肉塚斬首之介さん ( @kyounenn25 ) の怖い話
- animamundi_
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とりあえずその日は指を怪我したスタッフがいない分てんてこ舞いで仕事を加賀美さんはこなしていた。次の日出勤すると店長に暗い口調で「今日からあいつも休みだから」と言われた。ペンチで髪の毛を切った男性スタッフだった。
2014-04-20 06:24:46「どうしてですか?」と加賀美さんが店長に尋ねると、目が痛いって昨日から言っていて男性スタッフの話によるとペンチで髪の毛を切った時に髪の毛が跳ねて目に刺さったらしくて。そういえば昨日眼帯をしていた事を加賀美さんは思い出した。
2014-04-20 06:27:44「まあ、とりあえず頑張ってよ」と加賀美さんは店長に言われたがまるで「お前のせいでこうなった」と言わんばかりの口調に暗い気持ちになったが「わかりました」と応えてその日も働いていた。
2014-04-20 06:30:18もはや店には加賀美さんと店長の2人しかスタッフがいない状態で休憩も無しでなんとか業務を終えた。すると閉店後一本の電話が鳴った。店長が出ると深刻そうにしばらく話した後に電話を切り上着を羽織ると「店戸締まりしといて病院行くから」と加賀美さんに言った。
2014-04-20 06:36:06「病院ですか?」加賀美さんが言うと指を怪我したスタッフの家族の人からでかなり良くない状態らしくてどういう状況でこうなったか聞きたいらしいから病院に行ってくる。との事だった。
2014-04-20 06:39:05「わたしも行きましょうか?」と加賀美さんが言うと「お前が行ってどうなるねん。ボケ」と関西出身の店長に関西訛りで吐き捨てる様に目を合わせないで言われた。
2014-04-20 06:41:07加賀美さんは暗い気持ちで片付けをしながら「明日は月曜で休みだから病院に行ってみよう」と思った。すると店の電話が鳴った。出ると目を怪我した男性スタッフだった。
2014-04-20 06:43:39「お疲れさまです。大丈夫ですか⁉」と加賀美さんが尋ねるとしばらく無言の後に「大丈夫なわけないじゃん」と言われた。加賀美さんが無言でいると「大丈夫なわけないじゃん」とまた言った後に電話が切れてしまった。
2014-04-20 06:46:36それからしばらく加賀美さんはその美容室で働いていたが指を怪我した女性スタッフは指が壊死、結果指を切断する事になり復職する事はなかった。目を怪我した男性スタッフは視力が殆ど無くなってしまいこちらも復職する事はなかった。
2014-04-20 06:49:31泣き鬼
終戦生まれの章雄さんが子どもの頃カブトムシを取る為に夜中に家から離れた林に一人で蜜を塗りに行った。こうしておくと朝に蜜に群がるカブトムシを取れるからだ。
2014-04-22 22:55:32蜜を塗り終えて街頭の無い田舎道を歩いていると前から光が見えた。「なんだろ?」と思っていると手に持った光るものに顔が照らされて泣いている人間のようだった。右に左に揺れながらフラフラと歩いている。
2014-04-22 22:57:18緊張しながらも横を通り過ぎる時にチラッと見るとそれもこちらをチラッと見てまた前を向き林の方に歩いて行った。顔立ちから女性の様に見えた。
2014-04-22 22:59:27すれ違ってから振り返るとそれはフラフラと林の方に歩いて行くのが持っている光でわかった。しばらくすると光が消えた。章雄さんは走って家路へと急いだ。
2014-04-22 23:01:49帰って父親に話すと「それは谷を追い出された鬼じゃ」と言われて「そういや髪が金色じゃったわ!」と言うと「そうじゃろう!」とまた父親に笑いながら言われた。
2014-04-22 23:03:52それから章雄さんは所帯を持ち40過ぎで女の子が生まれた。遅くにできた子どもだったので溺愛したが「美容師になる」と反対を押し切って東京に上京していた。勘当同然だったので正月にも帰ってこず章雄さんも意地になってこちらから連絡を取らずにいた。
2014-04-22 23:06:24娘が家を出て3年目の夏。章雄さんが晩酌を終えて「風呂でも入るか」と思っていると奥さんが「あなた!」と言って台所から駆け寄って来た。
2014-04-22 23:08:20「なんだなんだ」と思っていると携帯電話を章雄さんに差し出した。見ると娘からのメールだった。章雄さんに内緒で娘が心配な奥さんはたまに連絡を取っていたと言う。
2014-04-22 23:09:44