シーシェパードとキリスト教

私たち［シーシェパード］は世俗の団体で、いかなる宗教とも結びついていない。
We are a secular organization without any ties to any religion.

チャールズ・ダーウィン以来、［進化論について］多くの研究が為されており、それらの中でも注目すべき本として『フィンチの嘴(くちばし) : ガラパゴスで起きている種の変貌』が挙げられる。この本は自然淘汰が妥当であることを示している。
There have been many studies since Charles Darwin most notably the book, The Beak of the Finch, which demonstrates the validity of natural selection.

最後の問い。もし神がいるなら、どうして神はチャールズ・ダーウィンを創造して自身が虚偽であることを証明させたりなどしたのか。神がいるなら、どうしてガラパゴスにある自分の「ショーケース」を密猟者や人間の侵略によって壊されるがままにしているのか。
Final questions: If there is a God why would he have created Charles Darwin to debunk him? If there is a God why is allowing his “showcase” in the Galapagos to be destroyed by poachers and human encroachment?

結論

シーシェパード設立者であるポール・ワトソン氏自身の言葉が示しているのは、彼［及びシーシェパード］が反捕鯨の立場に立つのは、キリスト教的立場によるのではなく、ダーウィンに対する彼［ら］なりの理解による、ということです。

補足

• ダーウィンの進化論もまたキリスト教を背景に成立したのだから、ダーウィンに影響されている限りでやはりポール・ワトソン氏［とシーシェパード］にはキリスト教の影響があると主張する人々がいます。しかし、キリスト教を背景にする人々の中にはダーウィンの進化論を否定する者もいることをどのように説明するのでしょうか。キリスト教はダーウィンをある人（例えば、ポール・ワトソン氏）には受け入れるように作用し、他の人（例えば、ID論を受け入れるような人）には拒否するように作用するのでしょうか。
• 他方、ポール・ワトソン氏［とシーシェパード］が何と言おうと、キリスト教社会に生きている人々がシーシェパードの活動を支持している、だからキリスト教が問題だ、と主張する人もいます。このように主張する方々は、キリスト者でありながらシーシェパードの活動に反対する人々がいることをどのように考えるのでしょうか。キリスト教は或る人々にはシーシェパードを肯定させ、他の人々にはシーシェパードを非難させるとしたら、キリスト教は一体どのようなものなのでしょうか。
• いずれにせよ、「キリスト教がシーシェパードの活動或はその支持者に影響を与えた」という説明がいかに適当なもので様々な事実を無視しているかは明らかです。

ポール・ワトソン氏は恐らくキリスト教が主流となっていた社会で生まれ育ったのでしょうから、彼の反捕鯨という立場の背景としてキリスト教の存在を認めることはできるかもしれません。しかし、キリスト教が主流となった社会で生まれた人間の中には捕鯨に反対するポール・ワトソン氏のような人物もいれば、他方で捕鯨に反対しない人物もいますし、そもそも、キリスト教が主流となった社会で生まれ、その中で育った人々の思想主義信条は多種多様であることはちょっと考えるまでもなく、明らかです。そうであれば、キリスト教が主流となった社会で生まれた思想主義信条がどのようなものであれ（たとえそれらの中には相反するものであったとしても）、それに影響を与えたのはキリスト教である、と主張したとしても、それは決して説得的なものではありません、むしろ何も説明していないに等しいでしょう。以上から、ポール・ワトソン氏の反捕鯨という考えにとってキリスト教はそれほど重要ではない数多ある背景の一つでしかない、と結論するのが適当ではないでしょうか。

反捕鯨とキリスト教との関係について更にご関心有る方は、以下のまとめを御覧下さい。