アーサー王物語に登場する剣「クラレント」について
- akinosora_
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ノートPCの充電待ちの時間潰しを兼ねて、アーサー王物語に登場する剣、クラレントについて何やらTweetしてみることにする。
2014-01-16 20:35:22クラレントが登場するのは、頭韻詩『アーサーの死』です。15世紀のロバート・オヴ・ソーントンの写本として現存する作品で、『ブリタニア列王史』以降の「イギリスの素材」の系譜に連なる内容のもの。
2014-01-16 20:36:20頭韻詩『アーサーの死』によれば、クラレントははフロル卿が死んだ時に発見された剣だと説明されています。フロル卿というのは、トマス・マロリーの『アーサー王の死』などでローマ帝国からゴール(ガリア)の支配を任されていたフロロ王(総督とも)のことです。
2014-01-16 20:38:39クラレントは「剣の中の王者」と呼ばれ、アーサー王はこれを決して戦いに使用せず、傷ひとつつかないように保管しました。その目的は聖油王の戴冠式のためと説明されます。アーサー王はローマ帝国皇帝の座を目指していたと思われるので、この時に使用することを考えていたのでしょう。
2014-01-16 20:41:14アーサー王はこの剣を諸侯や貴族の叙任に使うこともありましたが、普段はウォリングフォードの武器庫に保管され、ウェーナー王妃の管理下にあったということです。
2014-01-16 20:43:27さて、ある年のクリスマスの祝祭の折、ローマ皇帝ルーシアス・アイベリアスの使者が臣従と貢納を要求してきたことで、ローマ帝国との戦争が始まります。アーサー王は、後事を姉の子であり、部屋の小姓として取り立ててきたモードレド卿に託し、ドーバー海峡を渡ります。
2014-01-16 20:46:09その後、ご存知の通りモードレド卿の謀反が起こります。彼は王位を簒奪したのみならず王妃と結婚し、あまつさえ子供を作りました。『ブリタニア列王史』以来、王妃の不倫相手がモードレドとされていたのです。頭韻詩のラーンスロト卿はといえば、普通にアーサー王に従い大陸で戦ってました。
2014-01-16 20:48:40ブリテンに取って返し、戦場でモードレドの姿を見たアーサーは、クラレントに鞘がないことから、彼が武器庫を破壊して持ちだしたのだと推測しました。この作品中ではモードレドと王妃は相思相愛であるらしいので、武器庫を管理していた王妃も、この剣の封印は解けなかったもののようです。
2014-01-16 20:50:47クラレントは、白銀色に輝く剣として描写されます。「この日、クラレントとキャリバーンがともにその事実を明示しよう。剣の切尖(きっさき)の鋭さか、あるいはその堅さか」というアーサー王の言葉があるので、キャリバーンは堅い剣であり、クラレントは鋭い剣という特徴があったのかもしれません。
2014-01-16 20:52:19その後、アーサー王とモードレド卿は一騎打ちになります。このシーンの描写は、アーサー王物語の中でも特に壮絶なので結構気に入っているのですが、割愛します。
2014-01-16 20:53:46ちなみに、頭韻詩『アーサー王の死』では、アーサー王と一騎打ちの末に敗れるローマ皇帝ルーシアスの剣の名前がフロレントとされます。対になっているとは言わぬまでも、クラレントはローマ帝国由来の剣なのかも知れません。(フロル卿は帝国配下のガリア王です)
2014-01-16 20:55:54頭韻詩『アーサー王の死』は、八行連詩『アーサー王の死』と共に、こちらの本に載っています。一応日本語訳が出たこともあるのですけれど、稀購書なので今から入手するのは困難かと。という感じで〆。 http://t.co/e645S8afDO
2014-01-16 21:01:01ちなみに、ラーンスロットのアロンダイト、ローランのデュランダルなどについてはゲーラボ連載の「幻獣&武装図鑑」の方で過去に解説しております。
2014-01-16 21:07:47 ・
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@Molice 是非とも単行本化をですね ( ゜ω ゜) .。oO(コンセプトがあやふやでも、連載順でいいじゃないですかね
2014-01-16 21:11:42@Tirthika 出したいんですけどねー。(-,,,-(一応、編集部的にもそう言ってくれてるのですけれど、「さて、どんな具合にまとめよう」で今のところぐるぐる)
2014-01-16 21:13:35