『医学的根拠とは何か』(津田敏秀 著)についての書評抜粋

宗教学者 島薗進氏が記した書評について、島薗氏自身が抜粋してツイートしたものをまとめました。
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岩波新書『医学的根拠とは何か』
https://www.iwanami.co.jp/hensyu/sin/sin_kkn/kkn1311/sin_k741.html

島薗進 @Shimazono

1津田敏秀著『医学邸根拠とは何か』の島薗による書評掲載(公明新聞2014年3月10日号)途中から「日本の医学では疫学が軽視され、数量化による因果関係把握が誤用されがちだ。福島原発災害後の放射線健康影響問題は顕著な例で、被災者支援と健康対策を遅らせる結果を招いている。」

2014-03-14 08:33:13
島薗進 @Shimazono

2津田敏秀著『医学邸根拠とは何か』書評(公明新聞14年3月10日号)「水俣病等の公害事件で度々起こったが、医学者が病因の特定にこだわり被災者支援、被害者救済を遅れさせてしまう。日本では疫学が軽んじられ、生物学的な発症メカニズムにこだわる頑なな態度が根強い。こう著者は論じている。」

2014-03-14 08:33:46
島薗進 @Shimazono

3津田敏秀著『医学邸根拠とは何か』書評(公明新聞2014年3月10日号)「著者によると、医学者が診断と治療の「医学的根拠」を求める際、三つの立場が競い合ってきた。直感派、メカニズム派、数量化派だ。「三つの根拠」が掲げられ三つ巴の論争が行われてきたという。独自の医学史展望だ。」

2014-03-14 08:34:09
島薗進 @Shimazono

4津田敏秀著『医学邸根拠とは何か』書評(公明新聞2014年3月10日号)「かつて、血を出させて体内の毒をなくし治療を期待する瀉血という処方が頻用された。この治療法を行った人とそうでない人の予後を数量的に比較して、それがかえって逆効果であることを示したのは、」

2014-03-14 08:34:27
島薗進 @Shimazono

5津田敏秀著『医学邸根拠とは何か』書評「ピエール=シャルル・ルイで、1828年のことだ。数量化によるアプローチの意義が認められてくると、個々の人間と臨床医の経験を軽んじるものだとする「直感派」が抵抗する。また、動物実験等で発症メカニズムを解明することこそ病因の解明だという」

2014-03-14 08:34:45
島薗進 @Shimazono

6津田敏秀著『医学邸根拠とは何か』書評)「「メカニズム派」からの批判が続く」「そもそも病因は複雑であり特定メカニズムの突き止めで解決する例は少ない数量化による科学的根拠の解明を拒むことは生身の人間を軽んずることになるという著者の論は、放射能をめぐる科学の信頼が問われる」

2014-03-14 08:35:05
島薗進 @Shimazono

7津田敏秀著『医学邸根拠とは何か』書評(公明新聞3月10日号)「現状を見直すのを大いに助けてくれる。」日本の医学界における疫学の弱さが、3.11後の放射線健康影響問題を悪化させているとの論。このような背景を前提にすると、この3年間の日本の医学界の反応が少し理解しやすくなる。

2014-03-14 08:35:24
島薗進 @Shimazono

8津田敏秀著『医学邸根拠とは何か』書評(公明新聞2014年3月10日号)。なお、著者の福島県での甲状腺検査の最新データについての疫学的分析は『科学』3月号に「2014年2月7日福島県県民健康管理調査検討委員会発表データによる甲状腺検診分のまとめ」として公表されている。

2014-03-14 08:42:36