座礁艦隊その６　～ｷｿだｷｿｰ!!～

RyoRi （VRVape屋さん） @ryorinovels

「俺がリンガ泊地第1661支部の木曾だ」 ああ、あなたがオッサ…小隊長の言っていた。出かける前オッサンに「どうせ行くなら、この子に会ってみるといいよ」 と勧められた、その木曾本人がわざわざ迎えに来てくれたのだ。 「でも、どうしてここにいるって、分かったんですか？」 #座礁艦隊

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「いい質問だ。ウチへの訪問予定時間から、近くのこの市場で昼飯を取ってから来るだろうと踏んで来てみたら、水陸の高機が停まっているのを見つけてな。ん？ そいつを食いたいのか。よし奢ってやる」 こちらが返事をするより早くずいと前に出た木曾は、流暢な現地語で店主と会話する。#座礁艦隊

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あっと言う間に羊肉のムルタバが二人分渡された。会計の時に見た金額から、表に書かれた値段よりもかなりまけてもらっている。木曾と店主は笑顔で言葉を交わしていた。親しい仲らしい。 「ようし、俺が運転するから、車ん中で食べな。さっさと涼しい鎮守府に行こう」 #座礁艦隊

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乱暴なハンドル捌きで高機動車が発進する。「だいたい10分くらいで着く。それまでドライブといこう」私と朧は後部座席で木曾のスクーターと一緒にゆられながら、ムルタバを頬張る。ところで、陸戦の申し子とは買いかぶりすぎじゃないかしら。私たちまだ実戦は二度しか経験してないのよ。 #座礁艦隊

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「これから何度もするさ。そして君たちは陸戦艦娘の先駆者になる」 途方もない話ね。今回の仕事は今日も含めてあと6日だけの予定よ。それとも伸びるとでも言うつもり？ 「まず間違いなく伸びるな。本日早朝、テロの首謀者の捕縛もしくは殺害のための作戦が行われたが、失敗した」 #座礁艦隊

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…ちょっと、それ本当？ 「本当だ。当然水陸のやった作戦だぞ。君たちの任務にこの作戦が成功した後の残党狩りがあった。それを利用した艦娘の陸戦フィールドテストのテストだからたった一週間なのさ。君らの後、本格的な試験部隊が再編され、別の紛争地域に派遣される、はずだった」 #座礁艦隊

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それが、肝心の暗殺だかが失敗して、テロが長引き過激化する懸念が高まったから、私たちの滞在が伸びると。 「ちょっと待って、木曾さん、海軍なのにどうしてそこまで知ってるの？」 そうよ、いくら現地の鎮守府とはいえ、水陸機動団とは別じゃない。当座の私たちでさえ知らないのに。 #座礁艦隊

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「俺にはいろいろとコネがあるのさ。それに、作戦の成否以外は、君たちの小隊長も知ってるはずだが」 あンのクソ中年、必要なこと以外は伝えないってわけね。上官の鑑だわ。まったく。 「まあともかくだ。しばらくは互いに世話になるだろう。よろしくな」 運転席から握手を求める木曾。 #座礁艦隊

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腕にいくつもの傷跡があるのが見えたが、ものすごい握力に疑問がかき消される。軽巡のそれよりも強い。眼帯が模様入りになっており、つまり第二次改装を終えて重雷装巡洋艦になっているのだ。歴戦の傷。しかし、そうしたものは入渠で綺麗に消えるはず。 #座礁艦隊

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「いろいろ話し足りない。続きは鎮守府に到着してからにしよう。街を出ればIEDに気をつけなきゃな。俺たちは問題なくても、この車がスクラップになっちまう」 そう言って木曾はアクセルを踏み込む。エンジンが回転数を上げ、街並みがびゅんびゅん流れてゆく。 #座礁艦隊

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<aground fleet> #座礁艦隊

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イケメン木曾さん書けた。満足。

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イケメン木曾さんは次も出るけどそれからしばらくは出ない つらい

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島風「これが普段着用パンツ、これが戦闘用パンツ、これが勝負パンツ」 提督「全部同じにしか見えん。勝負パンツって？ かけっこ用？」 島風「ここが細くなってて全部隠れない」 提督「おう……」

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提督「どうした雪風、陽炎型の服なんか着て。めずらしいな」 雪風「たまにはこいつにも風を当ててやろうと思いまして！ なにせすぐカビがつくから…」 提督「(バトーさん……！)」

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【注意しよう】この作品には原作のキャラクターとは似ても似つかないクソメガネな巻雲ちゃんが登場します。ノーマルな巻雲ちゃんファンは直ちに閲覧を中止してください。直接暴露型認識災害によりあなたの妄想に登場する巻雲ちゃんがクソメガネに上書きされる可能性があります。【危ない】 #座礁艦隊

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リンガ泊地第1661支部は、郊外のリゾートホテルを改装したものらしかった。 「深海棲艦の跳梁で潰れてそのままだったのを接収したのさ。元ホテルといっても、アソコみたいに幽霊が出たり、閉鎖された地下から致死性の毒ガスが噴出したりはしないから安心しな」 #座礁艦隊

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広い庭園の石畳を、私たちは歩く。アラブの宮殿のような本館が聳え立つこの鎮守府は、海外の支部としてはとてつもなく広かった。正面玄関はホテルのエントランスをそのまま利用しているらしい。入り口の左右に警備の艦娘が立っていた。長波と黒潮だ。 #座礁艦隊

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「あ、木曾はん、おかえりやすー」 「うむ、ただいま。ほら、この子らが例の水陸のだ」 「朧はんと……ええと、どちら様？」 叢雲です。やっぱりこの髪型じゃピンと来ないわよね。 「オウ！ こいつらが木曾の言ってたタツノオトシゴってやつらか！」 突然朧ごと長波に抱きつかれる。 #座礁艦隊

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「陸戦の申し子な」 「似たようなもんだろ。アタシはお前ら応援してるからな！ 困ったことがあったらこの長波サマを頼るんだぞ！」 は、はあ。間抜けた返事しかできない。長波タイプってこんなんだったかしら？ 朧はすっかり縮こまっている。私の袖を千切れそうなほど強く握っていた。 #座礁艦隊

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「すまんが親睦を深めるのは後にしてくれ。まず提督に顔を通さんとな」 「はっはっは、ごめんごめん。じゃ、またな！」 「ゆっくりしてって下さいねー」 熱い歓迎から解放され玄関をくぐると、中には初雪タイプが立っていた。銀色の反射が左手の薬指にある。この子、ケッコンしている。 #座礁艦隊

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つまり、広い吹き抜けのエントランスにぽつんと佇んでいるこの初雪は、この場にいる誰よりも練度が高いということになる。駆逐艦とケッコンするような提督って、いったいどんな人間なんだろう。 「……こちらです」 ぼそぼそと初雪が言って、先導する。 #座礁艦隊

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木曾と別れ、応接室に通されてしばらく待つ。ホテルのサロンを改修したものらしく、華美な装飾と妙に広い空間で落ち着かない。にもかかわらず、出されたのは湯呑に注がれた玄米茶と、個分けされたチョコレートだ。日本のスーパーで298円で売ってるやつ。わざわざ取り寄せたのだろうか。 #座礁艦隊

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扉が開かれ、初雪に促されて提督が入ってくる。白い夏服を着こなした、 三十台後半くらいに見える女性だった。私たちは立ち上がって敬礼する。独立機動試験小隊の叢雲と朧です。この度は突然のアポイントメントを快諾してくださり、ありがとうございます。 #座礁艦隊

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「リンガ泊地第1661支部、朝生珠子中佐です。あなたたちに会えて嬉しいわ。座って」促され、私たちはソファに座り直す。私たちが直立敬礼し、彼女がわざわざ階級を自称した。そう、ここは数少ない海軍直属の鎮守府。朝生中佐はれっきとした海軍軍人だ。 #座礁艦隊