@isknymh 25.「本当はもっと一緒に居たかったんだけど…」急な仕事が入り明日は出勤しなければならないことを聞いていたので、大丈夫だよと悲しげな表情をした彼女を撫でながら慰めた。「こうして誕生日にお祝いできただけでも良かったよ。ありがとう」「お礼を言うのは私のほうだよ!」
2014-02-27 23:30:20@isknymh 26.お礼を言い合う二人は一瞬目と目が合うと、すぐに笑った。そして杉原がいさきなを引き寄せ、頬に触れると澄んだ夜空の下で口付けを交わした。世界に二人だけしかいない、甘くて幸せな時間。 ―ずっと隣に居れますように― 唇が離れるとくすりと笑い、抱き締め合った。
2014-02-27 23:30:40@isknymh 27.「ここで大丈夫」改札口の前で立ち止まる。「気をつけて帰ってね」「うん、杉原くんもね!今日は素敵な誕生日にしてくれてありがとう!」「どう致しまして。喜んでくれて良かったよ」「一生の思い出だよ!また連絡するね!」「うん。僕もするよ」「じゃまたね!」「またね」
2014-02-27 23:30:56@isknymh 28.手を振る彼女に答えるように振り返す。杉原は姿が見えなくなるまで見送った。誰よりも愛しくて守りたくて隣に居たいと思える女の子はいさきなだけ。だからどうかこの先も彼女にたくさんの幸せが訪れますように。生まれてきてありがとう。 杉原は微笑み、その場を後にした。
2014-02-27 23:31:27@isknymh ナレーション:こうして杉原君といさきなさんの楽しいデートは幕を閉じました。これで終わりと…思いきや…。 なにやらこの後もう少しお話が続くようです。気になる続きは…。 裏垢へ急げ!!ε=ε=ε=ε=ε=ε=┏(*´∀`)┛
2014-02-27 23:32:35@isasugina 1.彼女と楽しい時間を共有でき、杉原は頬を緩めながら帰路に着く。その足取りは軽かったが、家に近付くに連れて足が重くなる。今、彼にあるのは心地良い幸せと後ろめたい罪悪感。それは彼女に対してでもあり、家で待つ彼にもだ。彼女に触れた唇に指を這わせ、唇を固く結んだ。
2014-02-27 23:33:44@isasugina 2.恐る恐るドアノブを開ければ、彼…郭英士は玄関で杉原を待ち構えていた。「おかえり。外寒かったでしょ」郭に腕を引っ張られ引き寄せられながら杉原は慌てて靴を脱ぐ。「…ただいま。雪まだあるし、寒いよ」そう答えて郭を見上げれば、鼻真っ赤と呟かれ鼻先を甘噛みされた。
2014-02-27 23:34:29@isasugina 3.赤面した杉原は自分を包む郭の腕を払いのけると部屋の奥へ逃げるように進んで行った。「デート、楽しかった?」そんな杉原に問いを投げかけながら郭は後を追う。「楽しかったよ」と振り向き口角を上げながら穏やかに笑む彼に、自分が質問したにも関わらず酷く苛立ちを感じた
2014-02-27 23:35:15@isasugina 4.「行ってくればって言ったのは君じゃないか」 郭に背を向けて、杉原は聞こえないくらいの声で呟く。デートに誘われたときも、告白を受けたときも、いいんじゃないと言ったのは郭だった。 ーーむしろそれはけしかけられているかのようで。 杉原は再びため息を零した。
2014-02-27 23:36:23@isasugina 5着替えてくる、と言い残して逃げるように自室へ向かう杉原の後ろ姿を、郭は黙って見送ることしかできなかった。ドアを閉める乾いた音が虚しく響く。杉原の言う通り確かに反対はしなかった。むしろ後押しするような言葉すら投げかけた。 敵を甘く見ていた自分に心底腹が立つ。
2014-02-27 23:37:27@isasugina 6杉原の幸せを考えれば、彼女との関係を祝福すべきなのは郭にもわかっている。でも、まだ何も覚悟は出来ていない。 手放す気など毛頭ない癖にどうして試すような事を言ってしまったのだろう。 そもそも、杉原が彼女に本気で惹かれているのに気付くのが遅すぎたのだ。
2014-02-27 23:38:23@isasugina 7自分の慢心が招いた結果なのは重々承知だ。 それでも、彼女よりやっぱり君がいいな、と杉原が言ってくれるのを、心のどこかでまだ期待していた。いや、まだその期待を諦められずにいる。 郭が自分の浅ましさに辟易していると、再び杉原の部屋の扉がゆっくりと開かれた。
2014-02-27 23:39:27@isasugina 8.部屋着に着替えてきた杉原を郭は一瞥する。引き摺る後悔は彼の心を酷く揺さぶっていた。「どうしたの?」杉原はこちらをちらりと見ただけで何も言わない郭に眉を顰めながら首を傾げ、そろそろと近寄る。
2014-02-27 23:40:52@isasugina 9.思わず、郭は自分に寄ってきた杉原の腕を引っ張るとリビングのソファに座らせ、その横に腰掛ける。 「なに。」「ちょっと膝かして。」体勢を崩した郭は、杉原の膝の上に頭を乗せ、嫉妬と自己嫌悪が混じった情けない顔を杉原に見せないように顔を交差した腕で覆った。
2014-02-27 23:41:34@isasugina 10.杉原は郭の突然の行動に目を瞬かせるもふっと笑みを零し、膝に乗る柔らかい髪を優しく撫ぜる。指通りの良い髪を指で遊びながら杉原は「どうしたの。」ともう一度問い掛けた。
2014-02-27 23:42:10@isasugina 11.「なんでもない」発せられた言葉はいつになく冷たい。心配されればされるほど、郭の嫉妬心が醜さを増し、内に秘めていた黒い感情が大きくなっていく。郭は我慢できずに杉原の唇に吸い付き舌を絡めとった。突然の行為に目を見開くも、どこかこうなることを予想していた。
2014-02-27 23:43:58@isasugina 12.彼女とのデートを楽しむ傍ら、嫉妬に狂う郭が自分を求める姿が頭に浮かび、切ない気持ちになる。けれども同時にたぎっていた。だから尚更抵抗しても無駄だとわかりきっていたし、突き放すこともできない。受け入れられたとわかった郭は杉原をいとも簡単に組み敷く。
2014-02-27 23:44:48@isasugina 13.郭は最初に目を。次に鼻や唇、そして首や鎖骨に貪るようにキスの嵐をふらせた。最後に一番弱い部分の耳にわざと音を立ててキスをし甘噛みすると、杉原は怒涛の求愛にじわりじわりと内なる欲が芽生え始める。郭が杉原のスエットに手をかけた瞬間、怪訝な顔をした。
2014-02-27 23:45:53@isasugina 14.「彼女、香水なんてつけてるの」「え…?」ふわりと鼻に届いた香りが何なのか理解する。すぐに察した杉原は静かに答えた。「…今日だけだよ」「それだけ特別な日ってことか」郭はギラリと鋭い目付きで杉原を捕らながら。 「彼女の匂いや温もり、全部俺が消してやるよ」
2014-02-27 23:46:37@isasugina 15.郭はスエットを剥ぎ取り、あらゆる部位に赤い花びらを咲かせる。身体全体に赤い印がついた時、上体を起こして腰を掴んだ。 「優しくなんてしてやらない」 余裕がない顔つきで杉原を攻め立てる。ギシギシと軋む音と二人の微かな息づかいが部屋を満たしていた。
2014-02-27 23:48:31@isasugina 16. 言葉通り、気遣うなんて優しさもなく痛みが駆け巡り自然と眉間に皺が寄ってしまう。そのときはまだソファが軋む音が規則正しく聞こえるくらいの冷静さは保てていたはずだ。しかし痛みが快楽へと変化するにはそう時間はかからず、声が出そうになるのをぐっと堪えた。
2014-02-27 23:49:11@isasugina 17. 杉原はそっと目を開けて郭を見上げる。艶やかな黒髪が垂れ、首筋にはじわりと汗が滲んでいる。泣きそうになっているのかと思うくらい何かに必死に耐えているような表情は杉原の感情を揺さぶるには充分だった。 余裕がないのはお互い様だ。
2014-02-27 23:49:42@isasugina 18. そっと手を郭の頬に伸ばし親指で伝う汗を拭った。その行動に僅かに郭の肩が揺れ動きが止まり一瞬静寂な時間が訪れた。杉原はそのまま上体を起こしこめかみから手で髪を梳くように差し入れ後頭部を掴み唇を重ねる。「彼女と一緒に過ごしたことがそんなに気に入らない?」
2014-02-27 23:50:16@isasugina 19.「…お前の幸せは、あの女と一緒になることかもしれないけど」どうしても手放せない…そう小さく呟くように言えば、郭は杉原を掻き抱く様に抱き寄せた。キツく締まる腕に杉原は僅かに身じろぐも彼の背中にそっと腕を回して背中を撫でさする。
2014-02-27 23:51:09@isasugina 20.郭の嫉妬を心地良く感じている自分も大概だと内心杉原は苦笑した。「お互いさま…ぼくだって君を手放せない。彼女がいるのに、ぼくはいつだって君を気にしてる。こんなに求めたくなるのだって君だけ」至極穏やかな声色で杉原は告げ背中を優しく叩けば更に腕の力が強まった
2014-02-27 23:51:36