2013.02 創作まとめ

書き出し祭が行われていたため、ツイート多めです。また幻想雑貨さんの方でも企画に参加しております。
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鈴木楪 @crazy_cat8062

好きが嫌いになった瞬間は、明確に分かるわけではない。嫌いかもと疑って、でもやっぱり好きだなと思う曖昧な期間を過ぎると、ハッキリと嫌いになる。人も物も食べ物も世界も。例外なく当てはまるように、この世界は出来ている。俺はこの時点で、世界を嫌いになったけれど。 #書き出し

2013-02-18 15:07:37
鈴木楪 @crazy_cat8062

さよならを奏でる楽器を作ったのはほんの気まぐれだった。音楽を愛してやまなかったあの人が、安心して黄泉の旅へ行けるように送り出したかったから。興味の失せた私の手元から離れて、災いを引き起こす物になるとは思わなかったのだ。でも大丈夫。作り主の私が死ねばもう奏でられないから #書き出し

2013-02-24 17:29:02
鈴木楪 @crazy_cat8062

昔々から、語り継がれてきた物語たち。時に暖炉が明るさを保つなかで、時に子供たちの眠りを誘う中で彼らは活躍していた。しかし今、彼らの役割は終わりを迎えようとしている。語られなくなった物語は、外の世界を求めて動き出した。絵本から飛び出した物語の行方は誰も知らない。 #一文

2013-02-03 19:56:45
鈴木楪 @crazy_cat8062

いつの時代も、この国を変える動力源となったのは若い世代だった。彼らは時代の変化の波を敏感に感じ取り、行動してきた。今この国の先に待ち受けるものは希望か、絶望か。それを決めるのは若い世代の心意気である。少年少女よ、永遠であれ。その熱き魂こそが、この国を変えるのだ #一文

2013-02-12 20:55:15
鈴木楪 @crazy_cat8062

いつからか、僕は君を追いかけるようになった。最初はよく見かける人、次は知り合い。そして言葉を交わすようになり、最近ようやくいつも一緒にいる友達になった。そこでわかったのは、君はもう他の誰かに心奪われているということ。僕は今日も報われずにそっと言葉を紡いで消して、心を削る。 #締め

2013-02-03 02:04:58
鈴木楪 @crazy_cat8062

昔からそうだった。気持ちの高ぶりと比例して、僕の周りの物が壊れたり突然倒れてきたりした。そういうタイシツなんだと自覚したとき、何処からともなく師匠が現れた。お陰で力を制御する事ができるようになった。だから、例え目の前で師匠が殺されてるとしても、感情を飲み込め。吐き出すな。 #締め

2013-02-08 12:15:14
鈴木楪 @crazy_cat8062

覚えている限りの一番古い記憶は、貴方が私の目の前で人を殺しているところ。それに限らず、貴方に関する記憶は人を殺している場面しかない。戯れに伴侶を決めないのかと問うた時、全力で否定した貴方。それ故私も一生独り身を通すの。だからどうか、愛さないと言った口で、愛なんて語らないで #締め

2013-02-12 00:16:38
鈴木楪 @crazy_cat8062

うろちょろと俺の周りに現れる、小人を遂に捕獲した。長い戦いだったが、ようやくこれで自由の身になれる。ところが、そいつを放ろうとすろと、小人は俺に寄生していて、寄生主から何か貰わなければ寄生したままだと言う。面倒くさいたとは思ったが、仕方なしに別れの言葉をプレゼントした。 #締め

2013-02-12 23:52:37

書き出し祭 #書き出し一人祭

鈴木楪 @crazy_cat8062

雨の降る日に出会ったのは、恥ずかしがり屋の雨童だった。俺の家系はもともと霊感が強いらしく小さい頃からよく見えていたが、その童を見るのは初めてだった。傘もささずに外で遊んでいたそいつは、俺に見られているのが分かると急いで物陰に隠れた。今も遊びに来るとかくれんぼが始まる #書き出し祭

2013-02-25 07:12:31
鈴木楪 @crazy_cat8062

泡に消えても、花と散っても、また来世で会うとしましょう。何回目の転生になるのか、何回目の出会いになるのかはもうとうに忘れてしまったけれど、今世はもう十分な時を過ごした。生まれ変わっても、記憶を白紙にされても魂は忘れなかった。だから、来世もきっと…。また、会いましょう #書き出し祭

2013-02-25 07:21:22
鈴木楪 @crazy_cat8062

雪の夜に聞こえる歌は、僕らを誘う導きの声。何百年も前から決まっている、僕らと雪の精との決まりごと。歌が聞こえる日は決まって、体が疼く。だから呼ばれているなと実感する。僕らがすることはなにもないけれど、雪の精は僕らに会いたいみたいだから急いで行かないとね。 #書き出し祭

2013-02-25 07:29:02
鈴木楪 @crazy_cat8062

今日の夜間飛行の様子を伝えよう。視界良好風は穏やか。ここ最近で一番いい天気だ。街々の灯りが優しく街を照らし出し、家々の上がりましたが幸せを伝えている。おっと、なにかが飛んできたようだ。…ああ、思い出だ。これから彼らの元に向かうんだね?この一年間の思い出が、彼らの元へ #書き出し祭

2013-02-25 07:37:06
鈴木楪 @crazy_cat8062

何かが過ぎる音がした。気のせいか、と通りすぎようとしたとき、目の前にはかつての私がいた。まだ真新しい、ははに見立ててもらったベストを着た私が。立ち止まって周りを見渡せば、そこは昔よく遊んでいた神社だった。子供の私は不満顔をしているが、それはきっと私が夢を捨てたからだ #書き出し祭

2013-02-25 08:31:19
鈴木楪 @crazy_cat8062

縁側は縁を側に寄せるから縁側なのだ。晩年になって口煩いほどそう言っていた母の意図を、私は未だに掴みあぐねている。二桁を越える飼い猫と共に、縁側で日向ぼっこをするのが日課だった母。彼女がなくなった今、それは私の日課となりつつある。母と同じ年になる頃には、分かるだろうか #書き出し祭

2013-02-25 09:23:08
鈴木楪 @crazy_cat8062

屋台の行列を抜け出したら、迷子になった。当たり前か、はは。ただちょっと、兄さんを困らせたかったんだ。いつもいつも兄さんと比較されて、こっちはうんざりしてるんだかんな。俺も困った状況だけど、多分大丈夫。兄さんはかならず見つけてくれるから。ほら、やっぱりね #書き出し祭

2013-02-25 10:24:56
鈴木楪 @crazy_cat8062

「あたしの噛み跡まだ残ってる?」まるでそう言うように俺を見上げた飼い猫。もうくっきりと残ってますよ、この脇腹に。なんでわざわざ、脇腹なんてところを噛んだのかな。マーキング?にしても程があるでしょ。まったく、飼い猫のくせにやってくれるよ。今日のご飯はやっすい缶詰だな。 #書き出し祭

2013-02-25 11:17:10
鈴木楪 @crazy_cat8062

夢の中のあの子は笑っていました。僕が裏切ったことを知らないのでしょうか?いいえ、あの子は知っていて僕に笑かけるのです。純白の君の心を汚したのは僕で、真っ黒な穢れた僕の心に救いの手を差し出したのは君でした。君と僕はそれで終わりのはずなのに、終わらない気がするのです。 #書き出し祭

2013-02-25 12:00:46
鈴木楪 @crazy_cat8062

君と僕が出会ったのは偶然なんかじゃないんだ。生まれるずっと前から決まっていたんだよ。だからどうか、僕と出会ったことを後悔しないで。君のせいじゃない。僕がこれから不幸になるのは、君のせいじゃないから。君と過ごしたあの時間は、かけがえのない宝物。だから自分を責めないで #書き出し祭

2013-02-25 14:48:27
鈴木楪 @crazy_cat8062

ここであったのも何かのご縁。是非ともご一緒いたしましょう。この時期限りの書き出し祭、どなた様でも交ざりましょう。今回限りの参加も拒まず、わいわいわいわい騒ぎましょう。喫茶店もあるようです。肩肘張らずに気楽にご参加しましょうね。 #書き出し祭

2013-02-25 16:01:21
鈴木楪 @crazy_cat8062

この糸が解けることをずっと願っていたの。それが終わりの合図だとも気付かずに。本当に、私は愚かな娘だったのね。貴方と離れることが出来ればそれでよくて、回りのことは何一つわからない子供だった。貴方さえいれば、貴方さえいれば!今でもみんな一緒に、笑って過ごせたのにね。 #書き出し祭

2013-02-25 21:22:58
鈴木楪 @crazy_cat8062

恋心を拾いました。交番にいっても受け取ってもらえなかったので、なぜなのか聞いてみると、それは落とし主が落としたと気付かないものだから受け取れない、と言われました。よく分かりません。家に帰って姉に聞くと、姉もよく分からないそうです。その姉の心にはぽっかり穴がありました #書き出し祭

2013-02-25 21:29:17
鈴木楪 @crazy_cat8062

初めて、小さな花束を買いました。男が来るような場所ではないから気が引けたけど、花が大好きな彼女のために買いました。扉をあけて、花束を持っている僕の姿に驚くだろうな。きっと彼女の旦那さんも驚くだろう。決していい顔はされないだろうけれど、これくらいなら許されるだろうから #書き出し祭

2013-02-25 21:33:55
鈴木楪 @crazy_cat8062

月が咲いた夜に、桜の散る音がした。とうとうきたかと思いながら、手元の酒を一口煽る。なんの因果か、今の世代の月と桜は仲が悪い。酒の肴にはもってこいの二人なのに。月が完全に咲くのを見届けて潔く散ったのか。窓を開けて見てみると、桜が散った名残が落ちていた。月は哀しそうだ #書き出し祭

2013-02-25 21:40:01
鈴木楪 @crazy_cat8062

赤い糸の先が、子猫の形でどこかに向う時があると言う。それはある晴れた日のことかもしれないし雨の日かもしれない。とにかくいえることは、それを追いかけるとその時一番会いたい人に会えると言うこと。生き別れた親兄弟だったり、片想いの相手や恩師だったり。新しい毛糸限定だけれど #書き出し祭

2013-02-25 21:54:05