座礁艦隊その6 ~キソだキソー!!~

サブタイトルは毎回脊髄反射で書いてます。 恰好いい木曾さんごめんなさい(ΦωΦ) ようやくリアルタイムに追いついてきたようです。 いいところで後に続くのは基本。
1
RyoRi (VRVape屋さん) @ryorinovels

こちらも今は軍属扱い。失礼な真似はできない。そう思ってかしこまっていると、初雪がトコトコと提督に近寄り、制服の袖を引く。 「ごほうび……」 「もう、お客さんの前よ?」 「ごほうび……」 「しょうがないわね…。ごめんなさい、失礼するわね」 #座礁艦隊

2014-03-13 19:02:29
RyoRi (VRVape屋さん) @ryorinovels

私たちにことわりを入れると、朝生中佐は当たり前のように初雪と唇を合わせた。わわわっ、と、朧が声を漏らす。 「はい。続きは後でね」 「うん……」 初雪は頬を赤く染めて、満足げな顔で応接室を出て行った。中佐のそのあまりにも自然な動きには気品があり、私たちは圧倒された。 #座礁艦隊

2014-03-13 19:07:24
RyoRi (VRVape屋さん) @ryorinovels

「本当にごめんなさいね。ケッコンカッコカリしてから甘えん坊がひどくなっちゃって」 「いえ、その、すごく綺麗でした」 朧が即答する。目がキラキラしている。このキラキラ、今朝も見たような…。 #座礁艦隊

2014-03-13 19:25:26
RyoRi (VRVape屋さん) @ryorinovels

「そうだわ、そちらの大尉はお元気?」 大尉、と聞いてすぐにピンと来なかったが、試験小隊で一番偉い人間は一人しかいない。ええ、つかみどころのない性格で手を焼いていますけど。 「あの人も相変わらずね」 「小隊長とはお知り合いなんですか?」 #座礁艦隊

2014-03-13 20:19:58
RyoRi (VRVape屋さん) @ryorinovels

#座礁艦隊 を空目したことから生まれたすばるさんの #座敷艦隊 。ぜひ読もう。

2014-03-13 20:25:01
RyoRi (VRVape屋さん) @ryorinovels

「私たち海軍兵学校で同級生だったのよ。そのまま二人とも提督になったの。だけどあの人、水陸機動団が出来たとき、移管組に入っていなかったからって、無理矢理異動願いを出したのよ」 海軍のキャリアを蹴ってまで。何かあったんですか? 「ええと、気を悪くしないでちょうだいね」 #座礁艦隊

2014-03-13 20:34:26
RyoRi (VRVape屋さん) @ryorinovels

朝生中佐はそう前置きすると、お茶を一口飲んで続ける。 「あの人、艦娘から離れたかったそうなの。当時の大尉や彼の鎮守府に何があったのかは今でも教えてくれないわ。彼、海軍ではシンパができるほど畏怖されていて、異動については根も葉もない噂がたくさん立ったけど」 けど? #座礁艦隊

2014-03-13 20:44:10
RyoRi (VRVape屋さん) @ryorinovels

「彼が去った後、彼の鎮守府は引き継がれることもなく、すぐ閉鎖された。これだけが私の知ってる事実。所属艦娘のその後も分からずじまい。何処かに移籍した様子もなく、全艦その場で解体されたとすら言われているわ。…ごめんなさい、やっぱり話すべきではなかったわね」 #座礁艦隊

2014-03-13 20:53:05
RyoRi (VRVape屋さん) @ryorinovels

いえ、お気になさらないでください。私はこれだけしか言えなかった。 「ありがとう。さあ、暗い話はおしまい! ねえ、あなたたちのお話を聞かせてくれない? ふるさとの鎮守府のお話とか、よかったら」 そうして、私たちはしばらく歓談した。朧の大食い鎮守府はとても好評だった。 #座礁艦隊

2014-03-13 21:01:10
RyoRi (VRVape屋さん) @ryorinovels

「提督、そろそろいいか?」 いつの間にか木曾が応接室の入り口に立っていた。 「あら、すっかり話し込んじゃったわね。木曾がどうしてもあなたたちに伝えたいことがあるって言ってたのよ」 促されて、私たちは応接室を出た。 「頑張りなさい」 最後に声をかけられる。 #座礁艦隊

2014-03-13 23:49:43
RyoRi (VRVape屋さん) @ryorinovels

「あの人が経緯はどうあれ、また艦娘と関わろうとしてるなら、何か大きなことを考えてるはずよ。それはたぶん、あなたたちにとっても大事なことになると思うわ。私の推測だけれどね」 大事なこと。私はオッサンのことがますます分からなくなったが、同時に興味が湧くのを感じた。 #座礁艦隊

2014-03-13 23:54:39
RyoRi (VRVape屋さん) @ryorinovels

木曾の部屋はホテルの客室ではなく、従業員宿舎の一番端にあった。小さな畳敷きの部屋で、一角に茶器が置いてある。 「趣味でやってるんだ。飲むか」 ええ。いただくわ。朧も頷く。 #座礁艦隊

2014-03-13 23:59:33
RyoRi (VRVape屋さん) @ryorinovels

慣れた手さばきで二人分の茶が立てられて行く。 「応接間のはパックのやつだからな、俺が最高の茶ってやつを教えてやる」 目の前に、泡立った深緑の抹茶が入った碗が置かれた。 「作法とか、堅苦しいのはなしだ。ゆっくり味わって飲め」 #座礁艦隊

2014-03-14 00:04:08
RyoRi (VRVape屋さん) @ryorinovels

碗を両手でいただき、呷る。苦い。私にはまだ茶の美味しさが分からなかった。朧も目と口をくしゃくしゃにしている。 「まあ、そうだろうな。本当に美味い茶ってのは、なかなか理解できないもんだ」 笑って木曾が言う。二口目を飲もうと顔を上げたとき、壁にかけられた写真に気づく。 #座礁艦隊

2014-03-14 00:10:07
RyoRi (VRVape屋さん) @ryorinovels

武器を持ったアラブの男達、その真ん中に、今着ている民族衣装と同じような服を着た木曾が腕を組んで立っている写真だった。 「こいつか? 昔取った杵柄、ってやつでな」 壁から下ろし、見せてくれた。男性達はテロリストと同じ武器を持っていたが、顔つきは穏やかだった。 #座礁艦隊

2014-03-14 00:17:01
RyoRi (VRVape屋さん) @ryorinovels

写真の木曾は第二次改修前。日付は三年前だ。ねえ、これって、この国? 「ああ。事はその写真からさらに一年半遡る。当時日本国内の鎮守府にいた俺は、遠征任務で仲間と一緒に紅海へ来ていた……」 #座礁艦隊

2014-03-14 00:24:54