#twnovel 冬元帥、参る。その2

しーな@GO2完走 @xsheeenax

吹雪が身に纏った装束の重さを全く感じさせない様子で袖を翻し、舞う。氷の襲に長袴の緋色が映える。興が乗ってくると鼻歌交じりに檜扇をぱらり。雪花が風に散らされる。「吹雪、夢中になるのはいいが少しは加減してやれ」「はぁい」冬元帥の出陣は吹雪のコントロールも兼ねていた。 #twnovel

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「冬元帥さま、私たちがほえほえしている間に同業者さんが増えましたねぇ」「誰がほえほえしとるか」冬元帥は銀髪を揺らし、雪景色のように白いマントから差し出し手で吹雪の頭をはたいた。「あ、パワハラ。泣きますよ」「またゲリラ豪雨か」「雪女なのでゲリラ豪雪です」「やめい」 #twnovel

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「元帥様は今年も意地悪ですね」氷の襲姿の吹雪が隣の長身を見上げる。流れる銀髪、白いマントに軍服姿の冬元帥は、サーベルに両手をついて下界を眺めている。「何だ、吹雪。上機嫌で雪を降らせていた癖に」「元帥様の命令ですぅ」「お前は加減を知らんからな」「私のせいですか？」 #twnovel

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天気予報という言葉は姿を消した。科学の発達で地球の天候は完璧に制御できるようになり、国連の機関「世界天候委員会」が運営を行っている。お陰でこの季節、冬元帥は雪娘吹雪を宥めるのに忙しい。「どれだけ雪を降らせるかなんて、その日の気分や舞の仕上がりで変わるんですー！」 #twnovel

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年末年始にかけて少しだけ寝込んでいた冬元帥が前線に復帰した。白いマントを払うと氷の結晶が舞う。「未だに成人の日が15日でないのは納得がいかんのだが」「まさか、元帥さま、毎年その日を狙い撃ちしてるんじゃ……」「……間違えんように前後三日程本気を出すようにしている」 #twnovel

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氷襲を身に纏う雪女・吹雪が作った氷の鏡に映る、冬の世界。白銀の世界、漆黒の夜。それを統べるは冬元帥。冬将軍よりも無慈悲に、冷酷に、色彩を塗り潰し冷たく世界の息の根を止める。 #twnovel #twnvday 「元帥さま、何かかっこよすぎない？ また将軍さま泣くよ？」「あかんか」