ストレイトロード:ルート140(3周目)

オリジナル短編「ストレイトロード」のコンビがお届けする、短編という名の習作。1日1話ペースで継続中。 今回は101~150をまとめました。 元の短編の掲載場所: http://www.gekkado.jp/
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Rista(化屋月華堂) @Rista_Bakeya

140文字で描く練習、124。値段。

2014-01-22 22:29:11
Rista(化屋月華堂) @Rista_Bakeya

これから大きな物を運ぶというので車の後部座席を片付けていたら、シートの下からなぜか鋸が出てきた。「それわたしの」藍が助手席から主張する。「だって道具ないとモノ壊せないもん」言い方は物騒だが、確かに風で物は切れない。空気による裁断自体はできるがそれは工業の話だ。彼女の領域ではない。

2014-01-23 20:20:12
Rista(化屋月華堂) @Rista_Bakeya

140文字で描く練習、125。鋸。 時には武装もするらしい。

2014-01-23 20:20:47
Rista(化屋月華堂) @Rista_Bakeya

「次は絶対負けない!」高く突き上げた拳が車の天井を叩いた。藍は一瞬決まり悪い顔をしたが、すぐ腕を下ろしてシートに座った。「どんな手品使ってくるかはわかった。種も仕掛けも見抜いてやるんだから」口にするのは自分を出し抜いた相手のことばかり。自らの行動への反省はいつも決して出てこない。

2014-01-24 23:54:12
Rista(化屋月華堂) @Rista_Bakeya

140文字で描く練習、126。反省。

2014-01-24 23:54:24
Rista(化屋月華堂) @Rista_Bakeya

「これ何」本をめくっていた藍が一枚の写真を指した。人物の背景に映るモノクロの空に一筋の白線が入っている。飛行機雲のことを説明したが、なかなか理解されない。「要するに飛行機が通った跡でしょ?車のタイヤの跡みたいなの」藍は私の襟を掴んで言う。「さっきの説明、難しすぎて全然わかんない」

2014-01-25 21:51:59
Rista(化屋月華堂) @Rista_Bakeya

140文字で描く練習、127。飛行機。

2014-01-25 21:53:03
Rista(化屋月華堂) @Rista_Bakeya

山道に入る前日、ラジオは雪の予報を連呼した。そして今朝の空はそれを裏付ける色をしていた。しかし藍は予定通りの出発を譲らない。「雪雲なんてどうにでもなるわ」「風で他の場所にやるんですか?」人里への被害を心配しつつ出発すると、強引な山越えに失敗した雲が吹雪を生んだ。車は立ち往生した。

2014-01-26 23:27:15
Rista(化屋月華堂) @Rista_Bakeya

140文字で描く練習、128。吹雪。 過信はいけない。

2014-01-26 23:27:39
Rista(化屋月華堂) @Rista_Bakeya

招かれた家のリビングに一枚の絵が飾られていた。題材は春の宴。高さは床から天井付近まで、幅もほぼ同じ。「これを子供の頃からずっと描いてたの?」絵の前に立った藍が作者の青年を見て両手を広げる。巨大な絵に重なった影がどうも不自然だ。よく見るとそれは額縁まで含めて描き込まれた壁画だった。

2014-01-27 19:54:24
Rista(化屋月華堂) @Rista_Bakeya

140文字で描く練習、129。壁画。

2014-01-27 19:54:32
Rista(化屋月華堂) @Rista_Bakeya

魔女は箒に乗って空を飛ぶ。遠い昔の伝承は形を変えて今も残っている。その場面を描いた絵葉書を手に、助手席に座る小さな魔女が唸っていた。「箒より使いやすくて凄そうなもの…」何かに乗りたいらしい。「芝刈り機。でもうるさいからダメか」夢があるのかないのか。彼女を乗せた車は飛ぶように走る。

2014-01-28 21:31:56
Rista(化屋月華堂) @Rista_Bakeya

次の目的地まで長旅になると判断した私達は市場で食料を集めて宿に戻った。買った物を仕分けている途中、ふと横を見ると、野菜の隣に置いた豆が少し減っていた。肉類を包む間にまた少し。三度目で鍋に映った手を捕まえた。「買う時は自分だけ試食してたくせに!」藍は豆を握る手で私の腕を振り回した。

2014-01-29 20:06:21
Rista(化屋月華堂) @Rista_Bakeya

140文字で描く練習、131。豆。 刹那のつまみ食い。

2014-01-29 20:06:46
Rista(化屋月華堂) @Rista_Bakeya

夜の街の片隅。高級車から降りた男を追って踏み込んだ裏通りには若い女がいた。密会の現場に違いない。私は近づこうとする藍の肩を掴んで引き留めた。「何かの証拠でも撮るんですか」「行き先が知りたいだけ」互いに声を潜める。甘い会話は聞こえない。「怪しい大人っていつもどこかに隠れるでしょ?」

2014-01-30 19:48:21
Rista(化屋月華堂) @Rista_Bakeya

140文字で描く練習、132。密会。 想像の及ばない世界だからこそ興味は深くなる。

2014-01-30 19:48:28
Rista(化屋月華堂) @Rista_Bakeya

荷物の底に潜ませていたよそ行きのドレスが無事だったと藍がはしゃぐ。私は皺を伸ばす作業だけ手伝い、袖を通す時は背を向けて待った。「これで完璧。用意しててよかった!」手を引かれて振り返る。薄緑のドレスの胸元に青い宝石が輝いていた。一目で作り物と判ったが、光の色は藍によく似合っている。

2014-01-31 21:43:03
Rista(化屋月華堂) @Rista_Bakeya

140文字で描く練習、133。胸元。 お城の舞踏会じゃなくても着飾る場所なら着飾りたい女の子です。

2014-01-31 21:43:12
Rista(化屋月華堂) @Rista_Bakeya

「これ持って立ってて」私を屋上に残し、藍は階段を降りていった。黄色い布を託された理由はすぐ分かった。牛のような怪物が不気味な光沢のある翼を広げ、空中を突進してくる。誘き寄せる目印なら布だけで十分では。思った直後、見えない手が翼を掴み、空から引きずり降ろした。強風が私の頬を叩いた。

2014-02-01 22:42:46
Rista(化屋月華堂) @Rista_Bakeya

140文字で描く練習、134。目印。 絶対の自信が無謀の動力になる。

2014-02-01 22:44:10
Rista(化屋月華堂) @Rista_Bakeya

市役所に入ってすぐ、ホールの中心に置かれたガラスケースが目についた。放射状に並べられたブロックは街を模したミニチュアだった。この建物の模型はとても精巧だと一目で分かるが、街そのものはもう本物とは比較できない。「前はこんな低い建物しかなかったの?」藍がガラスに貼りつく格好で呟いた。

2014-02-02 21:30:27
Rista(化屋月華堂) @Rista_Bakeya

140文字で描く練習、135。模型。 年月は世界を変えていく。

2014-02-02 21:30:56
Rista(化屋月華堂) @Rista_Bakeya

藍は食料品店の店先に繋がれた白い動物を見つけ、周囲を確かめもせず駆け寄った。「可愛い。ここで飼ってるのかな」「お客さんが連れてきたんでしょう」「山羊連れて買い物?」私は息を呑んだ。藍が撫でている生物は確かに山羊ほどの大きさだが、その巻き毛はどう見ても違う。羊にしても首が長過ぎる。

2014-02-03 22:37:01
Rista(化屋月華堂) @Rista_Bakeya

140文字で描く練習、136。山羊。 途中から霜軌さんのSS企画に乗っかりました。ごめんなさいつい出来心で。地図にまた新しい道を書き記すついでに、さてこいつは何でしょう。

2014-02-03 22:37:42