#変態不知火さん 不知火の過去編

高峯みやび提督(@sukamelancholy)による、 #変態不知火さん の番外編、不知火の過去編をまとめました♪ まとめ一覧→http://togetter.com/li/624713
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高峯みやび @sukamelancholy

「……司令。不知火は司令に危害を加えました。不知火と同じ部屋にいて嫌ではありませんか?」 「……まぁ、あの時は提督のコード登録前だったし、不知火も過去に色々あったんだろ。仕方ないと割り切ってるさ」 #変態不知火さん

2014-03-10 23:43:02
高峯みやび @sukamelancholy

「……司令」 ベッドで寝転がっていた司令は顔を上げ、気怠そうに不知火を見ました。 「何だ、どうした」 「不知火は何故こんな所に居続けなければならないのでしょうか」 深海棲艦を殺す筈の不知火が漸くまともになれたというのに、この仕打ちは耐え難かったのです。 #変態不知火さん

2014-03-10 23:48:24
高峯みやび @sukamelancholy

「またそれか……不知火は普通じゃないんだよ。普通の艦娘ではないからこうして軟禁させてるんじゃないのか」 何度も問い掛けた事に司令は何度も同じ事を答えました。 「そう、でしたね。すみません」 「謝る事無いぞ」 「はい」 #変態不知火さん

2014-03-10 23:51:43
高峯みやび @sukamelancholy

真っ白な部屋で何もない部屋にずっと居続けるという終わりのない拷問は、精神がどんどん異常になるのです。 寝ても覚めても同じ部屋。定期的に運ばれる食事も何時の食事なのか分からない。 ──やがて、生きているという実感をも失われようとしていました。 #変態不知火さん

2014-03-10 23:57:09
高峯みやび @sukamelancholy

「司令、生きていますか」 「ああ」 「不知火、生きてるか」 「はい」 もはや、それだけが生きているという実感でした。 #変態不知火さん

2014-03-10 23:58:38
高峯みやび @sukamelancholy

いつしか、司令と不知火は同じベッドで眠るようになりました。 とても寒かったのです。 ……いえ、空調が効き過ぎていたりしていたのてはなく、ただ、寒いと感じるようになったのです。 #変態不知火さん

2014-03-11 00:02:19
高峯みやび @sukamelancholy

同じベッドで眠り、同じ食事を取り、同じ時間を過ごす。 司令と不知火という個体はまるで一つになったかのようでした。 ──今思えば、別々の部屋に軟禁されなかったのが唯一の救いでしたね。きっとあの部屋に一人だったら、もっと早くに狂っていたでしょうから。 #変態不知火さん

2014-03-11 00:04:44
高峯みやび @sukamelancholy

同じベッドで眠ると不純、ですか。 ……そうですね。司令と不知火は男と女ですしそうなってもおかしくはなかったかも知れません。 ですが、そんな考えが及ばない程司令と不知火は狂っていました。 #変態不知火さん

2014-03-11 00:09:53
高峯みやび @sukamelancholy

それに、寄り添うだけでよかったのです。体温を感じられればそれだけで。 その温かさがいつまでも失われないように祈りながら。 #変態不知火さん

2014-03-11 00:12:40
高峯みやび @sukamelancholy

その状態からどうやって戻ってきたのか、ですか。 はい、このままだとただ司令と不知火は軟禁され続けるだけですね。 えぇ、戻ってきたのはある事がきっかけでした。 #変態不知火さん

2014-03-11 00:18:32
高峯みやび @sukamelancholy

突然、司令が大笑いしだしたのです。えぇ、本当に突然に。 「俺と不知火は生きてるよな? 生きてるんだよな? なぁ、これは現実であの世じゃないんだよな? あはははは! なぁ、現実の証拠を教えてくれよ!」 #変態不知火さん

2014-03-11 00:52:26
高峯みやび @sukamelancholy

そうして司令は不知火の肩を揺らして何故と言われ続けました。しかし不知火も精神に余裕も無く、わかりませんとしか答えようがありませんでした。 そして司令はそのまま揺らしながら、小声で不知火に言いました。「俺たちがここを出るには、不知火が正常である証明が必要だ」 #変態不知火さん

2014-03-11 00:58:03
高峯みやび @sukamelancholy

「ここで俺を抱きしめ、落ち着かせるんだ」続いて司令は小声で囁きました。不知火はそれに従いました。 「それでいい」不知火は司令の意図がわからず、従うだけでした。 #変態不知火さん

2014-03-11 00:59:56
高峯みやび @sukamelancholy

「不知火は深海棲艦だとまだ疑われている。その危険性がないと証明すればきっと俺たちはここから出られる」 密着した状態のまま、司令は不知火に続けました。 「不知火は生きたいか?」 「……はい」 「俺のいう事に従えるか」 「はい。不知火の司令は司令だけです」 #変態不知火さん

2014-03-11 01:06:15
高峯みやび @sukamelancholy

「簡単な話だ。正常、もしくは監視する必要なしとお偉方に思わせればいいんだ」 司令は狂ったり思考停止したのではなく、ずっと脱出の事を考えていたのです。 #変態不知火さん

2014-03-11 01:11:58
高峯みやび @sukamelancholy

抱きしめあったまま、司令は小声で立てた策を説明しました。 「何でもいい。不知火が深海棲艦ではない証明をすればいい」 「しかし、証明とは……」 不知火はクローンとして目覚めてからは人間と共に暮らしましたが、まだ不知火自身の個性などは身につけていませんでした。 #変態不知火さん

2014-03-11 15:50:22
高峯みやび @sukamelancholy

人間と共に暮らしている最中に不知火は深海棲艦となってしまいましたから。個性も理性もない殺し殺されの連続。それを三年以上続けていたのです。今更個性を出すなど、到底出来ないと思いました。 #変態不知火さん

2014-03-11 15:53:07
高峯みやび @sukamelancholy

「──では、俺の命令には応えられないと?」 「う……っ」 司令にそう言われて言葉に詰まりました。既に司令の事はコード登録で認証済みですから、不知火は司令の艦娘。期待に応えるのが当然なのです。……ですが。 「しかし、不知火……は」 #変態不知火さん

2014-03-11 15:56:54
高峯みやび @sukamelancholy

「既に不知火は個性を持っているじゃないか」 司令は優しく不知火にそう仰いました。 「これだ」 首に巻かれていた包帯を解き、不知火が以前噛み千切ってしまった箇所を見せました。 「この殺意が不知火の個性だ」 #変態不知火さん

2014-03-11 16:00:12
高峯みやび @sukamelancholy

「司令……何故」 不知火が噛み千切ってしまった傷は、まともな手当てがされていませんでした。ただ包帯で巻いただけの処置。救護班も居たというのに、です。 「これは俺への罰だ。不知火の意志を抑え込み、こんな所まで連れてきてしまった罰」 #変態不知火さん

2014-03-11 16:03:49
高峯みやび @sukamelancholy

「司令……ですが、殺意では証明に」 「その逆だ」 「……え?」 「不知火はずっと殺ししかない人生だったのだろう? 殺して殺されて、それでも生きている」 「……はい」 #変態不知火さん

2014-03-11 16:07:13
高峯みやび @sukamelancholy

「これからは不知火も、生み出す側になるんだ。人間が、ずっとそうしてきたように」 「……つまり、は?」 「……つまりは、まぁ、その。俺と不知火がお偉方の事など気にせずにやりまくればいいって、事だ」 「──はい?」 #変態不知火さん

2014-03-11 16:10:56
高峯みやび @sukamelancholy

司令はつまり、殺しの反対である種の繁殖をすればいいと結論付けたのです。 ……異常ですか? しかしそれ以外に何もない場所でしたから。あるのは互いの身体だけ。 選択の余地はなかったのです。 #変態不知火さん

2014-03-11 16:14:12
高峯みやび @sukamelancholy

「不知火は一体どうすれば」 「そうだな。俺の首でも舐めるか? 俺もそうする」 「わ、わかりました」 そして不知火は不知火が傷つけた箇所に、舌を延ばしました。すると薄皮がめくれ、血の味が口の中に広がり……。 背中から、急激にぞくぞくする何かがこみ上げたのです。 #変態不知火さん

2014-03-11 16:17:56
高峯みやび @sukamelancholy

「はっ、はぁ……っ、し、司令」 「……どうした?」 「司令の、司令の血を、舐め、舐めたら、その、あの」 「……もっと、いいぞ。気にするな」 そして不知火は夢中で司令の首筋を舌でなぞりました。血を舐めれば舐めるほど、不知火の下腹部が熱くなるのを感じました。 #変態不知火さん

2014-03-11 16:21:30