2014年1月17日

アーサー王物語に登場する剣「クラレント」について

森瀬繚先生(@Molice)の時間潰しツイートを拾いました。
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森瀬 繚@ブライアン・ラムレイ〈幻夢境〉シリーズ @Molice

ノートPCの充電待ちの時間潰しを兼ねて、アーサー王物語に登場する剣、クラレントについて何やらTweetしてみることにする。

2014-01-16 20:35:22
森瀬 繚@ブライアン・ラムレイ〈幻夢境〉シリーズ @Molice

クラレントが登場するのは、頭韻詩『アーサーの死』です。15世紀のロバート・オヴ・ソーントンの写本として現存する作品で、『ブリタニア列王史』以降の「イギリスの素材」の系譜に連なる内容のもの。

2014-01-16 20:36:20
森瀬 繚@ブライアン・ラムレイ〈幻夢境〉シリーズ @Molice

頭韻詩『アーサーの死』によれば、クラレントははフロル卿が死んだ時に発見された剣だと説明されています。フロル卿というのは、トマス・マロリーの『アーサー王の死』などでローマ帝国からゴール(ガリア)の支配を任されていたフロロ王(総督とも)のことです。

2014-01-16 20:38:39
森瀬 繚@ブライアン・ラムレイ〈幻夢境〉シリーズ @Molice

クラレントは「剣の中の王者」と呼ばれ、アーサー王はこれを決して戦いに使用せず、傷ひとつつかないように保管しました。その目的は聖油王の戴冠式のためと説明されます。アーサー王はローマ帝国皇帝の座を目指していたと思われるので、この時に使用することを考えていたのでしょう。

2014-01-16 20:41:14
森瀬 繚@ブライアン・ラムレイ〈幻夢境〉シリーズ @Molice

アーサー王はこの剣を諸侯や貴族の叙任に使うこともありましたが、普段はウォリングフォードの武器庫に保管され、ウェーナー王妃の管理下にあったということです。

2014-01-16 20:43:27
森瀬 繚@ブライアン・ラムレイ〈幻夢境〉シリーズ @Molice

さて、ある年のクリスマスの祝祭の折、ローマ皇帝ルーシアス・アイベリアスの使者が臣従と貢納を要求してきたことで、ローマ帝国との戦争が始まります。アーサー王は、後事を姉の子であり、部屋の小姓として取り立ててきたモードレド卿に託し、ドーバー海峡を渡ります。

2014-01-16 20:46:09
森瀬 繚@ブライアン・ラムレイ〈幻夢境〉シリーズ @Molice

その後、ご存知の通りモードレド卿の謀反が起こります。彼は王位を簒奪したのみならず王妃と結婚し、あまつさえ子供を作りました。『ブリタニア列王史』以来、王妃の不倫相手がモードレドとされていたのです。頭韻詩のラーンスロト卿はといえば、普通にアーサー王に従い大陸で戦ってました。

2014-01-16 20:48:40
森瀬 繚@ブライアン・ラムレイ〈幻夢境〉シリーズ @Molice

ブリテンに取って返し、戦場でモードレドの姿を見たアーサーは、クラレントに鞘がないことから、彼が武器庫を破壊して持ちだしたのだと推測しました。この作品中ではモードレドと王妃は相思相愛であるらしいので、武器庫を管理していた王妃も、この剣の封印は解けなかったもののようです。

2014-01-16 20:50:47
森瀬 繚@ブライアン・ラムレイ〈幻夢境〉シリーズ @Molice

クラレントは、白銀色に輝く剣として描写されます。「この日、クラレントとキャリバーンがともにその事実を明示しよう。剣の切尖(きっさき)の鋭さか、あるいはその堅さか」というアーサー王の言葉があるので、キャリバーンは堅い剣であり、クラレントは鋭い剣という特徴があったのかもしれません。

2014-01-16 20:52:19
森瀬 繚@ブライアン・ラムレイ〈幻夢境〉シリーズ @Molice

その後、アーサー王とモードレド卿は一騎打ちになります。このシーンの描写は、アーサー王物語の中でも特に壮絶なので結構気に入っているのですが、割愛します。

2014-01-16 20:53:46
森瀬 繚@ブライアン・ラムレイ〈幻夢境〉シリーズ @Molice

ちなみに、頭韻詩『アーサー王の死』では、アーサー王と一騎打ちの末に敗れるローマ皇帝ルーシアスの剣の名前がフロレントとされます。対になっているとは言わぬまでも、クラレントはローマ帝国由来の剣なのかも知れません。(フロル卿は帝国配下のガリア王です)

2014-01-16 20:55:54
森瀬 繚@ブライアン・ラムレイ〈幻夢境〉シリーズ @Molice

頭韻詩『アーサー王の死』は、八行連詩『アーサー王の死』と共に、こちらの本に載っています。一応日本語訳が出たこともあるのですけれど、稀購書なので今から入手するのは困難かと。という感じで〆。 http://t.co/e645S8afDO

2014-01-16 21:01:01
森瀬 繚@ブライアン・ラムレイ〈幻夢境〉シリーズ @Molice

ちなみに、ラーンスロットのアロンダイト、ローランのデュランダルなどについてはゲーラボ連載の「幻獣&武装図鑑」の方で過去に解説しております。

2014-01-16 21:07:47

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たいあしいか @Tirthika

@Molice 是非とも単行本化をですね ( ゜ω ゜) .。oO(コンセプトがあやふやでも、連載順でいいじゃないですかね

2014-01-16 21:11:42
森瀬 繚@ブライアン・ラムレイ〈幻夢境〉シリーズ @Molice

@Tirthika 出したいんですけどねー。(-,,,-(一応、編集部的にもそう言ってくれてるのですけれど、「さて、どんな具合にまとめよう」で今のところぐるぐる)

2014-01-16 21:13:35
たいあしいか @Tirthika

@Molice 早いうちに素晴らしい切り口のまとめ方がひらめくことを祈ってます (^ω^)

2014-01-16 21:17:32

コメント

森瀬 繚@ブライアン・ラムレイ〈幻夢境〉シリーズ @Molice 2016年3月20日
この時は割愛した、キャリバーン(エクスカリバー)とクラレントの対決について、唐突にコメント欄で捕捉してみる。なお、頭韻詩『アーサーの死』においてモードレドがクラレントを用いたことがはっきり描写されるのは、アーサー王(出典作品では実子ではなく、甥を養子に迎えたとされる)との対決のみ。
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森瀬 繚@ブライアン・ラムレイ〈幻夢境〉シリーズ @Molice 2016年3月20日
戦場でついに対峙した二人。まず、アーサー王がキャリバーンでモードレドの盾を砕き、肩に傷を与えた。モードレドはそのダメージに身震いするものの、反撃してアーサーの腰のあたりの鎧と陣羽織を突き通し、半フィート斬り下げた。この傷が、アーサー王の死因となる。
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森瀬 繚@ブライアン・ラムレイ〈幻夢境〉シリーズ @Molice 2016年3月20日
アーサーは致命傷を負いながらもなおキャリバーンを振るい、クラレントを持つモードレドの手を、肘から1インチのところで切断した。そして、転倒したモードレドに組みついたアーサーは、敵の咽喉あてを引き上げてキャリバーンの刃を突き通すのである。
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森瀬 繚@ブライアン・ラムレイ〈幻夢境〉シリーズ @Molice 2016年3月20日
この一騎討ちによって戦いの勝敗は決した。致命傷を負ったアーサーは、生き残った皆と言葉を交わした後、従弟コンスタンティンに王位を継がせるなどの指示を終えた後、事切れるのだった。(湖の貴婦人らに迎え入れられるくだりはなし)
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森瀬 繚@ブライアン・ラムレイ〈幻夢境〉シリーズ @Molice 2016年3月20日
なお、アーサー王との決戦に先立ち、モードレドは実兄ガーウェインをやはり一騎討ちで倒している。このシーンでの二人の武器は、共に槍と短剣である。
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森瀬 繚@ブライアン・ラムレイ〈幻夢境〉シリーズ @Molice 2016年3月20日
作中で二人の兄弟関係について触れた箇所はないのだが、ガーウェインを倒した後、モードレドが「彼はこの世に比類ない人物です、確かに、これはよき人ガーウェイン卿です、何人にもまして快活の人、また、神の下に生を享けた最も魅力ある人」だったと告げ、涙を流しながら立ち去るという描写がある。
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森瀬 繚@ブライアン・ラムレイ〈幻夢境〉シリーズ @Molice 2016年3月20日
「邪悪なもの」「変節漢」などと地の文で形容されるものの、モードレドの言動自体は非常に穏やかで、知的な人物として描かれている。モードレドは王国の後継者とアーサーから認められていて、彼の望みに反してローマ進軍に伴わなかったこと、加えて王妃との不倫愛が謀反の要因と示唆される。
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