空想の街　冬の目覚め　期間外

雲行き＠空想の街 @_kumoyuki_

気まぐれ屋のバーは朝の5時まで営業していて、閉店のタイミングで店を出て、この街を出た。森を抜けて最寄りのターミナルまで。私の街に帰ろう。 #空想の街 #露光

雲行き＠空想の街 @_kumoyuki_

長距離バスに乗り込んでしばらくぼーっとしたのち、自分の手帳を広げる。あの街の時計台が描かれた手帳。オトトイ食堂で、孔雀荘で、ママンの珈琲屋で、気まぐれ屋のバーで書き綴った言葉を読み返す。 #空想の街 #露光

雲行き＠空想の街 @_kumoyuki_

「花の目覚め、海の目覚めを見に来た。優しい人たちとあたたかいお店がたくさんの不思議な街」 最初の一文。その後は出会った人やお店のことを母のように、だけれど自分の言葉で書き記した。何て書いてあるって？内緒だよ。だって来てみればよく分かるから。 #空想の街 #横峰写真館

雲行き＠空想の街 @_kumoyuki_

最後の頁には同じ顔が笑う私と母の多重露光写真。バックパックに括りつけたサンキャッチャーが朝日を受けてくるくるきらりと光った。 #空想の街 #露光 (露光おわり)

ゆずる @yuzu5172

#空想の街 朝5時、店を閉める。海呼鳴のおかげで外は明るかったが、それでもお客人を見送る時に出た外は、朝の匂いで溢れていた。店内にはお客人たちの置き土産である陽気な気まぐれが、まだまだ呑み足りないとばかりに漂う。#気まぐれ屋 リンは、それをひとつひとつ、丁寧に小瓶へと詰めた。

ゆずる @yuzu5172

#空想の街 いつの間にか、シンは元の木彫りへと姿を変えていた。ありがとう、お疲れ様。リンが小さなエプロンの紐を解こうとすると「いや、もうしばらく、」#気まぐれ屋 @shino40 シンも、この余韻に浸っていた。

ゆずる @yuzu5172

#空想の街 花が目覚め、海が鳴る。その季節は、瞬く間に過ぎて行った。美しくもありながら儚い時間に、リンは思いを馳せる。#気まぐれ屋@shino40

ゆずる @yuzu5172

#空想の街 @shino40 来年は、自分の目で海呼鳴を見に行こう。きっと、素敵な出会いと、気まぐれが待っているはず。 リンは片付け終わった店内を確認して、んっ、と伸びをする 。 背中の蝶が、ひらり、舞った。 【#気まぐれ屋 花の目覚め・海の目覚め 終了】

九夜月 @oto_no_ya

どうやら海の目覚めを終えて、ゆっくりと街は春に向かって動いていくらしい。そういえば、故郷もそろそろ暦の上での春を迎える準備をする頃だ。私は荷物をまとめ始めた。一度故郷に戻ろう。そしてまた、この街に来よう。ここは不思議な街だから、もしかしたら。 #狐面の朔夜 #空想の街

なさわご @nasawago

森を抜けると、街があった。中心には大きな時計塔がそびえ立つ、活気のある街。知らなかったな、こんな所に街があったなんて。街の様子はとても静かで穏やかだ。どこか印象的な街。時計塔を背にして、ぐるりと街を一回りしてみることにした。#空想の街後書き #書留人 #天木覚書

なさわご @nasawago

歩いてすれ違う人々や通りかかる店々を観察した。丸ノ形線という環状線が走っていて、その外側までは一日で回れなさそうだ。役所の場所を聞き、訪ねてお話を伺った。どうやら今は、この街で起こる「花の目覚め・海の目覚め」という現象が終わった直後らしい。#空想の街後書き #書留人 #天木覚書

なさわご @nasawago

旅人はそれぞれの旅へ戻り、住人たちは元の生活の戻っているそうだ。この街独特の現象が見られなかったのは残念だが、この街の空気に触れられたことは嬉しく思う。ここは「空想の街」と呼ばれているそうだ。興味を持った私は、今夜はこの街で過ごすことにした。#空想の街後書き #書留人 #天木覚書

なさわご @nasawago

明日は丸ノ形線に乗って街を回ってみよう。そして「花の目覚め」で散った花々の欠片を探しに、「海の目覚め」が起こった海を眺めに行こう。きっとこの数日間をこの街で過ごした人々が残した何かを感じることができるだろう。 孔雀荘にて,2月,あまき #空想の街後書き #書留人 #天木覚書

ぬらり @l07d_f

#森の宿屋 が提供するのは、夜を過ごす宿と目が覚めるあたたかな朝食。だから夜明け前に目を覚まし、その日の仕込みを準備する。今回の客は昼夜逆転生活を送ってはいるが、#R・W が宿に戻る少し前の時間には目が覚めているので、何ら問題もなく朝の「夕飯」を振る舞うことができた。#空想の街

ぬらり @l07d_f

だが昨日は #空想の街 の海呼鳴が終わってすぐの時間、連れていた子供と一緒にずぶ濡れで #森の宿屋 に戻って来て、部屋に篭っていたかと思えば、今朝 #R・W は旅支度を済ませて子供と「朝食」を食べに現れたので、「旦那は夕方に出発するのかと思ってましたよ」と正直な感想を口にした。

ぬらり @l07d_f

「厳密にいえば、日光は苦手としているだけで、全く動けなくなるわけでもないのでね」と #R・W は説明したが、何度も欠伸を噛み殺し、黒眼鏡と大きな帽子を目深に被る姿には説得力皆無である。…が、 #森の宿屋 のじじいは特に何も言わずにそうですかとだけ答えて、朝食を振舞った。#空想の街

ぬらり @l07d_f

#森の宿屋 から疑わしげな視線を頂戴したものの、特に何も言われることなく朝食にありつけることができたので、宿主の察しの良さに感謝しつつ、#R・W 自分のは隣で澄まし顔で朝食にありつく #泣虫海月 に忌々しそうに目をやって、昨日の #空想の街 の海呼鳴での出来事を思い出す。

ぬらり @l07d_f

#空想の街 の海呼鳴が始まる少し前。探し物は見つからない、拾ってしまった #泣虫海月 の子供は、何故か #R・W の後ろを仔鴨のごとくずっとついて回り離れない。挙句、子供はどんなに無視しても、子供らしく「ねえねえおじさん」と質問攻めしてくる。煩わしいことこの上ない。

ぬらり @l07d_f

「ねえねえおじさん」…始まった。黙り込む #R・W にお構いなしに #泣虫海月 は四六時中この状態だ。「おじさんは魔法使い？」「(はぁ…)何故そう思う？」#空想の街 の海呼鳴が始まるまで質問攻めされるのも煩わしくて返事をすれば、「知ってる魔女さんに似てたから」と子供は笑う。

ぬらり @l07d_f

魔女さんにあげたのは熱くてドロドロの涙。海をもっとしょっぱくするし、仲間はみーんないなくなったからいらないやって。渡した時は精々した。でも、泣くことができなくなってから、大人になれなくなったんだ。#泣虫海月 #空想の街 (成る程今まで涙一つ零さなかったのはそういうことか)#R・W

ぬらり @l07d_f

「泣くことができないってもっと苦しいんだね」#泣虫海月 は泣きそうな顔でぐしゃりと顔を歪めるが、涙一つこぼさない。「ふん…愚かなことをしたな。魔法に代償はつきものだ」「うん、そうみたい。それにしても、#R・W のおじさん、まるで魔法のことよく知ってるみたいだね」#空想の街

ぬらり @l07d_f

「…まあ多少は齧っているからな」「そう？ねえ、おじさんの話も聞かせてよ」#泣虫海月 は #R・W を見上げた。「ねえねえおじさん」おじさんはどうして『月光の雫石』っていう宝石を探しているの？ #空想の街「…何故それを」「え？だって一緒にいる間ずっとその石について調べてたじゃない」

ぬらり @l07d_f

宣う #泣虫海月 にそういえばそうだったと思わず #R・W は溜息をつく。「半分は仕事だな」「…もう半分は？」「…けじめをつける為だ」#空想の街 で1日共に過ごして情でも湧いたのか、浜辺でこんな小さな子供に自分の話を聞かせるのを何処か可笑しくなる一方それもいいかと思う自分がいる。

ぬらり @l07d_f

私の職業は、石の力を如何に傷つけず、損なわず、加工できるか調べて装飾を施すこと。「力…」石の輝きには不思議な力が込もっているし、石は風化しにくい。だから宝飾品は永遠のシンボルとされている。権威、富、力の象徴…中でも一番多いのはエンゲージリング。#空想の街 #R・W #泣虫海月

ぬらり @l07d_f

(あなた、梟みたいだわ)と笑っていた彼女を思い出す。日の光が似合う彼女に、愛していると告げることはできなかった。「好いている相手が客としてきた。婚約指輪を作りに」その後で依頼された、現在入手が困難とされているムーンストーンの一つである『月光の雫石』の調査依頼。#空想の街 #R・W