『ゴリラスレイヤー ア・カインド・オブ・ダークゴリラ』#2
「貴方が追っている『セクト』についても、協力できるかもしれない」セクトの罠の可能性も無論有る。だが、それはそれで構わない。ゴリラスレイヤー独りで情報を集めるよりは、火中のバナナを拾う方が可能性は幾分か高いだろう。 21
2014-02-07 01:46:20「だからまずは貴方の話、聞かせて貰えるかしら?」「……良かろう」ゴリラスレイヤーは答える。まずは、このジャーナリストと共闘し、セクトを探る。だがその胸中には、また別の思いも渦巻いていた。 22
2014-02-07 01:46:54これが、或いは己の新たな群れなのかもしれぬ。ゴリラの本能が告げていた。仮初であっても群れは必要なのだ。例え人間性を失おうとも、己を殺戮類人猿にしてしまわぬために。 23
2014-02-07 01:47:35◆宣伝枠◆ゴリラスレイヤーはニンジャスレイヤー二次創作ですが、ゴリラが出てこないものもある……好きなものを選んでしよう 「『ニンジャスレイヤー』二次創作まとめ、のまとめ」http://t.co/mhigo8llcN◆独立◆
2014-02-07 15:58:43ネオキンシャサ、フルーツ・ピラー最上層。ここは嘗てフルーツ・シンジケートの居城であった場所である。そこでは独りの少年ゴリラの前に、油断なきゴリラ戦士達が整列していた。 25
2014-02-07 16:01:36「我々は、未曾有の危機に瀕していた」少年ゴリラは言葉を紡ぐ。ゴリラ戦士達はそれに神妙な面持ちで耳を傾ける。少年ゴリラの名はゴリモト・チバ。シンジケートの支配者、ゴリモト・カンの息子だ。 26
2014-02-07 16:03:19「国は荒れ、バナナは絶え、我々ゴリラの滅亡は間近だった。……シンジケートもまた潰え、父上を初めとする多くのゴリラ憑依者達も犠牲となった」すすり泣く声。多くのゴリラが戦友達を、そして偉大な指導者を失った事を悲しんでいるのだ。 27
2014-02-07 16:04:55「だが、我々はここに戻ってきた」すすり泣きは次第に消える。「シンジケートではなく、セクトとして。……そして」チバは言葉を切った。ゴリラ戦士達は、何かを待つよう顔を上げた。そう、新たな王、群れの主の言葉を。 28
2014-02-07 16:06:41「セクトはバイオバナナ生産により復権した。この国は再び、ゴリラの楽園となる!」ゴリモト・チバが高らかに勝利宣言を謳う。『ウオオオオオーッ!!』その瞬間、爆発的なゴリラ戦士達の歓声、足踏み、ドラミングがホールを包んだ。 29
2014-02-07 16:10:46文明という禁断の果実を手にしたゴリラは、最早人類を凌駕するというのか。果たしてゴリラスレイヤーはセクトの陰謀を、そしてこのゴリラ戦士達を止める事が出来るのか。それは、今は精霊のみぞ知る所であろう。 30
2014-02-07 16:11:59「……悪いニュースよ。貴方にとって」そう切り出されたアンシーの調査報告を、ゴリラスレイヤーもまた神妙に聞いていた。『セクト』のゴリラ決起集会が行われた事。本拠地の場所。推測されるゴリラ員。そして。 32
2014-02-07 16:15:03「聞いての通りよ」「バイオバナナ……だと」「バイオテック。この国だと見かけないけれど、文明を維持している国では有り触れた技術よ。彼らはそれで、バナナを作ろうとしているみたいね」なんと恐るべき、神をも恐れぬ所業か。 33
2014-02-07 16:16:41「……だが、セクトはバイオ技術とやらを何処から仕入れた?」「鉱山を売り渡したの。日本へ」ゴリラスレイヤーに手渡された資料には、おお、何たることか!『ヨロシサン製薬』の文字!!だがゴリラスレイヤーには読めぬ! 34
2014-02-07 16:18:46なぜなら、日本語だからだ。ゴリラスレイヤーのゴリラ読解力にも限りはある。「……すまぬが、なんと書かれている?」「Yoroshi-san Pharmaceutical」「ヨロシサン製薬……」「日本の暗黒メガコーポ。この国の鉱物資源を欲しがってるみたい」 35
2014-02-07 16:21:51「日本は鎖国状態ではないのか?」「表向きはそう。でも、キョート共和国を通じたパイプがある」アンシーは説明を続ける。技術提供の見返りに、鉱山地帯を租借する密約がもう済んでいる事。即ち、技術の見返りは、この国の大地そのもの。 36
2014-02-07 16:24:50それは植民支配の再現だ。万一公表されれば、世論は黙っていまい。つまり、この取引にはそれだけのバックボーンが存在する。……そして租借区域の中には、ゴリラスレイヤーが人であった頃働いていた鉱山も含まれていた。 37
2014-02-07 16:26:55ゴリラスレイヤーの目にほんの一瞬、感傷めいたものが宿ったが、それはすぐに消え去った。「それが本当ならば」「本当よ」「聞け。そのバナナ製造機は何処にある」「既にフルーツ・ピラーへ搬入されているわ」アンシーは答える。 38
2014-02-07 16:32:52ゴリラスレイヤーは黙考する。ゴリラニューロンが高速回転。フルーツ・ピラーはシンジケート、そしてセクトの本拠地だ。勝算はあるのか。否、答えは決まっている。「……ならば、それを破壊する」一刻も早く。邪悪なゴリラ支配が息を吹き返す前に。 39
2014-02-07 16:34:16ゴリラスレイヤーは己の中に明確な活力が漲るのを感じていた。復讐は未だ終わっていない。ダークゴリラへ辿り着く筋道も明かされつつある。目的は多い。だが筋道はシンプルだ。 40
2014-02-07 16:37:14