新人さんが自信を持つ事について
新人さんが自信を持つのはほんとに大変なことです。プロの作家さんでもほんとはそうなんだと思います。編集者の仕事は作家さんに言うべきことはいいつつも自信を持ってもらうことでしょう。
2010-10-25 15:07:05担当になったということは「この新人は才能がある」と思っているということです。それはつまり、常に「この人の考えていることは面白いはずだ」という大前提に立ち続ける、ということです。
2010-10-25 15:07:17たとえばそれは、ネームが出てきて「ちっとも面白くないなあ?」と思ったとき(まあ、よくあること)「つまんなく感じるけど、それはまだ表現されるべき面白さがよく表現できてないだけなのではないか?」という前提に立つ、ということです。
2010-10-25 15:07:27ある言い方をすれば、「才能を認める」というのは、「この人が面白いと思っていることは、自分にとっても面白いことのはず」と信じることです。
2010-10-25 15:07:37そして「自分にとって面白い」ことは、不特定多数の大勢も面白いと思う可能性が高いと考えられます(その仮定が成立するためにも、編集者は基本“凡人”であることが好ましいです)。
2010-10-25 15:07:45この話もまだ続きがありますが、こないだイブニングの編集長に「あんたのツイッターは長すぎるんだよ!!」と切れられたので、この辺で一回たたみます(笑)。確かにひとつのトピックが長いかも。続きはのちほど。
2010-10-25 15:07:54昨日の続き。才能を信じて担当になった以上、ネームが面白くないときは「つまんなく見えるのは、ほんとは面白いのにその面白さがよく表現できてないだけなのではないか?」という前提に立つべき、という話。
2010-10-26 17:32:30つまらないなあ、と思ったら「なぜこれを描いたの?」「どこが面白いと思ったの?」ということをかなりじっくりじっくり時間をかけて聞いたほうがいいと思う。
2010-10-26 17:32:42なんていうか、ほんの些細なピントのズレみたいなもので「ああ! そういうことが言いたかったのか!!だったらもっとこうしなきゃ」みたいなものが出てくることがある。コマの大小を変えたり、セリフの言い回しを変えたり、構成を入れ替えたり。そういうことで見違えるように変わってきます。
2010-10-26 17:33:01木の葉の中にうずもれた保護色の虫みたいな感じで「表現したいこと」が隠れちゃってることがあります。一見さっぱりわからないけど、一回ピントが合えばもう見失わない。だからとりあえずネームは「木の葉の中には虫がいる」前提で見た方がいいということ。
2010-10-26 17:33:15ただ、実際はいつも虫が隠れているわけではもちろんなくて、描いてる本人が「ああ、やっぱりつまんないですか」ってときは探しようもない。
2010-10-26 17:33:28「絶対虫はいる!」って確信じゃなくてもいい。ぼんやりでも“いる気がする…“って予感があるときは担当とふたりでじっくり探してみたほうがいいと思います。探していなかったら「なーんだ。いなかったんだんだね」でまたやりなおせばいいんだからさ。
2010-10-26 17:33:50新人さんの側にも、担当の話をじっくり聞くクセをつけてほしくもあります。一応その担当を信用しているなら「こいつの話はそれなりの価値はあるんじゃないか」と思ってほしいです。編集者も未熟だと、当然ながら自分の考えをうまく伝えられないものなんです。
2010-10-26 17:33:58それにつけてもつくづく思います。「面白い」って主観だなあと。他人から見てどんなくだらないことでも本人が「面白い!」と思ったら、その本人にとっては「面白い」なんだから。そのきわめて個人的な「面白い!」を不特定多数の第三者に伝えることがすなわち表現ってことで……
2010-10-26 17:34:23作家の「面白い」が個人的であればあるほど、それにシンクロできる編集者は優秀ってことになるのかも。そして個人的な「面白い」をたくさん感じられるて、それを多くの人に伝えられる作家はつくづくすごいと思います。「月がとっても青いから~」の世界ですね。
2010-10-26 17:34:36作家は創作を通じて普通だったら見過ごしてしまう世界のすばらしさを我々に伝えてくれるわけです。世界は常に「面白い!」に満ちていて、そのことに気付くと人は元気になる。MANGA OPEN次回は11月30日締め!http://morningmanga.com/news/800
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