「千の想いを」～第二章・交錯・ルートイベントTi-1～

ＴＲＰＧ狂いな千代田また多忙 @tiyodadayo

【第二章『交錯』ルートイベントＴｉ－１『剥離』開始】 【２日目１４００　医療ドッグ・スタッフ棟会議室前廊下】 【介入制限：未登場の方のみ】

ＴＲＰＧ狂いな千代田また多忙 @tiyodadayo

「お姉、待って！」 会議は一応終了となったものの、提督と龍田さんを筆頭にメンバーそれぞれのスケジュールについての話し合いに突入した。みんなが白熱した論議を繰り広げる中、誰にも何も言わずにひっそりとお姉が部屋を出て行くのをあたしが見逃すはずがない。

ＴＲＰＧ狂いな千代田また多忙 @tiyodadayo

廊下の真ん中で足を止めた背中が見えた。 トイレかとも思ったけれど、それなら資料の束を両腕に抱えて行くわけがない。 「病室に…戻るの？」 それ以外は思い付かないので聞いてみる。 何故か返事が無かった。それどころか立ち尽くしたままで、全く動かない。 「…お姉？」

ＴＲＰＧ狂いな千代田また多忙 @tiyodadayo

数秒してから、まだ怒っているんだと思い当たる。今までケンカした事すら数える程しか無かったから、いまいち感覚が掴めない。 「き、昨日はごめん。あたしが悪いんだって、わかってたのに…。 　これからは気を付けるから…、許してよお姉…」

第十五支援艦隊　千歳 @titosedesu

ううん、私こそごめんね千代田。

ＴＲＰＧ狂いな千代田また多忙 @tiyodadayo

ゆっくりとお姉が振り返り、申し訳なさそうに微笑む。 何かを考える前に足が勝手に駆け寄り、細い身体に抱き付く。 「ごめん、ごめんねお姉…！ 　お姉の事が１番大事だけど、艦娘として大切な事もあるんだもんね。 　あたしがバカだった、ごめんなさい…！」

第十五支援艦隊　千歳 @titosedesu

そう…。わかってくれたのなら嬉しいわ。 ありがとう千代田。

ＴＲＰＧ狂いな千代田また多忙 @tiyodadayo

本心では、お姉の存在よりも優先するものなんかあるわけないと思っているけど、今回の件に関してはあたしが悪かったのは間違い無い。 しばらく振りの感触が嬉しくて、抱き付いたまま動けそうにない。 やがてお姉の片手があたしの頭を撫で始めたので、ますます動けなくなる。

ＴＲＰＧ狂いな千代田また多忙 @tiyodadayo

「そうだ。今夜の当番なんだけどさ」 うちの艦隊では晩飯の用意は当番制となっている。食堂は２４時間やっているので必要も無いのだけれど、艦隊結成当初から風習となっているのだ。そして、今夜はあたしとお姉の番だった。 お姉の表情がほんの少し翳る。

第十五支援艦隊　千歳 @titosedesu

…ごめんなさい。その分はもう天龍さんに代わってもらったの。

ＴＲＰＧ狂いな千代田また多忙 @tiyodadayo

はぅ。 いつの間に、と考えるのと同時にああ昨日か、と結論づく。なんか先にいたもんね、あいつ。 あたしにとっての至福の時間が…。でも、今回は仕方ないか。 「もうしばらく病室にいなきゃ、だもんね」 頭に巻かれた包帯を見上げてみる。似合ってる、という感想は胸にしまう。

第十五支援艦隊　千歳 @titosedesu

ええ。会議だから許してもらえたけど、まだ動いてはいけないみたいだから。

ＴＲＰＧ狂いな千代田また多忙 @tiyodadayo

「…じゃあ、今回の作戦も無理って事だよね」 気分が軽く弾んだ。一緒じゃないのは寂しいけど、凄く寂しいけど、お姉を死地から離せるのは凄くいい。

第十五支援艦隊　千歳 @titosedesu

あら。何を言っているの、千代田。 私は旗艦よ？　絶対に参加するわ。

ＴＲＰＧ狂いな千代田また多忙 @tiyodadayo

鳥肌が。

ＴＲＰＧ狂いな千代田また多忙 @tiyodadayo

笑顔だった。あたしの大好きなお姉の、天使か女神かと思える程の最高の笑顔。 笑顔も言葉もどこもおかしな点は無い。絶対に無い。 なのに、袖の下の腕に鳥肌が立つのを自覚する。背筋を何か冷たいものが滑り落ちたのも。 原因も理由も全くわからない悪寒に、言葉をつい失う。

ＴＲＰＧ狂いな千代田また多忙 @tiyodadayo

「で、でも…！　時間はあまり無いし、さ。　無理する事ないよお姉…！」 思い付くままに口にする。そうしないと由来のわからない不安に押し潰されそうだった。 何に異常を感じたのかが、全く見通せない。

第十五支援艦隊　千歳 @titosedesu

大丈夫よ。心配しないで。怪我自体はたいした事ないの。 千代田があんなに前向きに頑張っているんだもの。私が待っていられるわけがないでしょう？

ＴＲＰＧ狂いな千代田また多忙 @tiyodadayo

…。 …む？ 今度は何も感じなかった。すぐ目の前の大好きなお姉の顔をじっと見詰める。 あたしの反応が気になったのか、どうしたの？　と言いたげに首を傾げ始める。 …うん、いつも通りのお姉だわ。 さっきのは何だったのか。…うーん、気のせいねきっと。

ＴＲＰＧ狂いな千代田また多忙 @tiyodadayo

ついさっきお姉に冷たく扱われたショックの後遺症と決め付ける。 「ほんとのほんとに？　任務を優先するように、ってつい昨日怒ったのはお姉なんだからね？　無理したりしたらあたしも天龍も怒るからね」

第十五支援艦隊　千歳 @titosedesu

相変わらず心配性ね、千代田は。 ただでさえ無茶な作戦なのよ？　足手まといになる状態だったら自重するわよ。 みんなの迷惑になっちゃうものね。

ＴＲＰＧ狂いな千代田また多忙 @tiyodadayo

…まただ。 どの部分に感じたのかはわからないけど、また何か変な感じがした。 責任感の強いお姉の事だ。怪我を理由に控えるのを嫌がるのはわかる。でも、責任感あるからこそ、無理を押して我侭を通す事もするわけがない。 問題無い。なのに、何かがおかしい。

ＴＲＰＧ狂いな千代田また多忙 @tiyodadayo

…天龍に、何か言われたのかな。 そう結論づける。 一足早くどこかで今回の作戦の事を知ったあいつが『雑魚にやられてるんだからお前来るなよ』的な事を言ったんじゃないだろうか。 あ、言いそう。ってか言ったなこれは。言ったに違いない。あいつめ。ふざけた事を。