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魔法少女まどか☆マギカSS 『おいしんぼ』

食い物のことで喧嘩したマミあんを、お食事会で和解させようとする主演ほむらの変なSS。おおむね題名通りです。 ※即興で書いてるので一人称と三人称がgdgdです。ヤバイ!!
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GammaRaγ @sizuoka074

ある日ほむらが家に帰ってくると、杏子が勝手に食事をしていた。いつものことなのでそう驚かない。普段はマミの家にいる杏子だが、こうして野良猫のようにやって来るのだ。だが、今回のは様子が違う。杏子はむっつりと黙っていたが、こういう杏子は珍しかった。

2014-04-12 21:09:10
GammaRaγ @sizuoka074

杏子はおおむねいつでも多弁だ。黙っているときは何かを考え、大概は過去を追憶している。なにがあったのか尋ねてみると、間食をマミに咎められ、それが原因での喧嘩だという。不機嫌そうにざっくりと言い、杏子はコンビニ袋の中から缶詰を一つ取り出して、台所に行って料理を始めた。

2014-04-12 21:11:15
GammaRaγ @sizuoka074

六畳一間のアパートに、脂の熱される匂いが漂う。ほむらの知っているものだった。ほんの数分で料理は終わり、杏子は小さな鍋敷きとフライパンをそのまま持って、部屋の畳に腰を下ろした。しずっているのはランチョンミート。正真正銘のスパム缶だ。杏子は茶碗に米を装って、割り箸でそれをつつき始めた

2014-04-12 21:14:25
GammaRaγ @sizuoka074

「うまいよな、これ」そう言う杏子の表情は、とても明るいようには見えない。あんたも食うかと勧められ、『そうね』と一口分けてもらった。塩と胡椒、一振りの醤油。本当に乱暴な味付けだったが母の料理とそっくりだった。「美味しいわね」と杏子に言うと、その日初めての笑みが見られた。

2014-04-12 21:17:40
GammaRaγ @sizuoka074

「マミは『こんなの食うな』ってさ」それだけ言って、話は終わった。喧嘩の原因は理解出来たが、深刻なことは窺えた。誰にも踏み込まれたくはない、自分だけの領域がある。それがたとえマミと杏子、揺るぎない信頼を持つ仲であっても。

2014-04-12 21:21:47
GammaRaγ @sizuoka074

「ねえ、杏子ちゃんはなにか言ってた?」翌日、まどかはそう聞いてきた。なにが、とは思わなかった。マミはまどかかさやかかなぎさに、杏子は大体いつでも私に、なにか問題が起こったときはそうして話が伝わってゆく。「ひどい喧嘩をしたとだけ」「杏子ちゃんがそう言った?」「見れば分かるわ」

2014-04-12 21:25:16
GammaRaγ @sizuoka074

そっか、と一言呟いて、まどかも事情を話し始めた。二人の喧嘩は初めてではなく、じゃれ合いめいたものだった。今回のは様子が違う。間食を咎められた杏子だったが、いつにない態度で反発し、マミの怒りに油を注いだ。マミは女性的な人間だ。丹精込めて作った料理が、缶詰に負けるのが我慢できない。

2014-04-12 21:32:49
GammaRaγ @sizuoka074

結局喧嘩はエスカレートし、互いが『昔』の事を持ち出し、傷付け合うまでにこじれたらしい。『出て行け』と言うマミにただ背を向けて、杏子はマミの家を飛び出し、私の家にやってきた。今度二人がどうなるのかは、正直私にも予測がつかない。

2014-04-12 21:36:38
GammaRaγ @sizuoka074

『愛は見つめ合うことでなく、互いに同じ方を見ることだ』。サンテグジュペリはそう言った。見つめ合い、近付きすぎれば愛はぶつかり、作用と反作用によって砕けてしまう。杏子とマミはぶつかっていた。かつて魔女がいた頃と変わりはしない。人と人との間には、いくつも譲れない物があるのだ。

2014-04-12 21:39:18
GammaRaγ @sizuoka074

「あのね、ほむらちゃん」「うん。わかってる」頷き、私はマミと杏子を想った。二人の間にいつしか芽生え、何度も枯れ果てそうになりながらそっと大きくなってきたもの。二人が育ててきた小さな愛を、花に覆いガラスをかけるように、誰かが守ってあげねばならない。

2014-04-12 21:44:02
GammaRaγ @sizuoka074

「私ならなんとか出来ると思う」「……わかった。二人のこと、お願いね」「任せておいて。私にいい考えがあるの」私は頷き、そっとまどかの手を取った。「買い物に行きましょう。二人を仲直りさせるには、ある物がどうしても必要なんだけど」「だけど?」「今月、もうおけらなの」まどかは大笑いした。

2014-04-12 21:47:45
GammaRaγ @sizuoka074

◆ 「おー、転校生ー。いきなり呼び出してどーしたっての!」「ほむらに呼び出されるなんて珍しいのです」翌日の放課後に、杏子とマミを除く四人が鹿目家のリビングに集まっていた。インキュベーターも一応一緒だ。本当は視界にも入れたくなかったが、彼の協力は不可欠だった。

2014-04-12 21:52:07
GammaRaγ @sizuoka074

「事情は聞いているでしょうから、細かい説明は全て省くわ。まずはこれを見て頂戴」私はテーブルに掛けたクロスを取り、用意していた料理をみ見せた。「うおー、すげー!」「すごいのです!」それはマミの夕飯の再現だった。卵たっぷりのカルボナーラに、リゾット、ラビオリ、冷製スープ。甘口ワイン。

2014-04-12 21:56:17
GammaRaγ @sizuoka074

特性ソースのサラダ。 インキュベーターの記録を使って再現したレシピのおかげで、味は間違いなく保証済み。自分の力だと勘違いしたくなりそうなほど、そのテーブルは完璧だった。「ちょっと食べてみてくれないかしら」「おほっ!そんじゃ遠慮無く!」「いただきます!」四人はフォークを手に取った。

2014-04-12 22:00:10
GammaRaγ @sizuoka074

「このカルボナーラ、コクがあってホント最高!」「ラビオリもぷりぷりで美味しいのです!「他のご飯が濃い口だから、薄口のスープがすごいいいアクセントになってる!」「サラダのドレッシングもさすがのものね……」自分で作った料理であっても、レシピは借りてきた物だ。マミは本当に凄かった。

2014-04-12 22:03:49
GammaRaγ @sizuoka074

食後は濃い口のニルギリを飲み、リビングはすっかりいい雰囲気だったが、話の本題はこれからだ。「ねえ、さやか。今の食事に不満はあった?」さやかは首を左右に振った。なぎさやまどかも同様だった。「すっごく手が込んでておいしかったし、栄養も見た感じばっちりでしょ?」そうね、と私も頷いた。

2014-04-12 22:09:16
GammaRaγ @sizuoka074

「食べ物を無駄にしないっていう杏子の主義は立派です。でも、マミがご飯を作ってくれるのがわかってるのに、缶詰を開けるなんておかしいのです!」「わたしもちょっとそう思うかな……」口々に同意する二人。だが私がふっと笑うと、不意に言葉を詰まらせる。

2014-04-12 22:15:26
GammaRaγ @sizuoka074

「確かにマミの料理は立派よ。全てに一手間掛けられていて、栄養だって考えられてる愛情のこもった手料理ね」「でしょ?絶対杏子が――」「でも考えてみて頂戴。杏子がそんなマミの気持ちをわからないなんてあり得るかしら?」三人は完全に言葉を失う。

2014-04-12 22:16:56
GammaRaγ @sizuoka074

杏子がどれほどマミを理解し、愛しているかは言うまでもない。「愛の形は人それぞれよ。どんなにマミの料理が杏子への愛に満ちてても、『人はパンのみで生きるにあらず』……もっとも、これは誤用だけれど、杏子が求めている愛は、マミだけでは埋められないの」「……その愛はなんなのですか?」

2014-04-12 22:19:42
GammaRaγ @sizuoka074

尋ねるなぎさに、私は微笑み、そして自信を持って頷いた。「それをあなた達にも見せてあげるわ。明日、もう一度ここに来て。もう一つの愛を見せてあげるわ」格好つけすぎてしまっただろうか。ぽかんと口を開けるなぎさとさやか。一人くすくすと笑うまどかが、なんだか妙にくすぐったかった。

2014-04-12 22:24:17
GammaRaγ @sizuoka074

翌日、私達は集まっていた。昨日の四人に、杏子とマミ。お茶会という名目で呼び出した二人だったが、見るからに居心地が悪そうで、特にマミに到っては滅多に見られないほどの不機嫌顔で、今にも噛みついてきそうな様子だ。

2014-04-12 22:29:59
GammaRaγ @sizuoka074

「あら、佐倉さん。私の顔なんてもう二度と見たくないんじゃなかったの?」ほら始まった。杏子は黙って目を逸らしたが、悪びれているような様子でもない。これ見よがしにふん、と鼻を鳴らすマミを、さやかは難儀そうになだめていた。

2014-04-12 22:31:27
GammaRaγ @sizuoka074

「ほ、ほら!マミさんも魔獣退治が終わったばっかでご飯もスイーツも必要でしょ?ここはまどかの好意に甘えて…」「…ええ、わかってるわ。今日はよろしくね、鹿目さん」「はい!たくさん美味しい物を用意したから、お腹いっぱい食べてください!」まどかは可愛らしく一礼し、まず小さなお盆を出した。

2014-04-12 22:34:35
GammaRaγ @sizuoka074

「まずは疲れてるみんなにおやつを出してからご飯にしましょうね」「あら、きれいなゼリービーンズね」盆の小鉢に入っていたのは、駄菓子の代表・ゼリービーンズだ。赤・青・黄色に紫・ピンク、隣にはマーブルチョコもあり、六人と同じ色合いだった。

2014-04-12 22:37:40
GammaRaγ @sizuoka074

「疲れてるときは甘いものに限るよねー」「このちょっと乱暴なぐらいの砂糖の甘みがダージリンにとても合うのよ」「マーブルチョコのパリパリ感もこうして食べると癖になるのです」知久さんが煎れてくれた紅茶を軽くあおりつつ、みんなで駄菓子に手を付け始める。

2014-04-12 22:40:17
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