#変態不知火さん 不知火の過去編

高峯みやび提督(@sukamelancholy)による、 #変態不知火さん の番外編、不知火の過去編をまとめました♪ まとめ一覧→http://togetter.com/li/624713
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高峯みやび @sukamelancholy

ずっとずっと痛みが続きました。暴れても消えない。ショック死しないのが何故なのかと思うほどでした。気絶したくても痛みで強制的に目覚めさせられて、激痛を受け続けるだけ。死んだ方がマシだと何度思った事か。 #変態不知火さん

2014-03-09 14:01:40
高峯みやび @sukamelancholy

……そうして、無限に続くと思っていた痛みは収まり、ロクに立てない状態になった不知火の身体は……重巡リ級の姿から、不知火のクローンの身体に戻っていたのです。 えぇ、あの痛みは恐らく身体を作り替える痛みだったのでしょう。 #変態不知火さん

2014-03-09 14:05:05
高峯みやび @sukamelancholy

重巡リ級から不知火へと戻ったのを見て、司令はとても言いにくそうに告げました。 「……すまない。君の事は上層部に報告せざるを得ない。深海棲艦が艦娘になる事象は恐らく初だろうから」 「不知火、は……奴らを、殺せないの、ですか」 「……何が言いたい」 #変態不知火さん

2014-03-09 14:10:38
高峯みやび @sukamelancholy

「不知火、は、艦娘として、生まれ、奴ら……を、殺して……殺して……殺すだけの、存在、です。その……使命を、果たせないの、ですか」 「……それは上層部が決める事だ」 ――気が付けば、不知火は司令の首筋に噛み付き、食い破っていました。 #変態不知火さん

2014-03-09 14:13:01
高峯みやび @sukamelancholy

八つ当たり、と言えばいいでしょうか。艦娘として生まれた不知火の使命を奪われたのだと思ったのです。そう思った瞬間深海棲艦の頃の殺意が戻ったのでしょう。 血を流している司令と、止血している加賀さんや救護班。 もう何もかもが遠い世界のように感じました。 #変態不知火さん

2014-03-09 14:16:54
高峯みやび @sukamelancholy

首からどくどくと血が流れている司令を見て、不知火は一体何をしたのかを理解できませんでした。何故噛み付いたのか。どうして手を出してしまったのか。自分自身の行動なのに意味が分からなかったのです。まぁ、すぐさま取り押さえられたので……考える暇もありませんでしたが。 #変態不知火さん

2014-03-10 03:51:24
高峯みやび @sukamelancholy

同時に強力な麻酔を打たれたらしく、全身の力は抜け、意識は落ちました。 次に気が付いた時には、不知火は全身を拘束された状態で白衣を着た複数の人間に囲まれていました。その中には司令も居ましたね。首には包帯が巻かれていました。 #変態不知火さん

2014-03-10 03:54:05
高峯みやび @sukamelancholy

「本当に構わないんだね?」 白衣を着た人間が司令に質問しました。司令は静かに頷きました。一体ここは何処なのかを聞きたくても、声が出ませんでした。 「構いません」 身体にも力が入りませんでした。意識はあるのに、身体は死んでいるようで奇妙でしたね。 #変態不知火さん

2014-03-10 03:56:48
高峯みやび @sukamelancholy

「ですが、一つだけ。不知火は私の艦隊の艦娘です。どうか、殺す事だけはしませんよう」 「わかっている」 彼らが一体何を言っているのかがわかりませんでした。が、これから起こる事は不知火にとって良い事ではないというのは理解出来ましたね。 死ぬ可能性がある事をすると。 #変態不知火さん

2014-03-10 03:59:53
高峯みやび @sukamelancholy

……はい。その通りです。彼らは不知火の身体を研究、解剖しようとしていました。司令の立会いの下で。 なんとも、最低のタイミングで意識だけ目覚めたものだと今では笑ってしまいますね。 #変態不知火さん

2014-03-10 04:01:41
高峯みやび @sukamelancholy

そして、彼らは不知火の身体にメスを入れました。幸い、身体の感覚は全くなかったのでいいのですが、血の付いたメスを交換していたのを見て、ああ、不知火の身体が切り開かれているのだな、と他人事のように見ていました。 #変態不知火さん

2014-03-10 04:03:48
高峯みやび @sukamelancholy

「内臓、目視では異常は見受けられない」 不知火は一度深海棲艦になりましたから。海軍からすれば貴重なサンプルなのでしょうね。不知火の身体を差し出した司令は間違っていませんし、不知火も納得していました。 次に、不知火の身体に直接手を入れていましたね。 #変態不知火さん

2014-03-10 04:07:34
高峯みやび @sukamelancholy

「……ん? これは……一体?」 不知火の身体に手を入れている方が何かを発見したらしく、他の方も不知火の身体を見ていました。これは後から司令に聞いたのですが、不知火の心臓の近くに握りこぶしよりも一回り小さい、紅い宝石のようなものが隠れていたそうです。 #変態不知火さん

2014-03-10 04:10:59
高峯みやび @sukamelancholy

「内臓ではない……まるで、宝石のような……」 「これは一体……?」 口々に彼らは不知火の身体を見ては首を捻っていました。実際に不知火も身体を起こして確認したかったですが、自由が利かなかったので無理でしたね。 そして、ついに誰かがその宝石に触れたのです。 #変態不知火さん

2014-03-10 04:14:00
高峯みやび @sukamelancholy

それまでは自由の利かなかった身体の感覚が一気に戻りました。そうです。麻酔の効果が消えたのです。 麻酔で消していた痛覚が一気に蘇ったあの痛みは、本当に酷かったです。メスで切り開かれたり身体の中に手を突っ込まれていたりしたのですから。 #変態不知火さん

2014-03-10 04:16:16
高峯みやび @sukamelancholy

「アアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!!」 叫んでも叫んでも痛みは消えません。でも、叫ばずにはいられなかったのです。痛くて、痛くて。そしてそれから。 拘束されていた筈の不知火は立ち上がっており、彼らを見下ろしていました。 #変態不知火さん

2014-03-10 04:19:10
高峯みやび @sukamelancholy

一体何事かと思い見渡せば、手術室が紅く染まっていたのです。彼らも司令も同じく全身が紅い何かで濡れていました。 そして不知火は、あるものの上に立っていた事に気付きました。 身体を切り開かれた不知火の身体の上に立っていたのです。 #変態不知火さん

2014-03-10 04:24:07
高峯みやび @sukamelancholy

これも後で司令から聞いた話なのですが、不知火の身体にあった宝石から大量の血が弾け飛び、不知火の身体から不知火が突き破るように出てきたそうです。はい。先ほどお話した深海棲艦と全く同じ状態です。 #変態不知火さん

2014-03-10 04:27:06
高峯みやび @sukamelancholy

艦娘である筈なのに、深海棲艦のように蘇る。奇妙な話ですね。それによほど不知火が不知火の身体から突き破って出てきたのが衝撃的だったのか、解剖していた彼らは震えたままでした。 司令を除いて。 #変態不知火さん

2014-03-10 04:30:20
高峯みやび @sukamelancholy

「……不知火。気分はどうだ」 「身体の血が、気持ち悪いだけです」 「そうか。痛みはないな?」 「ありません。今すぐにでも深海棲艦を殺せます」 「わかった」 #変態不知火さん

2014-03-10 04:31:20
高峯みやび @sukamelancholy

「研究の続きはこの不知火の身体で十分でしょう。鮮度が落ちる前に急がれては如何でしょうか」 強引に司令は事を進めようとしました。ですが流石に止められ、血塗れの不知火の身体を拭かれ、司令と不知火は同じ部屋に入れられました。真っ白で、ベッドは二つだけの部屋でした。 #変態不知火さん

2014-03-10 04:34:37
高峯みやび @sukamelancholy

結論から言えば、不知火と司令は軟禁されました。自由に動けるのは真っ白な部屋の中だけ。司令は軟禁について問いましたが、不知火の身体についてなにか解明されるまで出られないという返答のみでした。 #変態不知火さん

2014-03-10 04:40:45
高峯みやび @sukamelancholy

まぁ、それも。不知火の身体が異常であるから隔離しているだけに過ぎないと気付いたのは、軟禁されて二週間が経過した頃でした。 #変態不知火さん

2014-03-10 04:43:55
高峯みやび @sukamelancholy

真っ白でベッドしかない部屋で、不知火と司令はただ惰性に時間を潰すだけでした。会話も、不知火がこんな性格だったので続かず、常に沈黙が部屋を包んでいました。 不知火は不満でした。深海棲艦への憎悪は募るばかりなのに部屋からは出られない。 #変態不知火さん

2014-03-10 23:34:43
高峯みやび @sukamelancholy

壁を破壊してしまおうともしました。しかし脱走をしても当てはなく、日本から脱出する手段もないと司令に言われ踏み留まりました。 ただ呼吸をして、定期的に運ばれてくるゼリーのようなものを食べ、トイレに行く時はアイマスクと手錠をつけて手を引かれる。 そんな日々でした。 #変態不知火さん

2014-03-10 23:39:48
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