ツイッター小説 お気に入りセレクト 2010/11/03

今日読んだついのべの中から独断と偏見で味のある作品をセレクトしてみました。 ついのべ #twnovel とは140文字以内で書かれた短い短い物語です。 過去のまとめ http://togetter.com/id/laybacks
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simmmonnnn @simmmonnnn

#twnovel 「『浮気』って言葉自体おかしい。他の相手と寝るのは気持ちが浮ついてるとかじゃなくてただの性欲。単なる本能。気持ちはあくまでもきみに預けてるから。だから厳密に言えば『浮体』なんだよ」突きつけられた離婚届に視界が歪み、ぼくは自分でも何を言っているのかよく分からない。

2010-11-03 00:35:20
PA18 たっぷりペコリーノチーズのカルボナーラ @shadowmistless

「はいはい、みなさん静かにしてください。授業を始めますよ」 「せんせー、高橋君が心が痛いって早退しましたー」 「せんせー、トイレー」 「せんせー、坂本君と七海さんが体育の後から戻ってきてませーん」 「わかりました、他に何かありますか。それでは始めますよ」 #twnovel

2010-11-03 00:49:06
NAOYAKO @naoyako

#twnovel あいつは新顔。ボールペンと消しゴム、メモ帳。オレはあんな子を捕まえる気はない。今日が数百円でもしばらくすれば数万円の大口に成長するからだ。俺くらいのベテランになると、捕まえることより育てることに力を入れる。歩合制の万引Gメンにとっては、大切なお客じゃないか。

2010-11-03 01:17:25
@keith_mild

#twnovel 頭の中で羊を数えていた眠気は、流星と共に誰かの瞼を下ろしに向かったようだった。中途半端に放り出された僕をシーツは冷たく突き放し、遮光カーテンは揺れることなく知らんふり。年老いた時計がチクタクと昔話をしているが、話すのなら夢のような話をして欲しいものだと思った。

2010-11-03 04:12:09
とおる6th @windcreator

文化の日だから、文章を書こう。小説なんてどうだい。えっ、自信がない? 誰でも最初はそうさ。大丈夫、笑ったりなんかしないよ。そうだ、試しに140字で書いてみたらどうかな? うん、ツイッターで書いてみたら気軽じゃないかなと思って。そうそう、なんて言ったかな。 #twnovel だよ。

2010-11-03 04:13:09
泥辺五郎 @dorobe56u

#twnovel 友人との約束よりお金の方が大事なので、急に入った仕事を優先させた。馴染みのおばさんは慣れた手つきで値段分きっちり僕を食べた。友人との約束の話をすると「今すぐ行きなさい」と言って尻を叩いてくれた。友人からの着信は七度あったがのんびりと歩いた。予想以上に怒られた。

2010-11-03 07:32:30
毬亜(迷子) @maig0_76

#twnovel 早朝の遊園地にこっそりと忍びこむ。私以外にも人がいた。青年だ。乗り物に乗るでもなく、もたれる様にして分厚い本を読んでいる。新しい玩具を見つけた子供のような感覚を憶えて近寄った。どうしても気になって本を覗き込むと、いつの間に気がついていたのか、青年は小さく笑った

2010-11-03 10:31:18
添嶋譲 @literaryace

#twnovel 会いに行くよ、と連絡すると今はちょっと、とつれない返事。きっとそういうことなんだろうと思って黙って行ったらやっぱりそういうことで。僕じゃない誰かと見たことのない君。未練がましいのは嫌だけど、きちんと話してほしかった。もう無理なんだなぁ。僕じゃダメだったんだなぁ。

2010-11-03 11:11:58
高山 環 「ふたりの余命 余命一年の君と余命二年の僕(宝島社文庫)」より発売中 @Takuya11

#twnovel 格安家賃の部屋を見つけた。不動産屋へ行くと若い女性が案内してくれた。豪華なマンションの角部屋で、とても月三万円には見えない。部屋にはベッドだけがあった。不動産屋の彼女は俯いている。三万円を払って、がらんとした部屋で夕日を浴びながら彼女を抱いた。

2010-11-03 11:24:33
140字物語 @shortshortshot

指を鳴らす事で人を消す能力を手に入れた。嫌な友達もパチンで消える。嫉妬深いライバルも。パチン。口うるさい親も。パチン。愛してくれなくなった恋人も。パチン。そして周りには誰もいなくなった。仕方ない。自分も消しちゃおうっと。パチン。あれ?パチン。消えない。どうして。 #twnovel

2010-11-03 13:47:34
たくわん @takuwan_takusan

風邪菌にめっぽう強い友人にタッチして病原菌をうつさせてもらった。お人よしでもあった友人は次々と他人の風邪をもらってきた。様々な病原菌の苗床になっても友人は元気だったが、近寄ると酷い風邪をひくので誰も近づかなくなっていった。元気をなくした友人は病に倒れてしまった。 #twnovel

2010-11-03 17:02:52
しーな@GO2完走 @xsheeenax

アイシテル。この世にこれほど信用出来ぬ言葉があるだろうか。これさえ唱えれば何でも免罪符になるなんて。ばかみたい、と吐き出した足元を縫いとめられる。アイシテル?と問えば束縛の魔法にもなる。アイシテル。アイシテル。アイシテル。 #twnovel 誰か、あたしに愛し方を教えてください。

2010-11-03 17:26:01
@K_Ichida

#twnovel 僕の故郷には本の神様がいた。おじいさんの姿をしていて、欲しい本を言うと持ってきてくれた。僕らは、神様からたくさんの本をもらった。あの時の本は、大人になった今でも僕の宝物だ。久しぶりに帰った故郷で友達に神様のことを訊いてみた。「万引きじいさんは死んだよ」

2010-11-03 18:11:34
@asidity_dabyy

今日も朝が来た。障子紙を透かして射し込む朝日。窓から外を覗くと閑静な住宅街。遠くを見据えてもやはり静寂そのもので。腹が減るから飯を食う。眠くなるから床を敷く。それ以外の時は窓から外を見る。誰か見えやしないか、本当に皆死んでしまったのか、と期待しながら諦めながら。 #twnovel

2010-11-03 19:02:51
高山 環 「ふたりの余命 余命一年の君と余命二年の僕(宝島社文庫)」より発売中 @Takuya11

#twnovel 「あいつ才能無いな。何年努力しても駄目だ」作家志望の男を死神が空から見ている。「お前、諦めるように教えてやれよ」横の天使に指示する。天使は笑っている。作家になれずに五十年後男は死んだ。「教えるべきだったろ?」「でも、あの人満足そうな死に顔でしたよ」天使は微笑む。

2010-11-03 19:02:54
minamicloud @minamicloud

一食一万円のランチが食べたかったの。カップラーメンはゴメンなの。料理のレシピを集めても、めんどくさいから作らないの。旦那は給料は少ないし浮気をするから、神様に祈って占い信じて私と子供だけ幸せになるの。例え旦那が出てっても、一応結婚してるから私を養う義務があるの。 #twnovel

2010-11-03 19:33:47
roardel @roardel

「人を殺すことが悪いことなのかよ」と親父に言ったらしこたま殴られた。今でも頬は腫れていてメシも食えない。それ以上に悔しかった。だって親父の会社は自動車メーカーじゃねえか。毎年事故で何千人も殺してるだろ?偽善ヤロー。明日は俺の、15の誕生日。 #twnovel

2010-11-03 20:11:31
八木原一恵@翠琥(すいこ)出版で出版中 @suiko_s

「かつて君を妻にと求めたとき、父は私ではなく兄に君を嫁がせた」曹植は、甄后の枕に語りかけ、さめざめと泣いた。すると枕から甄后が現れ、「私もお慕い申し上げておりましたが、想いがかなうことはありませんでした。やっとおそばに……」これが抱き枕の発祥、という伝説はない。 #twnovel

2010-11-03 20:12:46
140字物語 @shortshortshot

いつものように浜辺に釣りに行くと一匹の亀が子供たちにいじめられていた。黙って見ていられなかったので止めに入った。 「やめないか、君たち。その亀をいじめるのはやめなさい。その代わり私を存分にいじめたまえ」 【うらやましいたろう】 #twnovel

2010-11-03 20:26:43
@lapriere

「僕がきみに与える仕事はひとつだけ。毎日決まった時間に僕のもとに紅茶を持ってくること」 それを聞いた者の多くが、何とつまらない仕事だと思ったことをそのまま顔に出したものだが、彼女だけは違った。きらきらと目を輝かせて、「とてもすてきな仕事ね」と笑ったのだ。 #twnovel

2010-11-03 20:27:12
nohironogi on earth @nohironogi

#twnovel 日に日に、妻がふくよかになる。表情も和らぎ、僕は、結婚してよかった、と考えている。目が合うと、妻も同じことを考えていることがわかる。「名前、どうしよう」「あたし、もう決めてるの。男なら、えるにーにょ。女なら、らにーにゃ」……初めて、この結婚が失敗だった気がした。

2010-11-03 21:09:02
無茶 @notastetea

今日こそはプロポーズを決める。20歳年下の彼女に。僕は小箱を彼女に差し出す。「開けていい?」「いいよ」緊張しながら彼女が開けると、煙が立ち込めて彼女は年老いていった。「これで対等の年齢になったね」僕がそう言うと彼女は小箱を僕に投げつけ帰っていった。 #twnovel

2010-11-03 21:57:51
中村ヘボピー @hebop_

あの日以来、私は地球最後の男になってしまった。少なくとも私が把握できている限りでは。何度か生き残りを捜してみたが駄目だった。世界には私一人しかいないのだ。……ドアがノックされると、女性が入ってきた。女性は20人程生き残った。私は今や彼女たちの共有財産だ。 #twnovel

2010-11-03 22:12:27
140字物語 @shortshortshot

文芸誌の取材で戦記物の大家であるO氏に話を伺った。和やかな雰囲気で話は進み、最後の質問。「歴史上一番凄まじい戦いだと思われる物は何でしょう?」「書いた中にはありませんな」「ではこれから?」「いや、書く予定はありませんよ」O氏は笑った。「書いたら妻に殺されます」 #twnovel

2010-11-03 23:01:17
鈴々@物語る鳥 @re_rhythm

炬燵を出した。夏の間は床の上にラグを敷いていたのだが流石に十一月ともなるとそれでは寒さに負ける。ぬくぬくと炬燵で暖を取りつつふと何かが欠けているように感じた。蜜柑?ごろ寝枕?否、本当は気づいている。溜息をついて携帯を手に取る。足りないのは子供体温の彼の存在だ。 #twnovel

2010-11-03 23:04:13