#春休みの羽根っ娘

羽根っ娘にだって春休みくらいある
4
しぐなす @Cyg_Ciellenne

拘束されて羽根っ娘にはねっちょで耳元くすぐられる薄い本?

2014-03-26 17:12:01
CK/旧七式敢行 @CK_Ariaze

「ねーねー、起きてよー」「やなこった」俺の上に乗っかる羽根つきは頑として布団から動かない俺の肩を延々と揺さぶっている。横目で見た目覚まし時計は8時半を指している。彼女には悪いが俺は11時まで布団の中から動かないと決めている。「むぅ……」やっと諦めたのか、肩をを揺さぶる手が止まった

2014-03-26 23:15:57
CK/旧七式敢行 @CK_Ariaze

「せっかくの春休みなんだから、どっか行こうよ」「ヤダ」「引きこもり」「なんとでも言え」布団をかぶり直し、彼女に背を向ける。 昨日深夜まで夜更かししたせいで死ぬほど眠いと言ってもこいつは聞き入れないだろう。 後ろで何か布が広がるようなバサッという音がした。

2014-03-26 23:20:07
CK/旧七式敢行 @CK_Ariaze

足元にひんやりとした感覚。大方彼女が布団をめくって嫌がらせをしているのだろう。「おいコラ寒いだろいい加減にしないとぅウヒャウヒャウヒャ!?」さすがにこれ以上の安眠妨害は許せないので声を荒らげたその時、足の裏をこそばゆい感覚に襲われる。 「どう、目が覚めた?」

2014-03-26 23:24:06
CK/旧七式敢行 @CK_Ariaze

「なにしてんだよ!?」「目覚まし」振り向くと彼女は右手に持ったもの――彼女の翼から抜き取ったであろう白くてフワフワした羽毛――を見せびらかすようにくるくると回した。 「どう、目は覚めた?」「ええ、お陰様で人生で三番目くらいに最悪な目覚めです」「怒ってる?」

2014-03-26 23:28:46
CK/旧七式敢行 @CK_Ariaze

「負けたよ。でも昨日全然寝てなくて外出たらぶっ倒れそうだからお家デートな」「やったっ!」本当に単純だなこいつは。「じゃあちょっとあっち向いてて。手は後ろな」「うん? わかった。こう?」「そのままじっとしてろよ」俺の指示に彼女は首を傾げながらも素直に従う。

2014-03-26 23:33:13
CK/旧七式敢行 @CK_Ariaze

彼女がこちらを向いていないことを確認し、俺は枕元にある携帯の充電ケーブルを手に取ると素早く彼女の両手を縛り上げた。「きゃっ!?」彼女もさすがに違和感に気づきこちらを振り返る。「仕返し」そう答えて彼女をベッドの方に突きとばす。「え、ちょっ!? あうっ……」

2014-03-26 23:39:20
CK/旧七式敢行 @CK_Ariaze

ベッドの上にうつ伏せに倒れた彼女の上に馬乗りになり、身をよじって逃げられないようにする。「どうだこれで逃げられまい」「ちょ、ちょっと! さすがに怒るよ!」足をばたつかせながら彼女は抗議する。「俺のほうが怒ってる」「痛っ!?」彼女の翼から適当に一本羽毛を抜き取る。

2014-03-26 23:42:46
CK/旧七式敢行 @CK_Ariaze

「まずは足だな」まだ暴れている彼女の右足を掴み、足の裏をそっと羽毛で撫でる「ひゃうっ!?」暴れていた彼女の身体がビクッと震える。「ホラホラホラホラ」さらに執拗に彼女の足の裏を羽毛でくすぐる。「はひっ、ちょ、もう、やめっ、ぐるじ……」俺の安眠を奪ったのだからこれくらい当然だ。

2014-03-26 23:45:39
CK/旧七式敢行 @CK_Ariaze

「はぁ、はぁ……うぅ、ひどい」翼までバタバタと暴れさせていた彼女も観念したのか足から力を抜いて荒い呼吸をしている。「あぁそうだ」「ま、まだやるの……?」不安そうな目でこちらを見上げる彼女からはいつもの勝ち気な態度は消え、すっかりこの状況に怯えきっている。

2014-03-26 23:51:29
CK/旧七式敢行 @CK_Ariaze

「こことかやったらどうなるかな?」彼女がやったように羽毛を見せびらかしながら彼女の背中に生える白い翼、その付け根に羽毛を持った右手を近づける。「え、ヤダヤダそこはダメお願いやめて」彼女なりの必死の抵抗も虚しく、俺の右手に握られた羽毛は彼女の翼の付け根にそっと触れた。

2014-03-26 23:55:20
CK/旧七式敢行 @CK_Ariaze

「や、やめいぎぃぃぃぃっ!?」ビクビクと俺の下で彼女が体が震え、翼がシッチャカメッチャカに暴れる。「もう一回」今度は下から上に翼の付け根をなぞる。「あっ……ヒッ……イィッ!?」再び彼女の身体が暴れ、今度は糸が切れた人形のようにぐったりした。

2014-03-27 00:00:21
CK/旧七式敢行 @CK_Ariaze

「ぐすっ……ひどい……」気づくと、彼女は泣いていた。「ごめん、やり過ぎた」彼女を拘束していたケーブルを解くと、きつく締めたせいか白い手首に赤い跡が残っていた。「そこはダメだって、言ったのに……」ゆっくりと彼女は起き上がり、自由になった手で涙を拭った。

2014-03-27 00:04:51
CK/旧七式敢行 @CK_Ariaze

暴れたせいで彼女の自慢だった翼もボロボロになっている。「ちゅーして」「は?」「ちゅーしてくれたら許す」なんだそりゃ。というかそれだけでいいのか。「好きだから」俺の左手を彼女の右手が掴む。その手首の赤い跡がこのままずっと彼女に残るような気がして、罪悪感が俺の中に広がる。

2014-03-27 00:09:33
CK/旧七式敢行 @CK_Ariaze

「目、つぶれよ」「うん……」彼女は頷くと深い藍色の瞳を閉じて俺を待つ。「んっ……」触れた唇から彼女の人間より高い体温が伝わってくる。「はふ……もう一回」目を開いた彼女は早速おかわりを要求し始めた。「やだよ恥ずかしい」「いいじゃん減るもんじゃないんだから!」「やなこった!」

2014-03-27 00:16:22
CK/旧七式敢行 @CK_Ariaze

こうして羽根つきの彼女が(勝手に押しかけてくる)春休みは一日目から騒がしかった。

2014-03-27 00:17:11