三谷先生twitter上ミニ講義:ルーマンにおける「事実的」の布置(ルーマン入門案内付)

自分の勉強のために勝手にまとめ作りました。三谷さまほか関係者のかたご容赦を。
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三谷武司 @takemita

初期のルーマンは「事実的行為のシステム」みたいな言い方をしますが、ここに見られる「事実的」という形容は、後期の「Es gibt Systeme」と同じ意味です。つまり、「システム」とはモデルの名前ではなく、対象の名前だと。

2010-11-04 02:59:25
三谷武司 @takemita

経験的研究と規範的研究の橋渡しを目指すシステム理論にとって、この「事実的」という限定は、とりあえず「経験的」の方に偏向することを意味します。モデルであれば、規範的(合理的)に立てることができますが、それを禁じているわけですから。

2010-11-04 03:01:45
三谷武司 @takemita

システムの形容詞としての事実的・現実的・具体的はほぼ同じ意味で、それに対立するのがモデル的・分析的という形容です。ルーマンがこの区別を持ち出して前者の立場を強調するとき、念頭に置いているのは、後者の立場をとっているパーソンズ理論です。

2010-11-04 03:06:06
三谷武司 @takemita

ルーマンが、システムは「存在論的」でないというとき、その意味は、システムの同一性が環境に対する相対的な自律性にすぎないことを意味している。他方、環境に対する相対的な自律性を保持するために、「行為システムの構造は必ず規範的に制度化されている」と言われる。

2010-11-04 03:21:08
三谷武司 @takemita

ここに「規範的」が入ってくる。それを可能にしているのが、行為者の期待の一般化である。一般化は抽象化と言ってもいい。一般化した期待は環境変化に対して相対的に自律的であり、行為者が期待に基づいて行為する以上、その行為によってつくられるシステムも環境に対して相対的に自律的である。

2010-11-04 03:24:30
三谷武司 @takemita

注意すべきことは、この「規範的」は、研究者が対象に対して立てる規範性ではなく、対象であるシステムが自らの環境に対して立てる相対的自律性としての規範だということです。

2010-11-04 03:25:39
さいむー @saimuuu

@takemita 今おっしゃられていることが全く理解できないのですが、ルーマンについて概略的に勉強したい場合、何の著作を読むのがいいでしょうか?原典は読めないので、邦訳化されているとありがたいのですが。

2010-11-04 03:32:06
三谷武司 @takemita

.@saimuhurikou とりあえず http://bit.ly/bBNefg で。週末の学会が終わったら概略的な論文の訳文を載せます。本なら長岡本 http://amzn.to/b3rf8a でしょうね。ただ後期の話は、頑張って読んでも労多くして益少ない気も(←怒られる)。

2010-11-04 03:47:50
さいむー @saimuuu

@takemita ご丁寧に有難うございます。ルーマン自身の著作としては、『社会システム理論』が有名かと思われますが、膨大な時間がかかるだろう、ということですよね。訳文を拝見させて頂くとともに、後者解説本に当たってみたいと思います。

2010-11-04 03:55:59
三谷武司 @takemita

ルーマン「「システム合理性」は規範的研究と経験的研究の架け橋! 規範的研究は「行為」の合理性ではなく、「システム」の合理性を。経験的研究はシステムの「存立」ではなく、システムの「合理性」を考えようぜ! そうしたら一緒になれるぜ!」

2010-11-04 11:55:16