#リプしたやつらをまとめて無人島に漂着させる

現在未完結
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ボマー @bomber_bookworm

……なんだか口の中がジャリジャリする。最初に君が感じたのはそれだった。それに身体中が何だか濡れているようだし、すごく疲れているし、でも背中はジリジリと暑い。寝ぼけたような頭を苦労して上げて、霞む目を開く。#リプ無人島

2014-03-02 00:00:45
ボマー @bomber_bookworm

君はどうやらちょっとした砂浜にうつ伏せに横たわっていたようだった。胸あたりから下はまだ海の中で、尻のあたりが打ち寄せる波に洗われている。身体を起こそうとして、ビート板ほどの木の板を抱え込んでいたことに気づく。その両端はギザギザに折れている。#リプ無人島

2014-03-02 00:01:04
ボマー @bomber_bookworm

なんでこんな所でこんなものを? そうだ。これはあの帆船の一部だった板だ。まるで覚えていないけれど、渦に巻かれる中で必死で掴んでいたようだ。たぶんきっとそれは、ものすごい幸運だったのだろう。船の沈没に巻き込まれたら、普通はまず助からない。#リプ無人島

2014-03-02 00:01:16
ボマー @bomber_bookworm

沈没。そうだ。ようやく君の記憶と意識がはっきりとする。ミステリーツアーで乗った古い時代の帆船が、座礁して沈んでしまったのだ。そこから幸運もあって助かった君。ではここはどこだ。浜辺に這い上がりながら、君は周囲を見回す。#リプ無人島

2014-03-02 00:01:35
ボマー @bomber_bookworm

太陽はまだそう高く昇っていない。日が出たばかりの朝。君の背後に広がるのは、水平線まで何も視界を遮るもの無き大海原。そして眼前にあるのは。#リプ無人島

2014-03-02 00:01:48
ボマー @bomber_bookworm

見たこともない木々が茂る森。いや見たことはある、TVなどで何となく見た覚えはある。明らかに「熱帯っぽい」南国の森。その向こう、距離感があまり掴めないが、1kmもないところに壁のような断崖絶壁がそびえたっている。高さは5階建てのビルくらいか。#リプ無人島

2014-03-02 00:03:54
ボマー @bomber_bookworm

木の板1枚を片手に下げて、君は途方に暮れる。 ここは……どこだ? みんなは……どこだ? 自分は……何をすればいい? #リプ無人島

2014-03-02 00:04:16
ボマー @bomber_bookworm

砂浜から陸地に這い上がった君は、喉のひりつきを覚える。どんなに渇いても海水は飲むな、という話は有名だ――しかしどうやら、船から脱出してココに漂着するまでの間、多少なりとも飲んでしまったらしい。君は真水が欲しいと願う。#リプ無人島

2014-03-04 23:58:31
ボマー @bomber_bookworm

とはいえ、着の身着のまま飛び出してきた君の手元に、そんなものがあるはずもない。ポケットにあったのはせいぜいが家の鍵だけ。そういえば携帯電話もパスポートも預けたままだった。周囲を見回しても、君と一緒に打ち上げられたらしい、木くずやゴミがあるばかりだ。#リプ無人島

2014-03-04 23:59:06
ボマー @bomber_bookworm

とりあえず水を探すなら、川だろうか。川を探すなら、海岸沿いに歩くべきだろうか。君は波打ち際から少し離れた浜辺に、君の命を救ってくれた板を突き刺す。スタート地点の目印代わりだ。#リプ無人島

2014-03-04 23:59:46
ボマー @bomber_bookworm

さて、海を背にし、少し先にそびえる断崖を前にして、進むべきは右か左か。海岸線は少し複雑で、張り出した森や岩に視界は遮られがちだ。あまり判断する材料がないことに気づいた君は、まずは適当に、左手の方向に歩を進めてみることにする。#リプ無人島

2014-03-05 00:00:07
ボマー @bomber_bookworm

日差しの照り付ける浜辺を避けて、木々の下を進む。それでも君の服は急速に乾いていく。今は快適なくらいだが、これは本気で水の確保を急がなければならないようだ。#リプ無人島

2014-03-05 00:00:28
ボマー @bomber_bookworm

大声を上げて人を呼んでみるべきかどうか、君は少し迷う。君ひとりが助かったとは思えない。似たようにして、近くに打ち上げられた人もきっといるはず。誰かいませんか。そう叫ぼうと思った、次の瞬間。#リプ無人島

2014-03-05 00:00:48
ボマー @bomber_bookworm

「誰かいませんかー!」君の声ではない、君の進行方向から、大きな声がした。君は急いで駆けだす。そこには、1人の女性が、君と同じように海岸沿いに歩いて来ていた。相手もまた、どこかホッとした表情を浮かべる。#リプ無人島

2014-03-05 00:02:22
ボマー @bomber_bookworm

迷彩柄のカーゴパンツにタンクトップ、豊かな胸と化粧っ気のないショートカットの髪。彼女はマダオ@huriuartria と名乗った。船でも見た顔である。どうやら君と同じように、少し先の海岸に打ち上げられていたらしい。「いやー、誰も居なくて不安でさー」気さくに笑う。#リプ無人島

2014-03-05 00:03:28
ボマー @bomber_bookworm

君が水と人を探して歩いていることを告げると、彼女は眉をしかめた。なんでもこの先にそのまま進むと、すぐに歩きづらい岩場になっているらしい。あの様子では川とか無いだろうし、打ち上げられた人がいるとも思えない。彼女はそう言った。#リプ無人島

2014-03-05 00:04:01
ボマー @bomber_bookworm

岩場を避けた彼女が、多少なりとも歩きやすい方向、人が居そうな方向に進んで来たら君と鉢合わせしたのだそうだ。ならばたいした距離でもないし、引き返した方が良いだろう。君たちは並んで歩き出す。#リプ無人島

2014-03-05 00:04:24
ボマー @bomber_bookworm

「水が心配って言ってたけどさ、たぶんここ、雨はよく降ると思うんだよね」マダオは木々を指してそう言った。なんでも彼女は植物に詳しいらしい。「きっと毎日のようにスコールが降るぜ。そういう場所に生えるやつばっかりだ」なるほど。#リプ無人島

2014-03-05 00:05:09
ボマー @bomber_bookworm

「食い物も、そこらにバナナが成ってるぜ。ま、日本で売ってるような黄色くて甘いバナナじゃなくて、煮たり焼いたりして喰う奴だけどな」他にもヤシの木も見つけたという。何とも頼もしい知識と観察力だ。もし必要になりそうなら、取って来ようか、と少しだけ考える。#リプ無人島

2014-03-05 00:05:55
ボマー @bomber_bookworm

もっとも、そのラフな格好から受ける印象にも関わらず、彼女の知識は大体が机上のものらしい。アウトドアの心得はないんだ、と笑った。「だから早く助けが来てくれると有難いんだけどね」確かに、バナナもヤシの実も頼らずに済むに越したことはない。#リプ無人島

2014-03-05 00:06:15
ボマー @bomber_bookworm

目印代わりに立てた木の板を通り過ぎて、先ほど「右」と呼んだ方に進む。「……誰か居る」程なくして君たちは新たな人物を見つける。木を背にして座り、ぼんやり海を眺めていた少女も、君たちに気づいて顔を上げる。#リプ無人島

2014-03-05 00:06:35
ボマー @bomber_bookworm

少女はぶりゅーわ@WYGPiuknm2 と名乗った。彼女もあの船の客の1人。髪をポニーテールにした、喋り出してみれば活発そうな印象の少女である。「いやー、さすがに呆然としちゃってました!」ぺろっと舌を出して見せる。同じ境遇の仲間と遭えて安心したようだ。#リプ無人島

2014-03-05 00:07:10
ボマー @bomber_bookworm

ついでに目の毒なのは、そんな彼女が下着の上にタオルを巻いただけ、というあられもない恰好だったこと。「いや仕方ないじゃないですか! 服着たままだと寝れないんですよ!」いや確かに船が沈んだのは夜中だったし、そういう人は居る。#リプ無人島

2014-03-05 00:07:40