『ゴリラスレイヤー ア・カインド・オブ・ダークゴリラ』#6

ゴリラスレイヤーの続編。パート7 ゴリラスレイヤー:http://togetter.com/li/623804
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碌星らせん(ろくせい・らせん) @dddrill

ギガントピテクスとなったゴリラスレイヤーは悲しみの咆哮を上げる。それは弔いだ。滅びたギガントピテクスに。滅びたナラクピテクスに。滅びたゴリラに。……そして、これから滅ぼすゴリラ憑依者と、人類に向けての。 23

2014-02-23 02:14:58
碌星らせん(ろくせい・らせん) @dddrill

これまでのあらすじ:炎の中、満身創痍のゴリラスレイヤーは新たな力を得て蘇る。その姿の名はギガントピテクス。全ての類人猿の根源と化したナラクピテクスの力が今、解き放たれる。

2014-02-23 19:47:09
碌星らせん(ろくせい・らせん) @dddrill

ピラー最上階、第80階層。このフロアは装甲化されており、79階での自爆の影響も殆ど無い。「79階でヒュージゴリラ殿、ゴリラクエイク殿が自爆しました」人間のオペレーターが状況を伝える。「……ゴリラスレイヤーは死んだか」 25

2014-02-23 19:51:22
碌星らせん(ろくせい・らせん) @dddrill

「断定は出来ません」「早く調査しろ!」「しかし、ネットワークへの侵入と、自爆によるセンサ破損により……」「非ゴリラのクズめ!」「アイエエエエ!!」ゴリモト・チバはハバナ葉巻(注:バナナ葉巻ではない)を投げつけ、オペレーターは悲鳴を上げる。 26

2014-02-23 19:52:27
碌星らせん(ろくせい・らせん) @dddrill

「ダークゴリラを呼べ!!」「既に御前に」其処には、既にオブシディアン色のゴリラの姿が在った。ダークゴリラである。「良し!79階に下り、状況を確認せよ!」「はっ!」ダークゴリラは平伏し、一陣の風となって消えた。 27

2014-02-23 19:53:38
碌星らせん(ろくせい・らせん) @dddrill

ダークゴリラが消えた後。「……ゴリヤス」チバは、背後に立つゴリラへと呼びかけた。「何でございやしょう、若」「ダークゴリラを監視しろ。二心を見せたならば、即座に討て」「しかし、それでは若の警護が……」 28

2014-02-23 19:54:26
碌星らせん(ろくせい・らせん) @dddrill

「構わん。僕とてゴリラだ」「若がそう仰るならば……!」ゴリヤスは深々とオジギをし、階段へと向かった。「……おい、下の階層はどうなっている」「状況不明。火災により来援は困難かと」チバは新しいハマキに火を点ける。 29

2014-02-23 19:56:59
碌星らせん(ろくせい・らせん) @dddrill

ダークゴリラは以前より不審な動きが有った。だが、決定的な証拠は無かった。何より、ダークゴリラの技は失うに惜しい。十分な働きをさせ、使い潰そうとも考えた。だが、ゴリラスレイヤーと殺し合わせる事にも失敗した。 30

2014-02-23 19:59:08
碌星らせん(ろくせい・らせん) @dddrill

しかし、セクトが危機に陥っている今。ダークゴリラは今度こそ尻尾を出すかもしれぬ。ここで証拠を掴み、下からの増援で押し潰す。それがチバの考えであった。自身は、いざとなれば屋上のヘリで脱出すれば良い。 31

2014-02-23 20:00:09
碌星らせん(ろくせい・らせん) @dddrill

ズシン……ズシン……と重低音を響かせ、ダークゴリラは階下へと進む。自分を追う者の存在には気付いていた。ゴリモト・チバが自らを疑っている事も。だが、それはそれで良い。どの道セクトの野望は挫ける。これは降って湧いた好機だ。 33

2014-02-23 20:01:37
碌星らせん(ろくせい・らせん) @dddrill

ゴリラを根絶すれば、己の呪いは解ける。それが、古代ゴリラ文明を調査し、ダークゴリラが導き出した結論だった。セクトへの二心などではない。全てはこのためだったのだ。全てのゴリラが滅びれば、この……呪われた身体は。 34

2014-02-23 20:02:57
碌星らせん(ろくせい・らせん) @dddrill

「ねえお父さん、なんで僕やお父さんは、ゴリラなの?」幼き日のダークゴリラは、父にそう問うた。「やっぱり、ゴリラなのかな?」「ハハハ、まさか」父は笑っていた。顔は思い出せぬ。だが、乾いた笑いだった。 36

2014-02-23 20:08:35
碌星らせん(ろくせい・らせん) @dddrill

「ゴリラは喋れないだろう?」「うん……」「どうして、ゴリラだなんて思ったんだい?」「だって……」どう見てもゴリラだから、とは言えなかった。「いいかい?これは父さんの家にずっと続いている、呪いなんだ」 37

2014-02-23 20:10:58
碌星らせん(ろくせい・らせん) @dddrill

「ずっと続いてるの?」「そうさ、父さんの父さんも、同じ。遺伝だよ」幼いダークゴリラは聞く。彼らの一家は、人里離れた場所にひっそりと暮らしていた。人の世界と、ゴリラの世界の境界に。ゴリラの外見と、人の心。そのアンビバレントがそうさせるのだ。 38

2014-02-23 20:15:05
碌星らせん(ろくせい・らせん) @dddrill

「いでんって何?」「そうだね、難しい言葉だね。人とゴリラが居るだろう?」「いる」「それと同じだよ。最初から決められている、どうしようもできない事なんだ」「誰が決めたの?」「さあ……ゴリラかな」 39

2014-02-23 20:18:10
碌星らせん(ろくせい・らせん) @dddrill

「僕に子供が出来ても、ゴリラなの?」そう言うと、父はしばらく考えてからこう言った。「……大丈夫。そんなに心配することはないよ。世の中はどんどん進歩している。きっと、テックが何とかしてくれるさ」 40

2014-02-23 20:22:36
碌星らせん(ろくせい・らせん) @dddrill

だが、テックは何もしてはくれなかった。テックは国土を荒らし、戦争を起こし、ダークゴリラの一家から住処を奪った。母は病に倒れ、父はゴリラ刈りに遭って死んだ。ダークゴリラはシンジケートに身を置き、誰が自分達を呪ったのかを調べた。 41

2014-02-23 20:24:50
碌星らせん(ろくせい・らせん) @dddrill

そして、ダークゴリラは突き止めた。最初のゴリラの存在を。彼は、自身を殺した人間に呪いをかけた。子々孫々に渡って、人の心のまま、ゴリラとして生きる呪いを。……その子孫こそが、ダークゴリラ達だったのだと。 42

2014-02-23 20:29:36
碌星らせん(ろくせい・らせん) @dddrill

そして、ダークゴリラは突き止めた。最初のゴリラの存在を。彼は、自身を殺した人間に呪いをかけた。子々孫々に渡って、人の心のまま、ゴリラとして生きる呪いを。……その子孫こそが、ダークゴリラ達だったのだと。

2014-02-23 22:41:27
碌星らせん(ろくせい・らせん) @dddrill

ゴリラの呪いにも、因果がある。かけた人間が死ねば、呪いは解ける。この国にかつてかけられた、鎖国の呪いの如く。だが、ダークゴリラの呪いは解けていない。……ならば、最初のゴリラはまだ何処かに生きている筈だ。 43

2014-02-23 22:42:32