ストレイトロード:ルート140(4周目)

オリジナル短編「ストレイトロード」のコンビがお届けする、短編という名の習作。1日1話ペースで継続中。 今回は151~200。それ以前のは作者おすすめ欄か下記URLからどうぞ。 元の短編の掲載場所: http://www.gekkado.jp/
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Rista(化屋月華堂) @Rista_Bakeya

140文字で描く練習、163。水族館。 普段使いにくいとかそんなこと考えていたら買い物は楽しくない。

2014-03-02 19:40:06
Rista(化屋月華堂) @Rista_Bakeya

燭台の灯の下で、年老いた語り部がその地の言い伝えを静かに語る。藍は始めこそ疑い混じりの目をしていたが、次第に背筋を伸ばし、震えや涙をこらえるような挙動さえ見せた。「…全部、本当の話なの?」語りが終わった後、唐突に聞かれた。「可能性はありますよ」わざと曖昧に答えたら背中を叩かれた。

2014-03-03 19:07:02
Rista(化屋月華堂) @Rista_Bakeya

140文字で描く練習、164。背筋。 物語の根底に潜む感情は時代も場所も越えて共通する。だから後世の人も共有できる。

2014-03-03 19:08:35
Rista(化屋月華堂) @Rista_Bakeya

街角の人だかりの中で、藍が軽快なメロディに合わせてステップを踏む。楽団が奏でるのは名前も知らない、しかしどこか懐かしい調べ。同じ旋律の繰り返しにしては毎回どこか違うから、半分は即興かもしれない。応じる少女のダンスもまた即興。目配せの後に無限ループが止まると、拍手の雨が降り注いだ。

2014-03-04 19:30:17
Rista(化屋月華堂) @Rista_Bakeya

140文字で描く練習、165。即興。

2014-03-04 19:30:47
Rista(化屋月華堂) @Rista_Bakeya

「煙草ってどんな味がするの」未成年に訊かれると厄介な難問の一つを藍が口にした。入った店に愛煙家が大勢いたという偶然を契機に、漂う煙や弾む会話が少女を誘うように取り巻く。「ただの煙ですよ」私は回答の一例を提示してから聞き返した。「どうしてその質問を私に」「何となく似合いそうだから」

2014-03-05 19:38:44
Rista(化屋月華堂) @Rista_Bakeya

140文字で描く練習、166。煙草。 アレはお金に余裕のある大人だけが楽しむぐらいのものでいい、と彼は後に語る。

2014-03-05 19:40:15
Rista(化屋月華堂) @Rista_Bakeya

藍は常に危ない橋を渡りたがる。次の指示の不穏さが心配になった矢先、私の端末に忠告と題した文章が届いた。手を引けと迫る月並みな脅しの裏に、耳を貸さない少女への苛立ちが見える。「あら、今度はそっち行っちゃったの」問い詰めると藍は答えた。「相手が直接出てきたら捕まえようと思ってたのに」

2014-03-06 19:43:58
Rista(化屋月華堂) @Rista_Bakeya

140文字で描く練習、167。忠告。 ゼファールの端末は藍を通して彼女の親から借りている仕事道具。私用のを買う金など彼は持たない。

2014-03-06 19:45:55
Rista(化屋月華堂) @Rista_Bakeya

「あの車を追って!」「どの車ですか」ここはハイウェイ。ハンドルを握る私には藍が指差す先を見る余裕などなかった。一言ずつヒントを引き出してやっと追跡対象を特定したが、他の車も走る場で無謀な接近はできない。目標だけ追う側には見えない現実だ。「もっと飛ばして!…あ、追い抜いた」「えっ」

2014-03-07 19:54:49
Rista(化屋月華堂) @Rista_Bakeya

140文字で描く練習、168。追跡。 運転中の人はほぼ車と一体化したように車の周辺を警戒し続けます。どんな事情があっても横槍は危険です。

2014-03-07 19:56:46
Rista(化屋月華堂) @Rista_Bakeya

「相手が必ず本気で来るんだから、わたしも手加減はしないのよ」藍は突風で損壊した建物を見上げながら、自らの事前の発言をわざわざもう一度口にした。風がなくても怪物の爪が同じ被害を生んだはず、という主張は本人でなければ言えない。建物の所有者の怒りを受け止めなだめるのは私の仕事になった。

2014-03-09 00:00:59
Rista(化屋月華堂) @Rista_Bakeya

140文字で描く練習、169。手加減。

2014-03-09 00:01:10
Rista(化屋月華堂) @Rista_Bakeya

手元に何かを置かれる感触で仮眠から覚めた。腕を動かした途端に足元へ落ちたそれを拾い上げると、見覚えのある問題文が目に入った。「これで特別扱いしてもらえるんでしょ?」助手席で藍が胸を張っている。学校からの特別製の宿題を前に渡したことを思い出し、回答を読むと、一問目から間違えていた。

2014-03-09 21:06:21
Rista(化屋月華堂) @Rista_Bakeya

140文字で描く練習、170。特別。 やればいいっていうものじゃない。

2014-03-09 21:10:30
Rista(化屋月華堂) @Rista_Bakeya

先端を輪にした縄を怪物の頭に投げつけ、角に引っかけたまでは良かった。だが全て思い通りに事が運ぶほど甘い相手ではない。藍は動きを止めたかったのか背中に乗るつもりだったのか、どちらも叶わず、暴れる縄に引っ張り回されている。手を離せば助かると教えた時にはもう、頭上に放り投げられていた。

2014-03-10 19:13:32
Rista(化屋月華堂) @Rista_Bakeya

街の雑踏を真剣に見つめる藍にその目的を聞くと、人を捜していると言われた。特徴を言葉で説明されてもいまいち理解できなかったので、要点を一つずつ質問しながら、持っていた手帳に似顔絵を描くことにした。藍の答え方は明瞭になったが、出来た絵を見ると、当初の説明よりはだいぶ離れた顔になった。

2014-03-11 19:53:08
Rista(化屋月華堂) @Rista_Bakeya

140文字で描く練習、172。似顔絵。

2014-03-11 19:54:08
Rista(化屋月華堂) @Rista_Bakeya

裏道を歩いて車に戻る途中、藍が突然、すれ違った男の手首を掴んだ。「そこに停めた車からさっき何か盗ったわよね」また何かの力を使ったのか、施錠した車内への侵入の手口を言い当てると、盗人はうろたえ叫んだ。発言自体は証拠にならなくても当人の豹変の仕方で疑いは固まる。私は男を取り押さえた。

2014-03-12 18:55:03
Rista(化屋月華堂) @Rista_Bakeya

140文字で描く練習、173。盗人。 大気への干渉とは風起こしに限らない。風が届く場所、入り込める範囲ならどんな遠くにでも、藍はその意識を飛ばすことができる。

2014-03-12 18:57:19
Rista(化屋月華堂) @Rista_Bakeya

夜通しの見張りを強行して疲れたのだろう、藍は一番明るい時間なのによく眠っている。揺れる助手席に座ったまましばらくは大人しくしていたが、不意に顔だけ私の方に向けてこう言った。「まだ着かないの。道間違えたでしょう」ブレーキを踏みながら不平の続きを待ったが、聞こえたのは寝息だけだった。

2014-03-13 19:55:32
Rista(化屋月華堂) @Rista_Bakeya

140文字で描く練習、174。寝息。 夢の中でも文句は尽きない、らしい。

2014-03-13 19:56:53
Rista(化屋月華堂) @Rista_Bakeya

長い道のりの中継点だった町は多くが怪物の進軍に踏み荒らされ、やがて人を失い廃れた。そんな場所の一つを藍は今夜の宿に選んだ。私達の旅路では野宿も珍しくなく、何があれば何を満たせるかなどは色々と学んできた。藍は風を頼りに水を探す術を覚えた。面倒な作業を全部私に任せることも心得ている。

2014-03-14 20:16:18
Rista(化屋月華堂) @Rista_Bakeya

140文字で描く練習、175。野宿。 ただ知識だけ持っていてもサバイバルはできない。

2014-03-14 20:17:20
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