2013.02 創作まとめ

書き出し祭が行われていたため、ツイート多めです。また幻想雑貨さんの方でも企画に参加しております。
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2013.02

書き出し #一文 #締め

鈴木楪 @crazy_cat8062

ペンキ屋は嘘を塗る仕事だ。昨日も今日も、決まって政治家の背後に佇んでいた。不思議なことにそれは俺にしか見えないらしい。そのお陰で、どの言葉が嘘なのか分かるようになった。ほら、今日も目の前の友達の後ろで、色のないペンキを塗り続ける。 #書き出し

2013-02-06 19:57:26
鈴木楪 @crazy_cat8062

君だけが色を失ったまま世界は周り続けた。目まぐるしく煩い位に染まり変わる僕らにとって、それは羨ましいことでもあった。でも君はいつも、物欲しそうな目をしていた。君は僕らのようになりたくて、僕らは君のようになりたくて。でも行動する勇気はない。お互いに臆病者だったんだ。 #書き出し

2013-02-06 22:44:23
鈴木楪 @crazy_cat8062

色違いの夢を見た。昨日は灰色で今日はセピア色。同じ夢のはずなのに、印象は全く違っていた。冷めた感じがしたのも、懐かしいような暖かい感じがしたのも、きっと錯覚。本当の姿は冷めてもいないし、懐かしくもないんだろう。君が笑うその姿に、変わりがないのと同じように。 #書き出し

2013-02-07 08:20:04
鈴木楪 @crazy_cat8062

今夜、夢で会えたなら、今度こそ貴方に伝えたいことがあるの。あ、でも言いたいことが多すぎるわ...…。いつも伝えようと思うのだけれど、私が口を開くと貴方は身を翻してしまうから。今度は、逃げないように捕まえてから伝えるわ。長くなると思うけど、貴方の返事はきちんと聞かせてね #書き出し

2013-02-08 11:37:28
鈴木楪 @crazy_cat8062

ただ一つ覚えていないのは、君の顔だった。声も仕草も体つきも全て覚えているのに、顔だけがどうしても思い出せない。被写体になるのを毛嫌いしていた君の写真は一枚もない。たった8年会っていないだけでもうわからなくなることに茫然とした僕は、突然訪ねてきた君が誰だか分からなかった #書き出し

2013-02-08 12:08:53
鈴木楪 @crazy_cat8062

社長の顔は誰も知らないし、そもそもこの会社に社長が存在するのかさえ怪しい。朝礼は必ず私書、重要な取引も全て代理人を立てている。それで先方からお怒りは受けないのだから不思議だ。だが今日分かった。確かにバンパイアならば昼間は活動出来ないだろう。あぁ、俺の人生はおさらばだ。 #書き出し

2013-02-08 12:38:26
鈴木楪 @crazy_cat8062

夢が終われば君は居なくなるって知っていた。それでも私は、目覚めることを望み選んだんだ。君から差し伸べられた手に気付かなかったのは僕の罪だから。ならせめて、目の前で困っている人に手を差し伸べさせて。それが僕なりの罪滅ぼし。じゃないと、今度会うとき君に会わせる顔がないんだ #書き出し

2013-02-08 12:45:49
鈴木楪 @crazy_cat8062

あの日きみが泣いていた理由をぼくは知らないし、僕が今泣いている理由を君は知らない。お互いに干渉せずに、一定の距離を保ち続けてきたのだから。今までずっとそうだったし、これからもそうだと思っていたのだけれど。意外にも、その境界線を越えてきたのは君からだった。 #書き出し

2013-02-10 01:08:28
鈴木楪 @crazy_cat8062

今日の終わる音がした。周りは真っ暗で、何も見えない。自分が今どこにいて何をしているのかはわからないけれど、その音だけは聞こえた。「何してるの?君の番だよ」焦れた"今日"が呼びに来た。ああ、俺は”明日"か。いや、もう"今日"になるのか。とにかくそろそろ起きるとしよう。 #書き出し

2013-02-11 13:18:08
鈴木楪 @crazy_cat8062

釣糸を垂らして、今宵狙うのは月光の銀魚。満月の晩、月影が映った澄んだ池にしか現れないという、幻の魚。今日は晴れていて助かった。ここ数ヶ月、満月の日に限って天気が悪かったから。今度こそ、捕まえてやる。もう何世代にも渡って繰り広げられている俺の一族と銀魚の戦いは終わらない。#書き出し

2013-02-11 16:39:14
鈴木楪 @crazy_cat8062

夢から覚めた君は絶望するだろう。何故なら僕は、あの約束を破ったうえにこの世界に殺戮と絶望をもたらしたのだから。赦されないことなのは分かっている。だけど、君を救いたかっただけなのだということをわかってほしい。これしか方法はなかったんだ。だからどうか、僕を嫌わないでくれ! #書き出し

2013-02-11 23:59:47
鈴木楪 @crazy_cat8062

あいつはいつも笑っている。でもただ笑っているだけじゃない。周りを和ませるように、楽しませるように。励ますように、時には笑顔にさせるように。簡単なことではないけれど、あいつはそれをやってのけている。きっと、俺なんかよりも何倍も苦労しているんだろうな。アルバムを見て思った #書き出し

2013-02-12 00:28:15
鈴木楪 @crazy_cat8062

悲しみのむこうがわには、一体なにがあるのだろうか。国でトップの学者たちが長年頭を捻らせていても、未だに結論が出ていない謎だ。何千年も前から議論されてきたこの難題は、これから先も議論され続けるだろう。なぜならば、それこそが答えなのだから。 #書き出し

2013-02-12 00:39:23
鈴木楪 @crazy_cat8062

花吹雪の幻を見た。それは君が晩年僕に語っていたもので、生涯愛したものだから、てっきり君があの世から僕にプレゼントしてくれたのかと思ったよ。ここ最近ずっと悪天気だったのに、僕が君の元へ来る時になって晴れるし、ちょうど君のお墓に辿り着いたときに起きたからそう錯覚したんだ。 #書き出し

2013-02-12 07:33:43
鈴木楪 @crazy_cat8062

携帯を握りしめて眠りに落ちることが多くなった。君からの返信を今か今かと待ちながら、眠りに落ちる日々。悪くはない、と思っている自分がいることに、少し驚く。ちょっと前の俺なら、気持ち悪がっていたに違いない。まるで女みたいだと。けれどきっと、恋愛に男も女も関係ないのだと思う #書き出し

2013-02-12 08:27:44
鈴木楪 @crazy_cat8062

ガ、ガガガ、ガガッ、ガクン とうとう動かなくなってしまった。でももう、必要ないか。明日への希望を失った民の心に火を付けるため、毎日毎日朝から晩まで動き回っていた。人間でないからこそ、ここまで一生懸命にやれたのだろうと私は思う。民たちが団結して歩み始めた今、もう必要ない #書き出し

2013-02-12 20:51:29
鈴木楪 @crazy_cat8062

泣くのは一人きりの床だけと決めていたのに。僕は今、その禁を破ってひとりきりの畳で泣いている。だって!すっごく悲しいことがあったから泣きたいけど、床があるのは廊下しかなくてしかも今2月だし今日はこの冬一番の寒さですとか言ってたから床は寒いんだもん!でも泣きたかったの! #書き出し

2013-02-12 21:04:41
鈴木楪 @crazy_cat8062

雪の前触れが分かるらしい。流石は雪女の末裔だ。その血は薄まったとはいえ、かつてはこの遠野で名を轟かせたらしい。彼女曰くなのだが。妖怪なんて、物語の中だけの話だと思っていたが、彼女を見ていると現実にいるのだと認識せざるを得なくなる。あ、また文明の利器を氷付けにしたようだ #書き出し

2013-02-12 23:46:01
鈴木楪 @crazy_cat8062

君の名前が思い出せない。いや、名前だけでなく姿形や声や立ち居振舞いまで、思い出せない。他の誰もが君の存在を忘れ、君の功績は全て僕のものになった。君は確かにいたけれど、この世界が君の存在を拒んだ。確かにいた、僕は君に笑かけたし愛を誓った。事実なのに、僕はなにも覚えてない #書き出し

2013-02-13 09:10:04
鈴木楪 @crazy_cat8062

名を変え、顔を変え、生きてきた僕の心はなにも変わらず、有りのままを貫き通した君は、更に美しくなっていた。僕の方が全て優れているのにも関わらず、だ。本当は何でだかなんて分かっているけど、認めたくない。君は愛する人がいて、僕にはいない。ただそれだけだなんて。 #書き出し

2013-02-14 10:48:20
鈴木楪 @crazy_cat8062

「この程度のかんざし、誰にでも買ってあげているのでしょう?」ああ、また。私は思ってもないことを口に出す。「君からしたらそうかもしれないけど、僕にはそれが精一杯なんだ」苦笑いを浮かべるあなた。ええ、分かってるのよそんなことくらい。ただ、私がとんでもない天の邪鬼なだけなの #書き出し

2013-02-14 11:02:55
鈴木楪 @crazy_cat8062

安らかに眠れ、友よ。恨むべくは私ではなく、運命なのだよ。互いにいがみ合う部族に生まれていなかったのなら、私はお前と無二の親友であれただろう。しかし時代はそれを許さなかった。せめてもの救いは俺自身の手でお前を葬りされたこと。願わくばこの悪習が子々孫々に受け継がれん事を  #書き出し

2013-02-16 17:09:02
鈴木楪 @crazy_cat8062

そうだな、昔話からはじめようか。昔俺は、とある国の王様に仕えていた兵士だった。その国はもう何年も平和で、俺たち兵士は命の危険にさらされることなく純粋に剣の腕を磨いていた。ところが、その中で不満を持っていた奴が反乱を起こしたんだ。それが今の王様だ。その時援護したのが俺だ #書き出し

2013-02-17 23:47:32
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