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ファシズムとは

作家笠井潔さんによるファシズムのお話し
メモ
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笠井潔 @kiyoshikasai
一昨年の尖閣危機前後に、政治的な分析をかなりの回数ツイートした。その後の総選挙、安倍内閣の成立、参院選、秘密保護法などの流れは、一昨年に予見したことの延長上だったが、今回の都知事選は少し違う。これについて、感想を少しまとめてみたい。
笠井潔 @kiyoshikasai
主要候補の得票は、舛添211万、宇都宮98万、細川95万で、大雑把に2:1:1だった。 61万票の田母神は、0・6ということになる。原発の是非に則して分類すると、再稼働賛成派が272万、即時廃止派が193万票。しかし今回の都知事選では、原発問題が最大争点だったとはいえない。
笠井潔 @kiyoshikasai
かといって、総合的な政策の評価で票が分かれたともいえない。むしろ各候補の政治的・思想的スタンスに則して、票は配分されたようだ。とりあえず分類してみれば、保守主流は舛添、保守リベラルは細川、左翼は宇都宮、右翼は田母上という具合である。この比率が大雑把に、2:1:1:0・6になる。
笠井潔 @kiyoshikasai
仮に「保守主流」としたが、現状維持を基本線として福祉や生活環境の相対的な行政的改善を求める秩序派である。戦後日本の「平和と繁栄」の受益層で、いまだに「昨日のように暮らしていきたい」と望んでいる層が今日でも最大勢力だとしても、しかし、すでに半分を割っているのも事実だ。
笠井潔 @kiyoshikasai
宇都宮と田母上に流れた票は、掲げる方向性こそ対極的だが、「平和と繁栄」の戦後社会が内的に崩壊したことを示している。細川票の場合は、脱原発という点で戦後的な繁栄からの決別を意図するが、その秩序の枠組みは「保守」したいという二面性が窺われる。
笠井潔 @kiyoshikasai
ところで田母上を支持した勢力は、伝統的な自民党極右派(旧青嵐会的・慎太郎的)支持者と、ネトウヨ的な新排外主義が二本柱である。自民党極右派は自民党タカ派を母体としていたし、この勢力は1950年代後半の岸派、それ以降は清和会として存続してきた。現在は安倍晋三に代表される。
笠井潔 @kiyoshikasai
「行動する保守」を標榜する新排外主義勢力は都知事選候補者の田母上に、田母上は石原慎太郎や百田尚樹に、百田は安倍晋三に繋がる。いうまでもなく安倍は自公政権の首相であり、日本の行政権力の頂点に位置する人物だ。しかし自公が推したのは舛添で、ここにはネジレがある。
笠井潔 @kiyoshikasai
他方、宇都宮候補の場合も戦後左翼の共産党・社民党と、新世代の反貧困運動や反原発運動と、支持層には2本の柱があった。ほんとうの意味で21世紀的なのは、「行動する保守」の新排外主義と、ここ数年のあいだに形成されてきた反貧困・反原発・反排外主義の新興勢力である。
笠井潔 @kiyoshikasai
反排外主義の新興勢力のあいだでは、とりわけ秘密保護法反対闘争以降、安部政権をファシズムと規定する意見が少なくないようだ。一昨年の首相官邸前(反原発)から、昨年は新大久保(反ヘイト・反レイシズム)に大衆闘争の焦点的な現場は移動した。
笠井潔 @kiyoshikasai
新大久保の排外主義デモに対抗したレイシストしばき隊(現CRAC)は、自身をヨーロッパのアンティファ運動に重ねあわせている。ヨーロッパでは、アンティファ(シズム)の敵はネオナチだから、この反ファシズムに定義上の問題はない。事実そのままである。
笠井潔 @kiyoshikasai
しばき隊をはじめとするカウンター勢力が街頭で対峙した排外主義デモには、ヒトラーやナチズムを肯定する人物が多数参加しているが、自称「行動する保守」を21世紀日本のファシズム運動と定義できるだろうか。
笠井潔 @kiyoshikasai
先に述べたように排外主義デモが、田母上を象徴的な中間項として安倍政権まで連続しているとしても、この政権をファシズムと規定できるだろうか。アンティファ運動の「敵」という意味を込め、厳密性を要求しない大衆的スローガンとして「安倍=ファシスト」を用いるのなら、それでもかまわないが。
笠井潔 @kiyoshikasai
「安倍=ファシスト」論にこだわるのは、日本の戦後左翼による「オオカミが来る!」式の安易な大衆煽動、危機感の煽りたてを反復しても意味がないと考えるからだ。「××は戦争とファシズム(軍国主義)への道だ」という決まり文句で、1960年代まで社共は大衆を動員してきた。
笠井潔 @kiyoshikasai
@bcxxx2 まだ書いてる途中なので、もう少し読んでください。
笠井潔 @kiyoshikasai
「××は……」の××には、破防法でも警職法でも、安保改定でも日韓条約でも、ありとあらゆる「反動攻勢」が代入できた。戦後日本人の戦争嫌悪、戦中の抑圧体制嫌悪を呼び起こせばなんとかなるという安直さでは、戦後の「平和と繁栄」を批判する運動にはなりえない。
笠井潔 @kiyoshikasai
また、この種の戦後左翼の大衆動員法は、戦争体験世代が減少するにつれて必然的に有効性を失ってきた。宇都宮支持派の二本柱のうち、戦後左翼の政党勢力はともかく、新世代の大衆運動派は第二次大戦の記憶をもたない。
笠井潔 @kiyoshikasai
「オオカミが来る!」式の戦後左翼の大衆煽動とは無縁の場所で、「安倍=ファシスト」という規定が自然発生的になされてきた以上、そのことの意味が問われなければならない。
笠井潔 @kiyoshikasai
ファシズムには狭義と広義と、二つの意味がある。狭義はムソリーニを首領とするイタリアのファシズム。広義は、ドイツのナチズムやスペインのフランコ派などを含めた1930年代の反共・反民主主義の政治勢力。スペイン戦争でも共和国派はフランコ軍やイタリア、ドイツをファシストと一括していた。
笠井潔 @kiyoshikasai
広義のファシズム概念が流布したのには、ソ連の影響が大きい。もっとも反動化した帝国主義の政治的上部構造として、コミンテルンはイタリアやドイツの政治体制をファシズムに括った。広義ファシズム概念の、もうひとつの発信源はアメリカだった。
笠井潔 @kiyoshikasai
第二次大戦を民主主義(連合国)とファシズム(枢軸国)の対決として捉えたのが、アメリカだ。この観点からは、連合国の一翼だったソ連が反民主主義の収容所国家である事実も、英米と独日の対立が帝国主義間対立だった事実も抜け落ちている。
笠井潔 @kiyoshikasai
ソ連側のファシズム論はいろいろあるが、アメリカ側のそれは第二次大戦後にハンナ・アレントが『全体主義の起源』を発表するまで、理論的には乏しいものだった。ただしアレントの論は、ナチズムとボリシェヴィズムを「二つの全体主義」として論じたもので、大戦中の連合国vs枢軸国の図式とは異なる。
笠井潔 @kiyoshikasai
コミンテルンも日本共産党も、日本の政治構造をファシズムとは規定しなかった。天皇制は半封建的な君主制であり、日本は軍事的・封建的帝国主義国家だと考えられていた。日本共産党は、今日にいたるまで戦中日本をファシズム国家とは認定していない。中国共産党は日本軍国主義の語を用いる。
笠井潔 @kiyoshikasai
第二次大戦後の日本で影響力を発揮したのは、丸山眞男の天皇制ファシズム論だが、丸山の論にはソ連サイドとアメリカサイドのファシズム観の双方が入っている。枢軸三国の一角を占めた日本の政治権力を、イタリアやドイツのそれと基本的に変わらないファシズムと規定できるだろうか。
笠井潔 @kiyoshikasai
ナチズムとボリシェヴィズムはともに、自身が「運動」であることに強烈な自負を抱いていた。この事実に註目したのはアレントだが、ファシズムは政治権力や国家体制に還元できない。あくまでも「運動」が、旧体制を打倒して権力を奪取したのである。この点でファシズム運動もまた革命運動に他ならない。
笠井潔 @kiyoshikasai
権力奪取と上からの社会改造をめざす左翼革命運動がボリシェヴィズムだとすれば、ファシズムは右翼革命運動である。ボリシェヴィキ党は帝政ロシアの国家と社会を廃墟に変えて一党独裁の新国家、新社会を建設しようとした。同様にナチ党はワイマール国家と社会をずたずたにした。
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コメント

マルンボーリ @tandaji 2014-02-14 21:12:44
ファシズム:帝国で生産した戦略資源の産出量+100%になる。大将軍のmoves移動ポイント+2。 という偏った知識を広めよう(提案)。
マルンボーリ @tandaji 2014-02-14 21:18:40
まぁファシズムなんて結局、延々外敵を作らないと維持できない体制思想だし、過去の例で成功した国もない。現代の先進国では、概ね自由に行動し考える事が許される現体制を否定する未来は来ないでしょうね、国民に総スカン食らうでしょうし。
清水代歩 @kaho_biz 2014-02-14 23:30:21
ナチスの「社会主義」はかなり本気のもので、ゲッツ・アリー『ヒトラーの国民国家 強奪・人種戦争・国民的社会主義』の引く43年の富裕者側の主張によるならば企業利潤の8〜9割を国庫におさめ、ゲルト・ユーバーシェア&ヴァンフリート・フォーゲル『総統からの贈り物 ヒトラーに買収されたナチス・エリート達』によればグスタフ・ノスケ以下の旧左翼の年金を「ダニ共(旧王侯)を排除してくれた」という理由で増額してたそうな。
清水代歩 @kaho_biz 2014-02-14 23:30:41
大戦下のナチス政権は富裕層への苛税と占領地からの略奪で一般国民の生活保障に尽くしていて、ゲッベルスなんかは金持ちも貧乏人も平等に働かされる状況をもって「この戦争は社会革命である」と論じてるんですけれども、現代日本の排外主義の一部がナチズムを信奉してるというのは、ナチズムの意味が分かって言ってるとはとても思えません。
清水代歩 @kaho_biz 2014-02-14 23:31:00
ナチズムにおいては私経済そのものは経済繁栄に必須だが無闇な搾取は民族の団結を損なうから規制すべき、そもそも資本家よりも労働者大衆の方が闘争向きである、闘争とは諸民族間の生存圏獲得のためのものであり、それを望まない民族は社会ダーウィン主義的優勝劣敗の法則的に滅亡あるのみ、というものであって、現代日本ではこういう主張を掲げている人は多分いないと思います。
清水代歩 @kaho_biz 2014-02-14 23:31:16
ここで説明しているのはナチスの思想であって、イタリア・ファシズムについては知りませんが。
s.j. @uo_kawa 2014-02-15 00:37:55
昔の日本では、ファシズムを「一国一党」と訳しました。つまり、一党独裁体制を意味していました。また、ファシズムの元祖はイタリアのムッソリーニですが、このファシズム体制を法的に整備したのはアルフレード・ロッコという人です。そして、この人がファシズム組織のモデルにしたのが「対抗宗教改革時のカトリック教会」でした。政治体制としてはこんな感じです。
清水代歩 @kaho_biz 2014-02-15 01:00:47
一党独裁とはいえイタリアでは国王が軍を中心に独自の権威を保持していましたし、ナチスは革命的綱領を掲げながらも現実の国家運営のためにパーペンやノイラート等の従来型の保守派と連携し、それが不満だったSAを粛清しました。ボリシェヴィキがエスエルとかを潰したのとは事情が違いますね。
清水代歩 @kaho_biz 2014-02-15 02:03:17
それと、ボリシェヴィキでは党内粛清を繰り返しましたが、ナチスのそれはSAの時だけで、他はゲッベルスやローゼンベルク等の論客が思いのほか自由に思想面での自説を開陳してお互いに貶し合いながらも粛清はされず、むしろそういった党内闘争が推奨すらされてたようです。まぁこれは最終決定権者としての総統の権威の引き立てになるのと、かような状況からこそ優れた人材を見出し得るという発想によるものだったらしいですが。
清水代歩 @kaho_biz 2014-02-15 02:04:05
ちなみにこの「優れた人材」というのも優良人種の血統だけで決まるのか、精神・性格的なものも重要ではないかとかのナチズムの根幹に関りそうなことまで党幹部によって考えが違ったんですけども、後者の観点からヒトラーの思想は世襲君主にも批判的であった……、そこからワイマール共和国創立時の左翼指導者に大目の年金をやるような捻れが生じる訳です。
清水代歩 @kaho_biz 2014-02-15 02:04:48
本文にある「下からの「運動」による旧体制の破壊と権力奪取」というのは確かにナチスにも当てはまりますが、これは外部の人間が大雑把な印象を語っているだけで、ナチスの中の人がもっと具体的にどういう手法で何をやろうとしていたのかを詳細に検討しないことには意味がないと思います。
清水代歩 @kaho_biz 2014-02-15 04:18:14
ところでナチスの憎む資本主義的搾取というのは実はユダヤの国際金融資本の仕業なのだ(同時に連中は国際共産主義の黒幕でもあるんだ)ということになってたんですけど、30〜32年の党の躍進期には人種主義は票にならんようだと控え目にして、それより企業現場でのストライキ(ユダヤ系て訳でもないドイツ資本との闘争)を連発、時には共産党との共闘すら実行したことで資本家層や従来型の保守派に警戒されるんですけども、
清水代歩 @kaho_biz 2014-02-15 04:19:09
しかしいざナチス政権が成立するとなると資本家側も献金とかでヒトラーに結びつこうとしますし、パーペンたち保守派も巧くナチス(所詮はチンピラゴロツキと思われた)を飼い馴らそうとした……、ということですね。その後のナチス政権の反資本主義がどれぐらいのものだったかはゲッツ・アリーの本についても議論のあるところのようですが(とうぜん時期によっても違う)。
清水代歩 @kaho_biz 2014-02-17 00:59:51
このまとめは更新されてませんけども笠井さんのページ(https://twitter.com/kiyoshikasai)では続きが上がってるので、それへのコメントをここで。
清水代歩 @kaho_biz 2014-02-17 01:00:24
ナチスの反近代性というのは例えば工業では中世のツンフト、農業では古ゲルマン的土地制度に憧れていましたが、同時に前記のように王侯やユンカーを叩いてまして、これは優良民族であっても特定の家系から有能な人間が輩出されるとは限らずむしろ王侯の周囲は卑屈な追従屋ばかりになる、そんな低劣な連中に有能な人間と同等の権利を与えるのも馬鹿げている、という観点から平等主義や民主主義をも否定していた訳です…、
清水代歩 @kaho_biz 2014-02-17 01:00:46
…こんなように「人間の能力」をやたらと強調するのはいわば「歪な近代主義」であって「近代的価値の否定」とは言い難いですよね。ただし王侯についてもその権威と、議会政治より強力に責任を負うという点で評価出来るともしてるんですけども、でもそれよりも、特定の家系・階級に拠らずに見出される優れた人間を民族の指導者に据えるべきであり、優良民族とは全能力を民族共同体に奉仕させる程度が最大なのだと。
清水代歩 @kaho_biz 2014-02-17 01:01:08
ナチスの対外政策がイギリス基軸の19世紀的世界への挑戦だというのは、確かに大戦下の西部占領地では「英国の自己中心的政策からの解放」を宣伝しましたがこういう発想はナチス党内では傍流で、本流はやはり独英同盟を結んだ上でのソ連の撃破による東方生存圏の建設でしょう。ソ連はユダヤ・ボリシェヴィキの本拠とされてましたから、ユダヤ人の除去という対内政策はヒトラーの世界観においては対外政策と渾然一体であったと。
清水代歩 @kaho_biz 2014-02-17 01:01:26
コーポラティズムについてはナチスにも当てはまると私も思います。それを乱すような資本主義的搾取やマルクス的階級闘争には断乎反対するという発想がナチスの反資本主義・反共産主義の根幹でして、かようにして優れた指導者のもとに社会の調和=民族の結束を固めた上で他民族との生存圏獲得闘争に挑むべし、主敵は国際金融資本の黒幕にして国際共産主義の親玉でもあるユダヤ人である…、
清水代歩 @kaho_biz 2014-02-17 01:01:44
…そのユダヤ人は諸民族の平等とかの甘言(民族・人間の能力には厳然たる格差があるとするナチスの価値観と真っ向から対立する)を弄して寄生虫的に諸民族を支配するという形で彼等なりに民族間闘争に従事している、かような闘争こそが人類の歴史である、という具合な訳です。
清水代歩 @kaho_biz 2014-02-17 01:02:10
以上のことは19世紀以来の欧州右派(或いは左)思想界で言われていた様々な言説を切り貼りしたものにすぎなくはあるんですけども、それでもそれなりに完成された世界観として仕上がっている以上は、その世界観総体を指して「ナチズム」と呼ぶべきであって、総体を把握しないまま切り貼りの部分部分だけを持ち出して批判対象を「ナチス以上にナチス的」とか論ずるようでは、どんなものにでもナチスのレッテルを貼れてしまうと思います。
清水代歩 @kaho_biz 2014-02-17 01:02:34
前にも言ったようにこれはあくまでも「ナチズム」の話であってもっと広義の「ファシズム」となると私もまるで分からなくなりますが、笠井さんの話で具体例としてあがってるのがナチスなので。あとアクション・フランセーズをファシズムに含める人は殆どいなかったかと。(とりあえず王党派という時点でナチスと相容れない)
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