2006年以降の「AV女優」について

中村淳彦『職業としてのAV女優』 を基にセックスワークと社会についての上曽根玲子(@kamisone_reiko)さんのツイートです。 この10年ほどの経済状況と業界構造の変化によって、ブラック企業の労働者さながらに"使い捨て”にされる"AV女優”という仕事について考えるキッカケになればと思い、簡単にまとめさせて頂きました。
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上曽根玲子 @kamisone_reiko

もちろん、ここ十数年の経済状況と業界の変化と無縁ではありえない。 2006年にアルコールによる肝機能障害で世を去った永沢光雄が、一線で活躍するAV女優たちのインタビューをまとめた『AV女優』(1996年初版)を読めば、その違いは一目瞭然である。

2014-04-18 18:59:35
上曽根玲子 @kamisone_reiko

取材対象としては「単体」と「企画」の違いはあるだろうが、永沢光雄が会った90年代半ばまでのAV女優たちには、一言でいえば、“どっこい生きてる”感がみなぎっていた。酒乱の親に苦しめられたり、近親相姦(そうかん)の犠牲者であったりと、

2014-04-18 19:58:45
上曽根玲子 @kamisone_reiko

、誰もが悲愴(ひそう)な幼少時代を送りながらも、家を飛び出して水商売やピンサロなどの性風俗を渡り歩き、男性経験は豊富でセックスも大好きだ。彼女たちに共通するのは、お金を貯(た)めたらAV女優をきっぱり止めて自分の店をもちたいと希望しているところ。

2014-04-18 19:58:47
上曽根玲子 @kamisone_reiko

つまり、自分の賞味期限を知り、将来に明確な夢がある。根性が据わって、たくましさが感じられた。 うそがあるかもしれない。だが永沢光雄は、彼女たちのうそはうそのままに、虚像は虚像としてそのまま受けとめていた。たとえ瑕疵(かし)を見つけても、そこに攻め入ることはしない。

2014-04-18 20:58:49
上曽根玲子 @kamisone_reiko

AV消費者でもある中年男のうしろめたさ、どんくささで彼女たちの尖(とが)った言動を包み込む。今以上、彼女たちを傷つけることはせず、裸で勝負する心意気を買い、読む者も、書かれた者も、うれしくなるような「おはなし」を提供していた。

2014-04-18 20:58:50
上曽根玲子 @kamisone_reiko

中村淳彦と永沢光雄の、どちらがいい悪いということではない。ただ、永沢なら、ここまで変化した業界とAV女優たちをどう描いただろうと想像したくなる。中村が突き放した女優たちを永沢なら愛せるだろうか。何もいわず、現場を立ち去ったのではないか。そんな気がしてならないのだけれど。

2014-04-18 21:58:49
上曽根玲子 @kamisone_reiko

引退後の成功例も なお、中村淳彦は、「個人的に、生涯AVや風俗に関わることがない人生の方が幸せであると思う」と書きつつ、しかし、“不幸”にもAVで働いてきた女性たちが、引退後どう生きていけばいいか、成功例からホームレスに転落した例まで具体的なケースを挙げながら、

2014-04-18 23:14:28
上曽根玲子 @kamisone_reiko

中村淳彦が願うように、本書が、AV女優志願者やその親たち、引退を考えている女性たちに届けばいいと思う。もちろん、無料動画を含むすべてのAVに恩恵を受けている諸兄にも。ただ、本書はもっと広範な読者からのリアクションを期待しているだろう。

2014-04-18 23:58:51
上曽根玲子 @kamisone_reiko

なぜ今、これほど多くの一般女性たちがAVに出たがるのか、この社会現象を読み解く答えがまだどこからも聞こえてこないからだ。 (『職業としてのAV女優』 著:中村淳彦 出版社:幻冬舎 2012年05月)

2014-04-18 23:58:52