文学極道ガイド

詩の投稿・批評サイトである文学極道(http://bungoku.jp)で年間各賞に輝いた詩人たちの作品を紹介。 膨大なネット詩の海の中で、どの作品を読んだらいいかについて羅針盤になれば幸い。 @osamuhirota@namatamago_tori が、それぞれの詩人のお薦めの一篇を選び、批評を添える。 今のところ@osamuhirota は2005-2009年まで、@namatamago_tori は全受賞者について紹介してある。 なお、選外でも注目すべき詩人は取り上げていく。
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生卵を喰う鳥 @namatamago_tori

村田麻衣子「"コウノトリララバイ”」http://t.co/zXA3VyDkzq言葉に出来ないものを言葉で表現しようとすること、と詩作を仮に定義づける。自身の内部にある異物に対する「いとおしさ」を始めとした感情のごった煮を、音の出入れのイメージを軸に展開させた本作は、凄いと思う。

2014-02-09 00:10:13
生卵を喰う鳥 @namatamago_tori

sample「音の城」http://t.co/vkm4glSq20視覚ではなく聴覚を喚起するようなイメージを重ねて描写を行うことがあるが、本作は静謐さを丹念に描いている。眠り→夢→起床とありがちな構造に思えるが、水→砂→楽器へと展開するイメージ、そして視点の移動が美しい作品。

2014-02-09 00:54:57
生卵を喰う鳥 @namatamago_tori

鈴屋「道のはた拾遺 8.」http://t.co/uzV3DUvwvO作中にある「死が関係を単純にする」ということを表現した作品。目の前に死があり、死は解釈されることを拒む。ただのモノと化したものの前では、自分もまた同じようにモノでしかないことを、等しく降り注ぐ雨粒から感じる。

2014-02-09 01:32:30
生卵を喰う鳥 @namatamago_tori

右肩「私たちもあなたたちも、彼ら彼女らも、みな眼鏡を探す」http://t.co/6hUUsqRmSDどうでもいいことを面白く語る。どうでもいいことに徹底的にこだわることで異様な光景を垣間見せるのが本作の書き手。眼鏡を探していたら眼鏡がなかった、まるで不在が急に実在するみたいに。

2014-02-09 17:51:52
生卵を喰う鳥 @namatamago_tori

コーリャ「世界の終わり」http://t.co/ApvwE8hDH6ポップなポエム。各行の最後に「(世界の終わり)」と設置する。あとはセンスのいいフレーズを何行かセットする。それだけ。でも、世界は私に無関心、って感覚を知っている人なら、この詩のエッセンスが少しわかるとおもうんだ。

2014-02-09 18:19:42
生卵を喰う鳥 @namatamago_tori

る「僕とマーメイド」http://t.co/kN6Pi3DjyF日常に異物を外挿することで普段目にしているものへ読者を注視させる。本作の最終行の美しさは、語り手と人魚の日常を淡々と描いた先だから生じたもののように思ふ。抒情を強調し、語り手の背後の作者を捏造する書き手の佳品。

2014-02-09 19:18:41

選外

生卵を喰う鳥 @namatamago_tori

Nizzzy「フレーミング・セックス」http://t.co/YjC1TfAXQX活字で文章を書くことが普通になるにつれ文中に記号を混入させることが多くなり無機的な装いを演出することが容易になった、と個人的に思ってるんだけど、ここまで記号をまぶしながら肉感的な本作は凄いと思う。

2014-02-04 21:10:48
生卵を喰う鳥 @namatamago_tori

コントラ「ヒューストン、テキサス、2008年」http://t.co/tLnxH4ITVSこれだけ丁寧に描写を積み上げること、そうすることで初めて比喩でしか表しえない何かが、鳥肌を伴うリアリティでもって立ち上がること。まずは「黒」という色に注視するだけでいい。溜息ばかりが零れる。

2014-01-31 22:16:45
生卵を喰う鳥 @namatamago_tori

吉井「さてと」http://t.co/dOCTYRU10w物語を読む、というのの多くはイメージを追いかけることかもしれない。追いかけられる、とは読者が連関をそれぞれのイメージに見出しているからなのだが、この作品の提示するイメージ同士の連関ってなんだろう。軽妙な文体が読ませる作品。

2014-02-07 15:47:22
生卵を喰う鳥 @namatamago_tori

高岡力「動物屋」http://t.co/RQMPzgP9gY狂気を表現する態度のうち書き手は「偏執さ」を採用している。当人だけが持ちうる論理に周囲や世界を巻き込んでいく。妻の狂気に夫は空想をぶつけるが狂気は併存しない。もしコミュニケーションに本質があるなら、こう表現されるのでは?

2014-02-15 16:46:55
生卵を喰う鳥 @namatamago_tori

ケムリ「土の中のかいぶつ」http://t.co/I7XLtvvmo2小説と詩の中間のような作品。徹底的に書き手の臭いを作中から消すことで逆に書き手の存在を感じるような。細部への描写に囲われた「かいぶつ」という魅力的なガジェットに、読者は読者自身の主題を捏造して読み解かされる。

2014-02-14 15:54:37
生卵を喰う鳥 @namatamago_tori

疋田「眠り(a)」http://t.co/k0BuAGqykr「姉」と「あね、」の物語。生/死だったり存在/不在、有るものと無いもの境界のゆらぎを描いている。そうした境界線として「眠り」や「三角コーナー」が設置されているんだけど、意味を読むんじゃなくイメージを堪能して欲しい。

2014-02-15 16:07:53
生卵を喰う鳥 @namatamago_tori

田中智章「みずうみの、」http://t.co/11Ly6RckwFイメージが結びつかない、というのは読書行為のなかでもかなりストレスがたまる。本作の書き手は言語がイメージになるかならないかギリギリのラインを攻めているようにいつも思う。その境界線上に美しさが潜んでいるかのように。

2014-02-07 16:00:44
生卵を喰う鳥 @namatamago_tori

菊西夕座「滅相もない」http://t.co/xj1GNlXg6w描写であったり仕掛けであったり、作品を読者に読ませる装置というのは色々あるが、この書き手は地口(駄洒落)でぐいぐい引っ張っていく。本作は地口のみだけでなく、主客が反転・喪失する構造が主題と合わさり傑作となっている。

2014-02-14 23:44:02
生卵を喰う鳥 @namatamago_tori

前田ふむふむ「不寝番ーみずの瞑り」http://t.co/WCcDc1qdqI作中に散らされた多様な死のイメージ。それらをつなぐ色彩や隠喩、撞着的な語法。これらは、生者から死者への視線を死者から生者への視線へと反転させるように働き、死(者)/生(者)の関係性を描いている。

2014-01-25 22:34:24
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