茂木健一郎（@kenichiromogi）さんの連続ツイート第1201回「単純なものが、食いたい！」

茂木健一郎 @kenichiromogi

連続ツイートをお届けします。文章はその場で即興で書いています。本日は、昨日、大いに感じたこと！

茂木健一郎 @kenichiromogi

たく（１）昨日、『目の眼』（http://t.co/LMlIJzMtV8）の取材で、白洲信哉編集長（@ssbasara）と、柳橋にいた。終わって、そろそろお昼で、「次はどこだ」というから、「麹町だ」というと、「あそこには、うまいカレー屋があるんだ！」という。「じゃあ、行こう！」

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たく（２）「なんていう店？」と聞くと、「忘れた」と信哉氏。「欧風カレーだよ」というから、検索したら、わかった。信哉氏が名前を忘れたのも仕方がない。難しい名前なのだ。「プティフ・ア・ラ・カンパーニュ」というお店。ネットで調べると、ちょうど開いているので、行こうとなった。

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たく（３）お店について、「何がうまい？」と聞いたら、「チキンカレーの辛口！」と信哉氏が言うから、ぼくもそれにした。まずは茹でたジャガイモが出てきて、それにバターをつけて食べる。うまい！　そして、カレーが出てきた。うまい！　「これ、チキンが違うんだよね」と信哉氏。

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たく（４）「よく来ているんだ？」と聞くと、「うん。ずっとね」と信哉氏。それからしばらくして、ぼそっと「祖母が好きだったんだ」と言う。信哉氏の御祖母と言えば、白洲正子氏。「へえ、お好きだったんだね」と言うと、「そうなんだよ。それで、よくお土産にもしてもらって持ち帰っていた」と。

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たく（５）白洲信哉氏は、私にいろいろな感化を与えてくれる畏友なのであるが、一つ大いに共感するのが、食に対する態度なのである。信哉氏は大いなる美食家であるが、そのポリシーは、「うまいものを、シンプルに食べる」ということ。しばしば、白洲家にお呼ばれするけれども、その時の構成は

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たく（６）たとえばコノワタで酒を飲んで、そのあとうまい肉が炭火で焼かれるとか、至ってシンプル。信哉氏によると、懐石料理のように、こまごまとしたものがごちゃごちゃ出てくるのは嫌いなのだそうだ。うまいものを、シンプルに食べたい。私もずっとそう感じていたことに気づいた。

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たく（７）その意味で、好きなカレー屋さんがある、というのはいかにも信哉氏らしい。同行した麹町の「プティフ・ア・ラ・カンパーニュ」のメニュー構成はシンプルで、カレーとドリンクしかない。そのような簡素で骨太な姿勢が、「白洲家の流儀」に大いにかなうのだろう。

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たく（８）もっとも、例外もあって、徳岡邦夫さんのつくる「嵐山吉兆」の料理は、細かいものがいろいろと出てくるけれども、大いにおいしいし、飽きない。取材などで何回かうかがったけれども、その度に感心し、感動する。信哉氏も、徳岡さんの料理だったら、気に入るのではないかと思う。

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たく（９）カレーを求めての麹町への移動中、面白いことがあった。私が愛用している「ゆで太郎」があって、編集部の井藤さんが、「白洲さん、ゆで太郎ありましたよ」とからかったのである。信哉氏は、まだゆで太郎に行ったことがない。ぼくはキツネそばに卵を落とすのが好きなのだ。シンプルでうまい。

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以上、連続ツイート１２０１回「単純なものが、食いたい！」でした。