ゴールドラッシュ・オブ・ザ・デッド #11
「黄金郷の戦士よ。君たちさえ現れなければ、歴史がここまで迷走することはなかった。ゆえにこれは裁きの炎だ。生まれてきてごめんなさいな気持ちで死にたまえ! 炎の精霊アルデンの怒り! 爆散したまえぇぇぇぇーッ!」 「そこまでだ、『白亜の忌手』」 25
2014-04-16 19:32:27突如、大ガレス卿とウィルの間に青白い炎が生まれた。そこから一人の少女が現れる。 「アイラ!? ダメだ、逃げろ! 君まで爆散させられちゃうぞぉぉぉっ!?」 しかし火球はアイラには届かなかった。青白い炎が火球を貫き、爆発! 轟音がブラックヒルズタウンを席巻する。 26
2014-04-16 19:36:27粉塵が荒れ狂うなか、泰然と立つインディアナの巫女。 後方のソフィアが愕然と声を上げる。 「大ガレス卿の攻撃を相殺した……!? 大地の巫女は戦うことも出来るんですか……っ」 「フン、あんな子供だましの炎は攻撃のうちに入らん。奴が本気になったら、わたしではどうにもならんさ」 27
2014-04-16 19:37:43アイラは腕を組んでちらりと後ろを見る。濛々と立ち込める煙で姿は見えないが、その方向に大ガレス卿がいるはずだ。 「俺を助けてくれたのか、アイラ……?」 28
2014-04-16 19:38:22「助ける? ハッ、どこまでもおめでたい奴だな、お前は! 罵りにきてやったのだ! なぜ忍者の最終奥義を使わん!? このままむざむざ殺される気か!?」 「……使えないんだ。俺は開拓者の血統だから、口寄せノ新薩界は会得出来なかった」 「な、なんだと!?」 29
2014-04-16 19:40:26アイラが目を見開くと同時、背後の粉塵が一掃された。ゾンビの羽ばたきによって。 「――お久しぶりで御座います。我が愛しの大地の巫女よ」 ゾンビは薔薇を手に微笑んでいる。 「それとも今代の貴女とは初めましてと言うべきですかな?」 30
2014-04-16 19:41:16苦々しい表情でアイラは振り返る。 「どちらでも同じことだ。記憶の継承に先代も今代もない。たとえこの身が十歳の子供であろうとも、わたしは巫女の宿業を背負いし者だ」 「我ら六公爵、貴女と再会する日を長年夢みておりましたぞ」 31
2014-04-16 19:42:22「フン、初代が『巡礼始祖』と交わした約束の日はまだ先のはずだぞ?」 「文句は黄金郷に言って頂きたい。さあ、それより参りましょう。ここで会ったが200年目、今日こそ我らと共にきて頂きます。あれほどの鷲羽の極光を開いたのは、やっとお覚悟が決まったということなのでしょう?」 32
2014-04-16 19:43:15ゾンビは、見ている方がゾッとするほどの笑みを浮かべた。口調こそ丁寧だが、逆らうことを許さない強者の響きがある。アイラは俯いた。 33
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