主義は日本の歴史上初めて、全国民に「同調圧力」をもたらしたものだった。「国家危急存亡の時」というストーリーが上流階級を攻撃する手段となりうる。このことは当時の人達にとって魅力的だったろう。

2014-01-09 22:05:13
shinshinohara @ShinShinohara

この現象は中国文化大革命の時の紅衛兵とよく似ている。紅衛兵となった少年たちは毛沢東の言葉を暗記しさえすれば鼻を高くした知識人や高級官僚たちを辱めることができた。当時の日本も、軍国少年であればあるほど正義を振りかざすことができた。「正義」という同調圧力をかけることができた。

2014-01-09 22:08:48
shinshinohara @ShinShinohara

同調圧力は戦後、農地解放や高度経済成長などのおかげで実際に格差が解消される中で強化されていった。それはバブルで頂点に達した。国民の多くが財テクに熱中し、金に奔走した。同調圧力はバブルで最高潮に達し、バブル崩壊とともに弱っていった。

2014-01-09 22:15:11
shinshinohara @ShinShinohara

同調圧力は決して日本の伝統ではない。むしろ最近覚えたばかりの悪い癖だといえる。同調圧力をどうすれば解消し、かつての日本のように戻れるか。考えていくべき時期が来ているのかもしれない。

2014-01-09 22:17:25
shinshinohara @ShinShinohara

格差がもし今後も拡大するようなら、「精神的共産主義」である軍国主義が台頭するだろう。同調圧力をかけることで上流階級を一気に引き下ろそうとする動きが強まるかもしれない。そんな時代はヒタヒタと近づいている。

2014-01-10 08:27:07

コメント

mnnkaanjinno @mnnkaanjinno 2014年1月10日
バブル時代の「バスに乗り遅れるな」ってのは同調圧力じゃないと思うが。
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name @unagi_anago 2014年1月10日
そもそもの前提として、「同調圧力」はアメリカにだってあるわけで、別に日本特有のものでもなんでもない。 英語にもpeer pressureという言葉がちゃんとあるし、青少年のアルコールやドラッグの問題では、peer pressure をどうかわすかが大きな問題となってる。
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ぼんじゅ〜る・Fカップ @France_syoin 2014年1月11日
いい加減、戦前戦中の暗黒史観から脱却しないとな
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こぎつね @KogituneJPN 2014年1月11日
などともっともらしいことをいっておられるが、当時は人口流動もすくなく社会階層ごとまとまってくらしていた。当時の集落はその閉鎖性からムラ社会などとよばれ、強烈な同調圧力が存在していたのである。
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【メタ倫理学脳モード】天婦羅★三杯酢 @templa_3 2014年1月11日
そして「豆腐は白い」https://twitter.com/MAMAAAAU/status/275189901253808128 の悲喜劇がどんどんこのコメント欄にあふれることでしょう。ちょっとした”発見”をまとめただけなのにフルボッコにされるのはちょっとかわいそうな気もします。
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とげとげ @togetoge10 2014年1月11日
「このコメント欄も同調圧力だ!」とかいいだしかねない雰囲気のあるまとめだと思いました。
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張三李四 @tyousanrisi 2014年1月11日
この前提だと、身分が固定され、普通が存在した江戸時代には同調圧力が存在したんじゃないの?
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せんざトモ@タルコフ始めます!+CoD(クソエイム) @senzatomo4179 2014年1月11日
『起源』って書いちゃうからおかしいんでは?そうそう、誰も触れてないけど、『メディアの発達』も同調圧力の広まりというか一般化に寄与してんじゃないかな?同調圧力的なものは人間が集まれば大なり小なり発生すると思う。それが「社会化」したのは「新聞→ラジオ→TV」のように『同調』を伝える媒体が発達したのも無関係じゃないのかな、と。で、今はソコに『ネット』も入ってきてると。
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セオノ @Rinforzando_960 2014年1月12日
人間は群れる生き物だから、大なり小なり集団の中で決まり事や基準が存在すると思うんだけど…… それがメディアによってかつてない程大きな集団のものになったから、表出したようにも思える
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shinshinohara @ShinShinohara 2014年1月12日
unagi_anago ご指摘の通り、人種に同調圧力は存在します。それなのに日本人はなぜ同調圧力が強いという自画像を持っているのか、考えてみる必要があります。それは「普通」からずれることへの強迫観念を「全国民的に」抱くようになった、という点にあると考えています。それを分析したものとお読みください。
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shinshinohara @ShinShinohara 2014年1月12日
KogituneJPN 集団単位での同調圧力をこの論考では扱っていません。「全国民的に」「普通」からずれることの強迫観念はいつ生まれたか、という論考です。
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shinshinohara @ShinShinohara 2014年1月12日
togetoge10 そういう雰囲気を醸しているあなたのコメントもなかなかのものですね。
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shinshinohara @ShinShinohara 2014年1月12日
senzatomo4179 ご指摘通り、メディアの影響は大きいですね。インターネットが普及するまでは「活字」への信頼は強いものがありました。印刷物になるからにはかなりの信憑性があるだろう、と。全国民的な同調圧力を形成するのに、マスコミの存在は欠かせませんね。
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shinshinohara @ShinShinohara 2014年1月12日
tyousanrisi 江戸時代は身分が同じでも集落が違えば全然違う感覚を持っていたので、集落サイズを超えた階級的同胞意識は成り立っていないですね。また、小さな集落を成り立たせようとすると、「調整型人間」や「猪突猛進型人間」、「寡黙」、「饒舌」、「文字に強い」、「力自慢」など、それぞれの個性を生かす必要があります。「ムラの掟」を守る圧力はあっても、村の中にも「普通」はなかったと思われます。
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y.🍀 @yabtter 2014年1月12日
まあ実際、明治期の国家運営は総力戦へ向けた構想でもあったようですし、その後の大正や昭和にかけて人々の間に同調圧力が生じるのは「仕様」だったかもしれません。
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y.🍀 @yabtter 2014年1月12日
そういえば明治頃の徴兵検査では、合格者は「優秀な子」っていう感じだったらしいですね。そこで教養や規律、また(階級が上がらなくても後輩指導などはあった)リーダーシップを身につけて村に帰ってくる。大正から昭和へと時代が降るにつれ彼らが働き盛りを迎えて発言力が増し、時代の空気を作り上げていった、といった感じではないでしょうか。
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y.🍀 @yabtter 2014年1月12日
平成の基準からすると同調圧力って弊害の多いものとされますが、たぶん近代化に着手した頃の日本にはそんなコトより列強に負けぬ国力を身につけるのに必死だったでしょうし、むしろ身分制度に縛られた江戸時代よりマシ、みたいな感覚もあったかもしれません。
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shinshinohara @ShinShinohara 2014年1月12日
yabtter 貧富や身分を乗り越える論理として軍国主義は魅力的だったのだと思います。フィクションとはいえ「それでもラッパを吹きました」の物語は、一兵卒に過ぎない人間でも「軍神」というヒーローになれるということは、みなに英雄になるチャンスがある、という希望を与えたと思います。そのあたりのことは城山三郎「大義の末」にその空気感が描かれています。
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ChanceMaker @Singulith 2014年1月13日
ちょっと前まで、マスコミの偏見と捏造が”世論”であった時期までは、ある意味あたっていますかね。朝日新聞や東京新聞などのブサヨの反日勢力が「正義」という同調圧力をかけることができた。それをネットが崩した時代かと思いますねえ。
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こぎつね @KogituneJPN 2014年1月13日
おっしゃりたいことは大体わかりましたが、身分とか貧富の差で分断された社会の弊害に比べれば同調圧力なんて些細な問題だと思いますよ。普通の人は立場が違えばいろいろ違うことは知ってますし
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こぎつね @KogituneJPN 2014年1月13日
平等思想が軍隊よって広がったのは別に日本に限ったことではなく、欧米諸国もまた、国民国家の成立と徴兵制によってそれまでの身分制度が崩れていったですね。
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こぎつね @KogituneJPN 2014年1月13日
そもそも自分と人と比べてしまうのは、人の根本的な性質であって、社会制度がどうかわろうと存在していて、これからも存在し続けるでしょう。
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y.🍀 @yabtter 2014年1月13日
ShinShinohara 「富国強兵」の「富国」、経済的な面でも、同じく夢や希望があった時代だと思います。自分が稼ぐ行為は、地域を栄えさせひいては日本を富ませる、国家に役立つという実感を与えるものでもあったのではないかと。
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y.🍀 @yabtter 2014年1月13日
同調圧力というのは、日本を先進国そして経済大国へと成長させた原動力でもあったと考えています。国全体の足並みが揃わないと成長機会を得ても伸びが滞りがちですから。
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y.🍀 @yabtter 2014年1月13日
もちろんShinShinoharaさんが仰るような負の側面も確かにあって、それは「上手く行っていない状況」で特に顕著になりますよね。社会全体に余裕がなくなって、同調せぬ人にとって逃げ込めるニッチが減ってしまうせいだと思いますが。
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shinshinohara @ShinShinohara 2014年1月13日
Singulith 戦前の社会主義には右翼系と左翼系の両方がありました。左翼系はいうまでもなくマルクス主義。右翼系は北一輝や石原完爾など。どちらも「理想社会」をイメージし、国民全員に同調圧力をかける点では違いがありませんでした。ニーチェの超人思想に影響を受けたファシズムも国民を一色に染め上げる当時の社会思想と同様、同調圧力を求めました。
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shinshinohara @ShinShinohara 2014年1月13日
Singulith 興味深いのは、戦後、欧米の民主主義国は苦労しながらも同調圧力をかけることをよしとしなくなっていったのに対し、日本はバブル崩壊に至るまで「進んで」同調する傾向を持ったことです。これは1940年体制以外のロールモデルを戦後持ち得なかったことが原因しているかもしれません。
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shinshinohara @ShinShinohara 2014年1月13日
KogituneJPN 当時は魅力的に感じられたからこそ、進んで同調したのでしょうし、同調圧力をかけることもよしとしたのだと思います。しかし「同調原理主義」になってしまい、息苦しさ、不自由さが目立つようになったのが敗戦間際の日本であり、崩壊間際のソ連だったのだと思います。何事も行き過ぎは及ばざるが如し、ですね。
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shinshinohara @ShinShinohara 2014年1月13日
yabtter 当時の文献を集めたりしているのですが、大政翼賛会が始まって同調圧力が強まってもなお、当時の日本人は個性的な人が多く、まとまりは必ずしもよくなかったようです。当時のラジオで翼賛会幹部が「もう少し自由に発言できる空気でないと」と苦言を呈しています。簡単に同調する民族ではなかったようです。
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shinshinohara @ShinShinohara 2014年1月13日
yabtter 進んで同調する人が増えたのはむしろ戦後から。おそらく敗戦のショックで自信を失い、社会を再建するロールモデルが、皮肉にも翼賛会体制、いわゆる「1940年体制」にしか求められなかったのでしょう。戦中でさえ同調しきらないくせ者ぞろいの日本人が、戦後みごとに同調型になったのは、歴史上の皮肉だと思います。
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y.🍀 @yabtter 2014年1月14日
ShinShinohara 戦後に再構築されていった日本社会の姿は、敗戦の反省を加えたり、戦時中の臨時体制が一部残ったりしながらも、実は戦前に目指していた方向性から大きく外れていない気はします。臨戦態勢のために作られた制度や国民心理が割と大きく影響しているのかな、とも個人的には思います。
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y.🍀 @yabtter 2014年1月14日
ただその「戦時中の影響」というのは、意図して選ばれたというより、済し崩しに使い続けられていたのではないか、という風に考えます。消極的な選択ですね。
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y.🍀 @yabtter 2014年1月14日
同調圧力に関しても、世代によって温度差はあるでしょうけど、「他に道がないんだから」と自ら消極的に選び、また他者にも選ぶよう消極的に仕向ける形となっていったのではないかと。
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y.🍀 @yabtter 2014年1月14日
すみません長くなってしまいましたが、私のスタンスとしては「多くの人にとって、人生における選択というのは積極的自発的なものより消極的受動的なケースの方が多いのではないか」という考え方です。そしてその選択の集合が、社会の動向に繋がっている、と。
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shinshinohara @ShinShinohara 2014年1月15日
yabtter その通りだと思います。有名な話でキーボードのQWER配列は、タイプライター時代にタイプがこんがらがらないようにするための苦肉の策で、決して打ちやすい配列ではないです。しかしタイプライター時代にそれがスタンダードになると、パソコン時代になっても配列を変えられません。消極的選択は往々にして起きます。それは社会のロールモデルでも。
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んぱんぱ @crayonmarch 2014年5月1日
ここに集中する叩きコメントが同調圧力を忠実に物語っている。隣国の反日運動にそっくり。似たもの同士だよね。
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