実話怪談本の編監修者のつぶやき

怪談作家であり編監修者でもある加藤一氏のつぶやきをまとめました。
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実話怪談編著者のつぶやき

加藤AZUKI @azukiglg

実話怪談は、まず体験者が一番お気の毒なのであって、体験者をリスペクトすべきと思うし、体験者に何かけしかけてる存在についても無碍にしてはならず、それらを丹念に拾い集め預かって仕上げた著者の原稿は大切にせねばならず、その上で編監修者にできることは「並べ順」の検討(・ω・)

2014-02-28 11:42:34
加藤AZUKI @azukiglg

個々の話は別々の体験者の別々の時と場所と対象に関するものであり、アンソロともなると著者も別々。でも、読者はそれらを「頭から終わりに向かって一気にまとめて読んでいく」ことになるので、どうしたら「効果的に伝えられるか」は、割と毎回考えてる(・ω・)

2014-02-28 11:44:20
加藤AZUKI @azukiglg

毎回、どういう話がピックアップされてくるのか、というのは、著者の嗜好と体験者との邂逅に左右されるから、「こういうのをお願いします」というような、読者や編監修者の都合に合わせた依頼、チョイスというのはほぼできない。せいぜい、多めに書いてもらって取捨選択するくらい(・ω・)

2014-02-28 11:46:04
加藤AZUKI @azukiglg

そういう幾つかの縛りの中で編監修者が采配を振るって指向性みたいなものを示唆する役に立てるのは、全体の構成案=並べ順になる。この分野で編監修を任じていらっしゃる方々は、多分皆、そこらへんにこだわりがあったりすると思うし、個々に苦心惨憺されているのだと思う(・ω・)

2014-02-28 11:48:11
加藤AZUKI @azukiglg

果たしてアレは正解であったかどうか、というのは毎回悩むところで、最初に「コレだ!」と思って組んだものが、何度も校正紙読み直しているうちに「アレ……?」って悩んできてしまうことも、稀にある。正解かどうかはわからんし、正解があるものなのかもわからん(・ω・)

2014-02-28 11:49:15
加藤AZUKI @azukiglg

実話怪談は、読めば読むほど麻痺していく。書けば書くほど作者も疲弊するけど、読者は数十話から成る体験談を一気読みすると、読み始めの一話と最後の一話までの間に、疲弊もし、麻痺もしてくる。読み疲れ、読み憑かれ。

2014-02-28 11:50:36
加藤AZUKI @azukiglg

読み飽きないよう、読後感ができるだけ著者の意に添うよう、そして、「もう一度最初から読み直すことができるよう、読み直したときに一読目と印象が違ってくる」ように、毎回構成を考えている。実話怪談は、「読み返すと違う印象になるもの」がベターであると思う。

2014-02-28 11:52:00
加藤AZUKI @azukiglg

一度だけ読んでブコフに売られたり、二度と読まれなかったり、捨てられたりしないような、「読む度に印象が変わる、読み捨てられないような一冊」になるよう、微力ながらお手伝いするのが編監修者にできるささやかな仕事です(・ω・)

2014-02-28 11:52:54
加藤AZUKI @azukiglg

まあ、書店に並んじゃうと、もうどうにもできんからなー。

2014-02-28 11:53:47
加藤AZUKI @azukiglg

まーでも、読み進めていくうちに怪談脳wが麻痺してくるから、ぬるい話じゃ満足できなくなってくるから、二度目は絶対に「物足りなくて」読めない、というのが実話怪談が複数回読まれにくいところなんだけど、よく考えて構成案を組み立てられた実話怪談本て、必ず二度以上読める。

2014-02-28 11:59:20
加藤AZUKI @azukiglg

結論がキメ打ちで書かれていて、著者や体験者が「間違いなくそうだった」ってなってるものは、二度読めない。が、死角や隙や欠落している何かが多いような話というのは、実は二度(か、それ以上)読める。

2014-02-28 12:00:31
加藤AZUKI @azukiglg

一度目のときと比べて、二度目に読むときは「その他の怪談に関する知識や経験」が格段に増えているから、二度目ではオチが見えてて怖くないだろう、と思わせておいて、実は「アレはこういう意味だったんじゃないか?」みたいな類推は、二度目のほうが膨らみやすい。

2014-02-28 12:01:31
加藤AZUKI @azukiglg

もちろん、大元の体験談を整理して読ませる文章に仕上げる著者の能力に負うところは大きいけど、二度目を読んだときに一度目と違う印象になって何度も読める怪談というのは、割とある。あるけど、「怪談は一度読めば十分なもの」と錯覚されてしまうと、一読後に売られてしまう(か、捨てられてしまう)

2014-02-28 12:02:59
加藤AZUKI @azukiglg

できれば手元に置いてもらって、何度も、例えば少し間を空けてもう一度読んだときに、最初に読んだときと違う話であるかのように読める、そういうのが、「よく組み立てられた実話怪談」だとは思っている。

2014-02-28 12:04:07
加藤AZUKI @azukiglg

そもそも怪談というのは誰かの不幸や死に隣接するエピソードであるケースが多いので、それをして「良い怪談」という評価軸はないんじゃないかなあ、とも思ってるんだけど、「良い怪談【本】」という評価軸があれば、著者の励みになるのでは、とも。

2014-02-28 12:05:20
加藤AZUKI @azukiglg

まあでも、この商売は「誇る仕事」じゃない、どっちかというと忌み仕事なんだというくらいのつもりでいたほうがいいかなあ、とはやっぱ思うなあ。何年やってても、「これで誇ったら違うんじゃね?」というのは毎回思うもんなあ。こえーもん(^^;)

2014-02-28 12:06:42
加藤AZUKI @azukiglg

まあ、「それでも読みたい」という人が「また読みたい」と思っていただける役に立てたなら、まずはそれでよいかと思いますよ。なんだかんだで月刊実話怪談状態がもう長いこと続いてるけど、そこだけは戒めて引き締めていかんとね。うん。

2014-02-28 12:08:12