#変態不知火さん 不知火の過去編

高峯みやび @sukamelancholy

熊野「不知火さん、少々伺いたい事がが御座います」 不知火「何でしょうか。司令の性感帯についてでしょうか」 熊野「違いますわ！貴女があの提督にし、下の世話をするのは何故ですの？」 不知火「不知火の趣味ですが」 熊野「──！？」 #変態不知火さん

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熊野「あ、貴女、艦娘としての自覚はおありですの！？」 不知火「不知火は駆逐艦の艦娘です。侵攻してきた深海棲艦を撃滅するのが仕事です」 熊野「では何故──」 不知火「……いい機会です。お話ししましょう」 ──不知火の過去編 #変態不知火さん

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不知火も例に漏れず、皆さんと同じ艦娘の適応者のクローンです。目覚めた頃にヘッドギアを着けられ教育され、現代の文化などを直接学ぶ為に里親に預けられました。 今から、五年ほど前の話です。 #変態不知火さん

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はい？　五年前は深海棲艦が現れた年、ですか？　そうですね、軍が発表したのは五年前です。ですが、不知火が誕生したのはそれよりも前の話です。 そうですね。奴らが現れたのはもっと前だったのかもしません。公に発表したのは、それを隠せなくなったからでしょう。 #変態不知火さん

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不知火もそこまでは詳しくないので憶測ではありますが、艦娘という兵器が作り出されていたのは五年よりも前で、深海棲艦が現れていたのはそれよりもさらに前だったと想定しています。 でないと、何故不知火のクローンであるこの不知火が誕生したのか、説明がつきませんから。 #変態不知火さん

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兎も角、不知火は里親に預けられ、平和に過ごしていました。里親、両親に大切に育てられ幸せでした。 そして不知火が修学旅行に内地のN県へ向かっている最中に……あの事件が起こりました。深海棲艦による、沿岸部への無差別砲撃及び空襲。 #変態不知火さん

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はい。今では有り得ない事ですが、不知火が預けられたのは沿岸部。……とても海が綺麗な街でした。慌てて戻った不知火の目の前は、未だに消されていない炎と瓦礫の山しか残っていませんでした。里親も何もかもを深海棲艦に奪われました。 #変態不知火さん

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そこからは、少々記憶が曖昧です。 確か、救出作業をしていた軍隊の銃を奪い、海へ向かって乱射した……と思います。何の意味もないのに。 それからは海へ飛び込み、直接殺そうとしました。しかしどれだけ潜っても奴らなど居らず、呼吸も出来ずに不知火の意識は消えました。 #変態不知火さん

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……はい？　では何故不知火が生きているのか……？ 不知火は死にましたよ。しかし、艦娘のクローンである不知火の死体を奴らが見逃す筈もありませんでした。 はい。死んだ不知火は、深海棲艦となり蘇りました。 #変態不知火さん

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「……！」 「オハヨウ、新入りさん」 目覚めた時に現れたのは戦艦ル級で、それを確認した瞬間に奴の頭を持っていた主砲で撃ちました。 頭が吹き飛んだル級が沈んでいくのを確認して、改めて不知火の身体を見ると、身体は重巡リ級と変わりない姿。 #変態不知火さん

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そして、気が付けば不知火の周りには駆逐艦や軽巡など多数の深海棲艦が居ました。 勿論、そいつらも殺しました。砲弾が無くなると殴り、首を引きちぎり、殺して殺して、殺し回りました。 味方だと思っていた奴らは混乱し、まともに反撃もしてきませんでしたね。 #変態不知火さん

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やがて、現れたのは泊地棲鬼。そいつも同じく殺そうとしました。深海棲艦になったとしても奴らに対する憎悪は消えていませんでしたから。 ですが、適いませんでした。あっと言う間に全身がバラバラになり殺されました。 #変態不知火さん

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一度死んで、深海棲艦となっても死んだのに何故こうしているのか……ですか。勿論また蘇ったからです。確かに泊地棲鬼の砲撃で不知火の身体は引き裂かれました。ですが、また目が覚めた時身体は五体満足の状態でした。そして身体も重巡リ級のままで。 #変態不知火さん

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流石に不知火も、何故また蘇ったのか疑問に思いました。なので、同じく深海を漂っていた軽巡ホ級を殺しました。砲撃すればまた囲まれる恐れがあったので素手で。すると、首のないホ級の身体がガクガクと震えだし、腹を突き破ってまた新しいホ級が出てきたのです。 #変態不知火さん

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何度殺しても同じでした。バラバラにしても、肉体が磁石のようにくっ付き肉塊の中から新しい軽巡ホ級が現れました。何度やっても同じ。そうして殺していく内に悟りました。不知火も同じ方法で蘇ったのだと。深海で死んだとしてもその死体からまた蘇る。 #変態不知火さん

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その後、不知火がどうしたか、ですか？ 深海に居る奴らを片っ端から殺して回りました。意味がないと知っていても奴らへの憎悪は消えませんでしたから。何度殺しても蘇るなら蘇った回数だけ殺してしまえばいいと思ったのです。そしてその内蘇る事すら出来なくなるだろう、と。 #変態不知火さん

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当然、不知火も殺されました。深海棲艦になっても痛覚は残っていたので死ぬ度に怒りや殺意が沸きましたね。そうして殺して殺されてを繰り返していくうちに不知火はもうおかしくなってしまったのです。ただただ目の前の敵を殺すだけの存在。 #変態不知火さん

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海上で艦娘と戦闘している深海棲艦も関係なく殺しました。兎に角目についた奴らが標的だったので。艦娘には……えぇ。手は出しませんでしたよ。艦娘は奴らのように醜くはない。不知火を見て唖然としていましたね。深海棲艦を殺す深海棲艦なんてそれまで見た事がなかったのでしょう。 #変態不知火さん

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その時気付きました。不知火は元々艦娘として戦う運命にあるのですから、深海棲艦を殺すのは当然。深海棲艦になっても意識は不知火のままなのですから、艦娘と共に戦えばいいのだ、と。愉快でしたよ。艦娘と戦っている奴らを後ろから砲撃するのは。 #変態不知火さん

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ですが、艦娘は不知火を敵と認識していたようです。深海棲艦の艦隊を全滅させた後不知火を攻撃してきた事もありましたから。ですが幾ら死んでも同じなのですから、その時はされるがままにしていました。深海棲艦に殺されるよりは艦娘に殺される方がまだマシですから。 #変態不知火さん

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それからずっと同じ事の繰り返しです。数えきれない程殺して数えきれない程死んで。そして……。不知火はこの鎮守府の第一艦隊と遭遇したのです。旗艦は、加賀さんでしたね。 #変態不知火さん

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加賀さん達は不知火を見て戦闘態勢を取りましたが、ただ一人で攻撃もしない不知火を不審に思ったのでしょう。加賀さんが不知火に近づいてきたのです。初めての事だったので、戸惑いましたね。そして加賀さんはこういいました。貴女は何者？ と。 #変態不知火さん

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「貴女は何者？」 「……ア」 「たった一人で艦隊を組まず、深海棲艦なのに深海棲艦を攻撃する。貴女は一体何者？」 「シ、ラ……ヌ、イ」 「不知火。……不知火なのね、貴女は」 そうして加賀さんは不知火の腕を引っ張り、この鎮守府へ連れてきたのです。 #変態不知火さん

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深海棲艦を連れて戻った加賀さんに司令はとても驚いていました。加賀さんが司令に説明していましたが、信じてはくれませんでした。……当然です。見た目は完全に重巡リ級なのですから。 「……それなら、不知火の専用装備を渡せばいいわ」 「適応し、動かせれば不知火であると？」 #変態不知火さん

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そうして、されるがままに不知火は不知火のクローンだけが装備出来る艤装を装備させられました。 「――アァアアァァアアアアアアッ！！！！！」 死ぬよりももっと酷い激痛が全身を駆け巡りました。いえ、拒絶反応ではありません。むしろ逆です。 #変態不知火さん