茂木健一郎氏 @kenichiromogi 第1211回【チェスやクイズや計算能力では負けても、まだ、雑談では負けていない】連続ツイート
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まざ(1)コンピュータとプロ棋士が対戦する将棋の「第3回電王戦」は、結果として人間側が1勝4敗と負け越した。果たして、プログラムはどこまで強くなるのか、羽生善治さんや、森内俊之さんとコンピュータの対戦はあるのかなど、コンピュータ将棋はいよいよ重大な局面にやってきた。
2014-04-13 07:55:09まざ(2)コンピュータは、すでに、チェスの世界王者を破っている。また、雑学クイズ番組「Jeopardy」でも、人間のチャンピオンを破っている。チェスに比べると手の選択肢が多くて難しい将棋でも、プログラム技術とCPUパワーの向上によって、人間超えがいよいよ視野に入ってきた。
2014-04-13 07:56:51まざ(3)コンピュータと人間の思考のプロセスは異なる。コンピュータの場合、考えられるすべての手について検索し、評価し、最後に最善手が決まる。人間の場合、打つべき手は短時間で、直感でわかる。その上で、もし時間があれば、その直感が教える手を読みで裏付ける。つまり順番が逆である。
2014-04-13 07:58:41まざ(4)もっとも、直感が先行し読みがあとから来るという人間の思考パターンは、あくまでも意識でとらえた現象論であり、実際に起こっている脳の計算プロセスが、コンピュータで実行されているアルゴリズムとどのような関係にあるのかは、まだわからない。
2014-04-13 07:59:33まざ(5)チェスにせよ、雑学クイズにせよ、将棋にせよ、コンピュータの思考アルゴリズムは人間と違うから、人間の知性をそのまま再現した、というわけではない。ただ、鳥の飛行メカニズムとは違うジェット機が空を飛ぶように、コンピュータは、人間とは異なるアプローチで知性を実現しつつある。
2014-04-13 08:00:58まざ(6)羽生善治さんによると、コンピュータとの対戦はあまり気持ちの良い体験ではないという。というのも、対戦を通して伝わってくるコンピュータの「人格」が、どうも変だから、ということのようである。天才ならではの、コンピュータの思考アルゴリズムに対する羽生さんの直覚であろう。
2014-04-13 08:02:08まざ(7)果たして、近い将来、コンピュータが将棋の名人、竜王を破ることがあるのか。その時が来たとき、将棋界はどう変質するのか? 発達したコンピュータと人間が共生する上で、参考になるのは、コンピュータの生みの親、アラン・チューリングの直感であると私は考える。
2014-04-13 08:03:26まざ(8)コンピュータが人間と同等に考えられると認定されるための「チューリング・テスト」では、コンピュータに雑談をさせる。チューリングは、人間と同じように雑談ができるコンピュータが実現した時、人工知能は同等になると考えた。そんなコンピュータは、まだ実現していない。
2014-04-13 08:04:39まざ(9)雑談という、あまりにも人間的で日常的なふるまいこそが知性の本質だと見抜いたのは、チューリングの天才だった。チェスやクイズや計算能力では負けても、まだ、雑談では負けていない。雑談を大いに楽しんで、コンピュータたちの世界征服の野望を、打ち砕いてやろうではないか!
2014-04-13 08:05:54