第十一公演IF

全裸を掛けた男三人と美女一人による仁義なき戦い
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紺青ものえ @almiyy

重みで潰れていてもおかしくはないだろう。通りは確実に埋まって人の逃げる場所などない。 拍子抜けするほどあっさり埋まってしまった色欲に少しだけ呆れるように笑って、 「いい音だった」 それだけ呟き、吐息。二色は緩やかな動きで硝子の破片を見つめ、瞬き、変化の無い状況に興味を無くし笑む。

2014-03-30 20:08:54
紺青ものえ @almiyy

そして視線を、腹を抱え愉快そうに笑う男と殴られて血を流した蒼い男へ向ける。男の言葉に簡単に頷き、 「袖で拭うと洗った時にきちんと取れなくなるぞ?」 血は見えずとも残るものだ、と付け足して、未だに笑い続ける男へ向けた言葉を聞くだけ聞いて、ゆっくり歩を進めた。

2014-03-30 20:08:58
ウィリアム・ウィドー @s_akiyui

「そうですねぇ。さっさと退散しましょうか」 未だ笑いながら同意する。氷の向こうは動く気配がない。死は好きだが、死後にまでは興味がない。研究の材料にしようにも掘り返すのが面倒ですしね、と心の中だけで呟いて、二人に倣うように歩きだそうとした。が、カルドの問いに動きを止める。

2014-04-01 19:02:13
ウィリアム・ウィドー @s_akiyui

きょとん、と目を丸くして瞬きを一度。 「ん?……ああ、あれですか。忘れていました」 そういえばそうだ。すっかり忘れていた。アーネウスはすぐさまポーチに手を入れ、中から薬袋紙を取り出した。中には三つの錠剤。それをカルドに差し出して。

2014-04-01 19:02:22
ウィリアム・ウィドー @s_akiyui

「説明は面倒なので省きます。信じるかどうかは自由ですが、死にたくないのでしたら飲んでください」 微笑を浮かべる。少々勿体無い気もしたが、此処でカルドと争うのは嫌だった。

2014-04-01 19:02:34
グラナート @ktmyng

首肯の後、ザリアにかけられた言葉にただ視線を袖口へと向ける。 血に濡れた黒い布。色が色なだけにそこまで目立つというわけではないが、残るのも厄介だ。 「……そうか」 続けられた言葉に、理解の言葉を落として。 最悪この服は使い捨てるか、なんて考えながら、拭うのを止めて手を下ろした。

2014-04-08 00:01:21
グラナート @ktmyng

歩き出すザリアとは対照的に、きょとんとして動きを止めた強欲。あわせて此方も進めていた足を止める。 強欲は目の前に錠剤を3つ差し出してきた。 『死にたくないなら飲め』――か。 詳しい説明も無し、そして冒頭の事を考えれば、普通は差し出されたこれを飲むべきではないのだろう。

2014-04-08 00:05:43
グラナート @ktmyng

しかしメリットがない。殺す気ならば白を切ればいい話だし――何より、今争う気力が湧くだろうか。 思考を回した末、強欲から3つの錠剤を受け取って口の中へ放り込んだ。それを飲み下して、 「これでいいのか」 軽く咳払いを一つ。尋ねるような、自分への確認のような。曖昧な響きで呟いた。

2014-04-08 05:13:24
グラナート @ktmyng

ふと、視線を塞がった――自分たちが塞いだ路地へと移す。 硝子と、氷と。今や音はなく、ただ光を重ね、反射してそこに在る。それに少しだけ視線を止め。 「……」 言葉は無いまま。疲れを吐いたような、重い溜息だけを残して。 蒼は正面を据えて、再び路地を歩き出した。

2014-04-08 05:14:49
紺青ものえ @almiyy

足音に耳を傾け、ふうと吐息。 背後で行われる会話には言葉を挟まず、深く聞き耳を立てることもしない。出合い頭に何かあったのだろう。 気になるが、と首を傾げ、思っていたより消費された体力は足を動かすことも面倒に感じさせることに気がついて、少し笑みを零す。満足はしている。

2014-04-10 20:41:49
紺青ものえ @almiyy

二色の視線は幾分経過し移り変わる空と、見えてきた街の外を映し細まる。この先にあるのはおそらく離別の『扉』。 「さて、此処ともお別れだな…」 名残惜しさはあるが、心残りはない。喜悦を含む愉快そうな、しかし少し疲労した声、その小さな独り言でも硝子の割れる音のように響いた。

2014-04-10 20:42:17
紺青ものえ @almiyy

かつんかつんと鳴る足は止まらず進み、後ろを放っていく。 足音は迷いなく、あるだろう『扉』へと向かって。

2014-04-10 20:47:41
ウィリアム・ウィドー @s_akiyui

錠剤を飲み込んだのを確認して、独り言のようなそれに頷いた。 「ええ。副作用で少々怠くなるかもしれませんが、一日ほどで回復するはずですよ」 効果は確かだが、如何せん強力過ぎて眠気や怠さを誘う。改良出来れば良いんですがね、と呟いて、ザリアへと目を向けた。

2014-04-15 17:25:08
ウィリアム・ウィドー @s_akiyui

マイペースに、此方に構うことなく離れていく後ろ姿に目を細め、歩き出したカルドを見送る。アーネウスは、一度、背後を振り返り。 「疲れましたね」 笑みを浮かべたまま、大仰に溜息を吐いた。そして、アーネウスも二人に続くように歩き出す。

2014-04-15 17:25:19
ウィリアム・ウィドー @s_akiyui

そうして、何も無かったかのような涼しい顔で、彼は街を後にした。

2014-04-15 17:26:10
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