市川 大河氏『ごちそうさん』第十八週呟きまとめ

【乳の教え】 (ちちのおしえ)
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市川大賀 @ArbUrtla

#ごちそうさん 陽光の中、食料が配給制になる中をバイタリティ豊かに「食べ物」を追い求めるめ以子。源太の姿もまだ戻らない時間経過が、肉屋の店先の淋しい「俯瞰」で、一つの状況として写し出される。状況。歴史を語る時、見る時、人は誰も神の視点でそれらの悲喜劇を天空から見下ろし眺めるだろう

2014-02-03 12:47:46
市川大賀 @ArbUrtla

#ごちそうさん 貧しい食卓であっても、仲睦まじく卓を囲む西門家に泰介に招かれてやってきた師岡。物資不足がグローブ不足を産んでいる社会背景を挟み、コミカルにカッティングは「え?そうなん?」と驚くめ以子でオチをつける。そこへ屁理屈をつける馬鹿悠太郎(笑)「今ご飯の力馬鹿にしましたね」

2014-02-03 12:51:49
市川大賀 @ArbUrtla

#ごちそうさん なぜ除くふ久ちゃん(笑)しかし、その「変わっている性格」が許されるのも、国家が「非常事態宣言」を出して、国民を統制し狂気へ向かうまでの今の束の間。今のめ以子はまだ、自分の目線で見える「出来る事」を見つめるしかない。「それ以上やったら鬱陶しいと思う」桜子の正論。

2014-02-03 12:54:14
市川大賀 @ArbUrtla

#ごちそうさん め以子の「自分ごちそうさん」への傾倒への一刀両断は、実は馬鹿悠太郎よりも桜子の一言の方が、的を射ていてタイミングも良い。室井の言葉に(無駄に)勇気づけられるめ以子だが、食肉屋での肉不足も含めて、じわじわと戦争の足音が近づいてくる。黒い予感が近づいてくる。

2014-02-03 12:56:33
市川大賀 @ArbUrtla

#ごちそうさん 今夜もやってくる師岡。カレーも牛肉も、この頃から「私達の日常にあった食べ物」戦争突入から高度経済成長期までの間に、物資や国家の尊厳を名目に規制されてきただけなのだ。トレーニングを続ける師岡と泰介の会話を、脳内補完するふ久。腐女子なの?馬鹿なの?森下佳子もBLなの?

2014-02-03 12:59:31
市川大賀 @ArbUrtla

#ごちそうさん 今日の回を思いだしていてちょっと嫌な予感がした。ふ久ちゃんの、自分の弟と師岡のキャッチボールの心理読み。アレが実は「ふ久はめ以子の御馳走養成によって、人の心が読める超能力を授かったのだ!」とかって設定になって、フッと気になりチェックしたら「脚本・遊川和彦」……。

2014-02-03 20:25:31
市川大賀 @ArbUrtla

#ごちそうさん による #純と愛 化現象 ふ久「うちは遠くにいる人達の会話が理解できるんや」 め以子「私は……私はいたんだ食材を、鼻で嗅ぎ分けられます!」 正蔵「まぁわしも去年同様、天国やしな……」

2014-02-03 20:34:05
市川大賀 @ArbUrtla

#ごちそうさん 最後かもしれない甲子園大会。人には未来は見えないので、戦争の先を窺い知ることは出来ない「今現在」の状況と向き合って、そこで絶望するしかない事もあるのが歴史。社会「誰の心も雨のち晴レルヤ」め以子は「講師編へ行ける魔法の料理」を考えるめ以子。この頃からあったカツのゲン

2014-02-04 12:47:24
市川大賀 @ArbUrtla

#ごちそうさん 家族全員が集まるシーンでも、しっかり中央の電燈を画面上部に配置する画面設計。物が不足すれば人は心も不足する。それを食い止めようとする家族を描けるのは、森下節が前半のギスギスを描いてこれたから。馬鹿悠太郎に馬鹿にされるめ以子(笑)巨大な箱のオットセイカレー(笑)

2014-02-04 12:49:56
市川大賀 @ArbUrtla

#ごちそうさん 「料理を作る事で誰かを幸せにする」他人の幸せを願える人物像や人生観こそが「本当の幸福」だと宮沢賢治氏が記したと、市川森一氏は生前に訴えた。悠太郎の会社でも、竹元と社員一同との描写に於いて、徹底的に天井一面のライトに対して、竹元を照らさずに写しとおす。

2014-02-04 12:52:56
市川大賀 @ArbUrtla

#ごちそうさん 竹元に責めさいなまれ、画面奥に配置される悠太郎を両側を挟み込むライトスタンド。「意地でも鉄筋を見つけてこい!」理不尽に見える竹元の注文だが、そこにある「自分に背負わされた責務を全うするための、自分に課せられた役割論」は、実はめ以子と同じ。また「見ている」ふ久。

2014-02-04 12:55:05
市川大賀 @ArbUrtla

#ごちそうさん 全ての資材や物資の困窮が、人々の「普通の日常」を侵す。旦那同士で意気投合する中、(その、補給が困難な)食材を使った料理で、野球青年達を釣るめ以子(また見ているふ久)「勝ってくるぞと勇ましく」が、心地よく歌われて送り出される泰介(テンションが低いふ久)

2014-02-04 12:58:38
市川大賀 @ArbUrtla

#ごちそうさん 勝利のたびに豪華になっていく、め以子の料理が笑顔を呼び、生きる活力を呼び、め以子の家計も圧迫していくが、それらは全て笑顔で中和される。人が人の笑顔の為に生きる事は、人が御国や旗の為んじ自分を犠牲にするのとは真逆の価値観の中にあるのだと、森下佳子は叫ぶ。

2014-02-04 13:01:37
市川大賀 @ArbUrtla

#ごちそうさん 一家全体で「段階式カツ制度」を照らすオレンジの灯。少年たちの頑張りに応えようとするめ以子の「食糧難」の下での奮闘。そこで再開する源太。源太は戻ってこれたのだ。「顔をあげてご覧 光が照らす」初恋は「そこ」に残った。

2014-02-05 12:47:25
市川大賀 @ArbUrtla

#ごちそうさん 傷病兵で帰還した源太曰く「美味いもん食ってれば、そのうち治るだろう」食い倒れの大阪の精神だけではなく、源太の中にあるめ以子への信頼がそう言わせた。源太が去ろうとするシーンで『ごちそうさん』は俯瞰を多用するが、それは「戦時下」という状況そのものを描くためである。

2014-02-05 12:49:39
市川大賀 @ArbUrtla

#ごちそうさん 鉄骨に対して悩む悠太郎一同も、俯瞰でシーンが描写された後、個々を写し込むカッティング。眩しいばかりの陽光の部屋での「なぁあんでしょ」に対して、難色を示す悠太郎。同じように突き刺す陽光が、台所のめ以子を刺す。甲子園大会の中止を告げる諸岡。「御国の為」に夢が消えていく

2014-02-05 12:52:46
市川大賀 @ArbUrtla

#ごちそうさん 甲子園大会中止に向かって、気持ちを切り替えようとする西門家。夢はそうして「戦争をする国家社会」が詰みとっていく中を、笑顔で気遣い合いながらやり過ごそうとする一同。「中止……ですか」鉄骨問題でも負けさせられ、卵一個に奔走し、ようやく笑顔の「いただきます」これがテーマ

2014-02-05 12:55:37
市川大賀 @ArbUrtla

#ごちそうさん 「大変やと思うやろ!?」め以子の自慢話を前に、箸を止める師岡の謝罪。「なにげない日常と、笑い合える当たり前の日々こそが、本当になによりの幸せだったのだ」それはソーントン・ワイルダーが戯曲『わが町』で描き、丸山昇一が『ア・ホーマンス(86年)』で描いた普遍のテーマ

2014-02-05 12:58:05
市川大賀 @ArbUrtla

#ごちそうさん 時代の雲行きは、刻一刻と不穏な方向へ向かっていく作品世界。行き場のない若者達の夢とその前で立ちすくむしかない悠太郎やめ以子。「二人の青春は、うちの青春やから」弟と泰介の青春を、自分の青春と重ね合わせる事によってしか、自身の青春を満たせなかったふ久のやるせない葛藤。

2014-02-05 13:01:17
市川大賀 @ArbUrtla

#ごちそうさん オレンジの灯の下で、糠床を混ぜるめ以子。俯瞰と煽りの短いカットの繋ぎが、尺以上の時間を体感させる。「泰介!」そう呼ぶカットにも、左端に電燈を配置。この電燈はふ久なのだろう。森下ドラマはこうして、画面内に登場する電燈そのものが、登場人物の姿を模していたりする。

2014-02-06 12:47:28
市川大賀 @ArbUrtla

#ごちそうさん め以子が初めてやってきた時はだだ広かった西門家の居間に、家族全員が立ったり座ったりするだけで密度は高まり、視聴者の視線や心理の動きを誘導するように計算されている。一方の源太には戦争の後遺症が、室井の出版にも軍の圧力が掛かる。皆の人生を国家が捻じ曲げる。

2014-02-06 12:51:24
市川大賀 @ArbUrtla

#ごちそうさん 感情を高ぶらせて憤る桜子。「良い小説だったのよ」戦争へ向かう軍は、人の人らしい生き方を押さえつけ、潰し、隷属させ、支配する。笑顔も夢も全て握り潰し、人生を狂わせ「国益」と「御国の御旗」の為に、細い人と人の絆を切り裂き、命を奪い去る「そら……悔しいです」泰介と諸岡。

2014-02-06 12:54:50
市川大賀 @ArbUrtla

#ごちそうさん 全てをふ久は見続けた。「なぜ?」と。「どうして?」と問いかけながら。そして悠太郎の耳には竹元の「必死な願い」が、怒号として鳴り響く。戦時中の「代用品の跋扈」人の想いに「人が生きていく夢」に代用品はない。「無駄こそ文化」馬介がいう「おもろいよな」が「ごちそうさん」

2014-02-06 12:58:13
市川大賀 @ArbUrtla

#ごちそうさん 諸岡と泰介、室井と馬介、源太と悠太郎。それらの世代の男達は皆、愛する者のために「国家」に夢を奪われ、悪夢を植え付けられて潰されていく。その社会の流れの中で「取り残される女達」は、何を守れるのか、何を残せるのか。物語は「愛国心は、悪党の最後の隠れ蓑だ」を暴き描く。

2014-02-06 13:02:03
市川大賀 @ArbUrtla

今やってる #ごちそうさん の世界じゃないけど、来年の今頃にAKB48辺りが「報身愛国! 忠信愛国! 生まれた国を愛そう愛そう! あなたと一緒に この美しい国の 桜並木を通って 行きたいな 靖国神社♪」とかを歌っていそうな気もするから、逆にニヤニヤしてしまう自分がいる。

2014-02-06 17:02:14