東京国際映画祭2010 レビュー集

@Fiction_kk氏のレビューをまとめ
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株式会社フィクション @Fiction_kk

米『ビューティフルボーイ』息子が大量殺人犯になった夫婦の絶望と再生。マスコミや警察の描写は殆どなく、寄り添うように夫婦の周辺だけを切り取った抑制が見事。自分に責任があるか、息子をまだ愛していていいのか、という心の揺れの過程がリアルで、作品を他人事にしていない #TIFF_2010

2010-10-24 13:20:55
株式会社フィクション @Fiction_kk

希望を残したラストの甘さはアメリカ映画だから仕方ないが、「なにも悪いことしてないのになんで追いかけるの」と喚くだけだった邦画の加害者家族ものよりは踏み込みは遥かに深い。マイケル・シーンとミートローフ好演

2010-10-24 13:24:06
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イラン『ドッグ・スウェット』テヘランの中流以上の裕福層、飲酒や同性愛、不倫、女性歌手、建前では禁止されつつうまくかい潜って楽しんでいる若者たち。だがその抑圧を受け入れて大人になるか、逃げ出すかという選択を迫られるときがくる。インディーズで今を描こうとしている #tiff_2010

2010-10-24 15:56:58
株式会社フィクション @Fiction_kk

正面から体制に怒りをぶつけてたゴバディに対して、体制の抑圧を感じながらしたたかに生きていくところは現実的なんだろうが、若者たちが享楽的すぎてちょっと規制派の気持ちもわかっちゃうあたりがなあ

2010-10-24 16:32:00
株式会社フィクション @Fiction_kk

ウズベキスタン『追伸』雷に打たれた男が、自分は迷宮の中のミノタウロスを倒さなければいけないという思いに取り付かれる。その野蛮な行動が都会と田舎に引き裂かれた家族の懊悩を図らずも解決してしまう。神話や神秘の力を描いた作品…だが中盤で全て台詞で語られてるのが残念 #tiff_2010

2010-10-24 20:10:13
株式会社フィクション @Fiction_kk

『ジャック舟に乗る』フィリップ・シーモア・ホフマンのこれは見事な監督デビュー作。付き合いが長すぎて終わろうとしているカップルと、彼らが引き合わせいまから付き合おうとしている二人。その顛末を静かに描いているが、それでも人は恋をするのだと優しく訴える #tiff_2010

2010-10-24 20:14:25
株式会社フィクション @Fiction_kk

冬のニューヨーク(とホフマンの白いぷよぶよした身体)のPVのような映像は美しく色に満ちている。原作は戯曲だが映画的動きも加えられており、どうにもならない恋への恐れ、どんなに時代が変わっても不変のものが描かれた。

2010-10-24 20:17:39
株式会社フィクション @Fiction_kk

面白いのはエド・バーンズとかアレン、ケビン・スミスといった作家を連想させることで、役者を兼ねた監督はこういうフックのない恋愛ものをとってみたくなるものなのかな、と

2010-10-24 20:19:49
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既に今日だけで五回も見せられたが『ハニー東京』て、なにこれ

2010-10-24 20:53:11
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『小学校!』赴任したばかりの教師と、問題ある生徒の交流をあたかもドキュメンタリのように描く…というと、どうしても今夏公開された「僕たちのクラス」と比較してしまうが、あちらよりさらに内面に踏込み、教師が生徒によってはじめて完全なものになっていくことを示唆する #tiff_2010

2010-10-24 23:15:41
株式会社フィクション @Fiction_kk

『フラミンゴNo.13』イラン映画を一度も観たことがない人が勝手に思い描く、冗長で退屈で田舎で謎の会話で詩で踊りでなんかエスニック。そんなイメージを忠実に再現したかの作品。「ロボゲイシャ」「ID4」のように、自国が抱かれているイメージをパロディにした、というわけでもなさそうだし

2010-10-25 16:08:17
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劇中人々はフラミンゴについて語り、それを追って消えるものまでいるが、ついに一度もカメラがフラミンゴを映す瞬間はない。まあ…そういう映画(笑) 頭の良い人が、論理の説明として作ったのかな、テーマは全部詩で語られるし

2010-10-25 16:10:52
株式会社フィクション @Fiction_kk

『風に吹かれて キャメラマン李屏賓の肖像』マイク・リーの名でも知られ、ホウ・シャオシェン作品や「空気人形」などの撮影監督のいまを追ったドキュメンタリー。傑作。力がある故に一年中世界を旅して、故郷にも家にも帰れない彼は、まるで映画のなかを旅しているようであり、彼の旅が映画のようだ

2010-10-25 17:55:57
株式会社フィクション @Fiction_kk

『心の刺』 ミシェル・ゴンドリーの新作は、教師をしていた叔母と思い出の地を巡りながら彼女の夫やゲイの息子について語るドキュメンタリー。いやあ悪くはないし、様々な素材を自然に組み合わせた辺り感心するけど、これ…どこまでいってもホームビデオだよね? 人の家族の思い出に付き合うのは辛い

2010-10-25 19:47:51
株式会社フィクション @Fiction_kk

『End Call』 ホラー味は薄めで、リングに始まるJホラー、都市伝説から地獄少女まで視界にいれて、それらにさりげなく突っ込みを入れつつ、この手のものを見慣れた観客の想像を越えていくかなりクレバーな脚本と、極端に陰影を刻んだ映像に感心

2010-10-25 22:58:57
株式会社フィクション @Fiction_kk

寿命より携帯代のほうが問題なのかよ、とか、回転シーンでコーヒーの水面の揺れを見せてるのはわざとか? などこちらが突っ込み入れられる余地も楽しい。予定調和なラストは残念だが、Vシネの延長というより、低予算のハリウッド映画のような印象を受けた、さてここからどこを目指すのか

2010-10-25 23:03:36
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『素数たちの孤独』 素数は1と自分自身でしか割り切れず、決して誰かと寄り添うことはない(連続する素数はない)というたとえで、トラウマを抱えたカップルの、孤高な魂について綴った作品。原作は人気小説ということでダイジェスト感ありありだが、役者が魅力的で引き付けられる

2010-10-26 17:00:41
株式会社フィクション @Fiction_kk

心に障害を負った双子の妹を、遊びに夢中になって見殺しにしてしまった…という主人公のトラウマはどこか泣きゲーとかラノベを思わせる作られた不幸で、わかったから他人に迷惑かけんなよ、と言いたくなるが、自分が特別(素数)だと思い込むのは誰にでもあることか。ラストは気持ち良い

2010-10-26 17:04:22
株式会社フィクション @Fiction_kk

『ハンズ・アップ』舞台は現代のフランス。好きになった娘が実は不法移民で、でもママが政府から匿うために彼女をウチに同居させることになっちゃったから、ボクドギマギ! という「小さな恋のメロディ」「禁じられた遊び」の系譜で「僕らの七日間戦争」も入ってるが、ラストで全てひっくり返す!

2010-10-26 17:09:03
株式会社フィクション @Fiction_kk

実は映画は2067年の登場人物たちが「まったくあの頃のフランスときたら。ま、大統領の名前も覚えてないけど」と語る形で始まっている。未来の視点から現代を寓話化しているわけだが、それがラストで生きる。安易なハッピーエンドではなく、「これは寓話ではなく現実の問題だ」と逆転する

2010-10-26 17:12:40
株式会社フィクション @Fiction_kk

『そして、地に平和を』四本観たコンペの中では一番好み。ローマ郊外の団地で強姦事件が起き警察が常駐するように。だが元からそこでクスリの売人をやっていたワルたちにとっては迷惑なので、自分達で強姦犯を捕まえようとする…というプロットは皮肉な黒社会もので良いが、それが唐突な幕切れを迎える

2010-10-26 17:18:07
株式会社フィクション @Fiction_kk

「ゴモラ」でも描かれたように暴力組織に属しているのは特別な人間ではなく、「ソプラノズ」のように家に帰ればよき家庭人でもある。「だがそれはやはりまともじゃない」と映画は唐突に突き付けて来る。普通の人間が一方で暴力を連鎖させている。それがリアルだからと肯定していればよいのか?!と

2010-10-26 17:22:01
株式会社フィクション @Fiction_kk

この強烈なメッセージは映画製作者や観客にも向けられている。ギャングを同じ人間だと理解し、彼らに普通の人間とおなじ悩みがあっても、彼らを認めることは結局暴力の連鎖に一役買っているにすぎない。ここまでハッキリそうしたものへの嫌悪を示した作品は他になく、賛辞を贈りたい

2010-10-26 17:25:43
株式会社フィクション @Fiction_kk

わざとかも。映画の中みたいなことやってるけど、本当はどう?と。犯人も悪いけど一番の悪は「そこにあるものに慣れてしまった我々」だというテーマも、市民の罪を描く点で共通します RT @Sakai_Sampo: @Fiction_kk そのセッティングはちょっと「M」を思わせますね。

2010-10-26 17:30:48
株式会社フィクション @Fiction_kk

『海の道』フィリピンからマレーシアへ仕事を求め密航する人々の過酷な旅を、あたかもドキュメンタリーのようにリアルに描いた作。メキシコからアメリカへの密入国は近年よく描かれているが、苦難の果てに国境警備隊の銃撃が待っている彼らの旅の報われなさには言葉がない。満席状態だったのは何故だろ

2010-10-26 20:18:20