【メモ】「戦争における「人殺し」の心理学」

自分用の読書メモ。
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架神恭介/作家・ゲームデザイナー @cagamiincage

p212 ナイフで刺すより槍で突く方が簡単(距離の問題)。刃物で突くのは心理的に難しく、振り下ろすほうが簡単。突く方がより殺人の意図が強いため。古代ローマ人も兵士が突こうとしないことに困ってたらしい。銃剣を持っていても戦闘に入ると、かーっとなって逆さに持ち替え銃床で殴ったりする。

2014-04-24 19:42:02
架神恭介/作家・ゲームデザイナー @cagamiincage

p222 白刃を閃かして敵が持ち場に迫ってきた場合、敵の「近距離殺人を行う意志」に恐怖し大抵逃げる。銃剣での被害者はほとんどいないが、それでも銃剣突撃は相手の陣形を乱し士気に壊滅的影響を与えるため有効。逃げて背中を見せると(顔が見えなくなり人間性が薄れるので)敵は刺しやすくなる。

2014-04-24 19:56:49
架神恭介/作家・ゲームデザイナー @cagamiincage

p225 顔を見なければ心理的に距離が生まれる。銃殺刑の際に囚人の頭にフードを被せるのは殺しやすくするため。誘拐の犠牲者はフードを被せられていると殺される確率が上がる。歴史上の戦闘では犠牲者は主に敗走中に追撃されて出る。

2014-04-24 20:01:13
架神恭介/作家・ゲームデザイナー @cagamiincage

p249 「これ以上、部下に犠牲を強いることはできない」と指揮官が感じ始めると敗北(降伏)に繋がる。周りで部下が死んでいき、自分が降伏を決断すれば皆が救われることが分かっていると、ある時点で、指揮官は戦う意志(士気)を奮い起こすことができなくなる。

2014-04-24 21:36:48
架神恭介/作家・ゲームデザイナー @cagamiincage

つまり、指揮官の戦意が失せない限り、物理的全滅以外に負けはない訳で。「降伏した相手も殺す」というのは、この意味でも非常に悪手といえる。

2014-04-24 21:38:33
架神恭介/作家・ゲームデザイナー @cagamiincage

p253 兵士が殺人を実行する第一の動機は戦友に対する責任感。個人は集団に強く同一化する。仲間のため、なら戦えるし、部隊の半数が死ぬと抑うつ状態になり戦えなくなる。日本軍のように集団自決したりも。崩壊した部隊から一人取り残された兵士を別の部隊に入れてみてもほとんど戦わない。

2014-04-24 21:46:35
架神恭介/作家・ゲームデザイナー @cagamiincage

p258 集団は匿名性を生み出し、責任を分散するので殺しやすくなる。チャリオットが強力だったのは二人一組の兵器だから。方陣、大砲、機関銃もそうで、複数人掛かりのシステムだと相互監視が効いてサボれなくなる。

2014-04-24 22:06:44
架神恭介/作家・ゲームデザイナー @cagamiincage

P267 長く接近戦が続くと互いの兵士が顔見知りになり、心理的距離が縮まって殺せなくなる。休戦状態になりクリスマスにはプレゼント交換とかし始める。p269 この距離を広くするために、敵兵に蔑称を付けて「人間以下」扱いをする。(鬼畜米英とかもたぶんこのため)

2014-04-24 22:30:20
架神恭介/作家・ゲームデザイナー @cagamiincage

p281 戦場において貴族が強かったのは社会的距離によるもの。戦闘員の多数を占める農奴は、似たような境遇である敵の農奴を心理的に殺しにくいが、社会的距離のある貴族なら殺せる。部下に対してもそう。指揮官は部下に死ねと命じる立場だが、貴族は心理的に仲間を危険に晒し易い。

2014-04-24 22:45:01
架神恭介/作家・ゲームデザイナー @cagamiincage

p288 女性や子供が戦場にいて、彼らに危険性が及ばない場合、兵士の攻撃性は抑制されるが、彼らが危険に晒されると戦場の残虐性が高まる。巣を守るけものの戦いになる。イスラエルが女性兵士を戦場に出さないのは、女性兵士が死傷すると男性兵士が際限のない残虐行為に走ったため。

2014-04-24 23:05:39
架神恭介/作家・ゲームデザイナー @cagamiincage

p295 ハリウッド映画に出てくる「戦闘にあって平静でいられる」兵士は実際は2%しかおらず、彼らは殺人への抵抗感を持たず、精神的損傷を被らない。とはいえ、サイコパスの殺人者というわけではなく、戦後は社会の発展と繁栄のために明らかに平均を上回る貢献をする。

2014-04-24 23:17:48
架神恭介/作家・ゲームデザイナー @cagamiincage

p298 世界の大半は羊。大人しく優しく親切で真の意味で攻撃的にはなれない。別種の人間がいて犬。忠実で油断がなく環境が求めれば攻撃的にもなれる。その他に狼(社会病質者)や野犬の群れ(ギャング)がいて、牧羊犬(兵士、警察)は彼らに立ち向かう(社会における2%の立ち位置のニュアンス)

2014-04-24 23:26:46
架神恭介/作家・ゲームデザイナー @cagamiincage

【補足】2%のニュアンス:「生まれついての兵士」の素質を持つ2%の人間はサイコパスではない。「病気」はその性質により何らかの問題が発生するが、この2%は戦場において優秀な兵士であり病気には分類されない。よって、狼(社会病質者)や野犬の群れ(ギャング)と区別され牧羊犬と表現される。

2014-04-25 19:20:53
架神恭介/作家・ゲームデザイナー @cagamiincage

P316 死ぬまで勇敢に戦うあっぱれな敵が相手の場合、殺人者はほとんど良心の呵責を感じない。倒した敵を称えることで自分の行為を合理化し、心の平和を得る。待ち伏せからの一方的殺人だと合理化は難しくなる。

2014-04-26 16:04:38
架神恭介/作家・ゲームデザイナー @cagamiincage

p322 殺人は敵の人間性を無視するのが有利だが(心理的距離)、捕虜にした途端、今度は人間として扱うことになる。180度頭の切り替えが必要な行為で難しい。ギリギリまで戦ってからの降伏は危険。例えば機関銃手の攻撃を掻い潜り数歩の距離に近付いてから機関銃手が降伏しても五割は殺される。

2014-04-26 16:12:24
架神恭介/作家・ゲームデザイナー @cagamiincage

p337 残虐行為による殺人(捕虜の処刑など)は、自分の罪悪感を否定するために相手の人間性を否定し(相手は倫理的社会的文化的に劣っている!)さらなる殺人へと繋げる(ナチのSSなど)。p344 一方で「歓迎して」降伏してきた者たちさえ人間扱いしなくなり彼らを戦力に組み込めなくなる。

2014-04-26 16:40:44
架神恭介/作家・ゲームデザイナー @cagamiincage

p361 残虐行為は殺人を容易にするという意味で短期的な利益はあるが、それにより敵も殺人しやすくなる。「相手は残虐な奴らだから殺していいんだ!」

2014-04-26 17:05:19
架神恭介/作家・ゲームデザイナー @cagamiincage

p369 銃撃戦の際にアドレナリンが放出され、コンバット・ハイになり、笑ったりふざけたりし周囲の危険が気にならなくなる。ヘロイン中毒のように戦闘の注射を次々求めるようになると危険で、次の一発のためなら破れかぶれで何でもするようになる。殺人の高揚感が一過性でなく固着する人がいる。

2014-04-26 17:18:14
架神恭介/作家・ゲームデザイナー @cagamiincage

p382 戦闘にあって、殺人には高揚感と満足感があり、次に自責と罪悪感が生じる(この過程には個人差がある)。「人を殺しといて楽しかったなんて、おれはどうしちまったんだ」と自分を病気ではないかと考える(が、これはごく普通の反応)。

2014-04-26 17:35:53
架神恭介/作家・ゲームデザイナー @cagamiincage

p394 兵士の発砲率を上げるために条件付けのような訓練を行う。風船に戦闘服を着せるなどして人間によく似た的を使うなどし、戦場での殺人状況をシミュレートし、反射的かつ瞬間的に撃てるようにするための訓練。このリハーサルを繰り返すことで現場でも人間ではなく的と思って撃てるようになる。

2014-04-26 17:55:33
架神恭介/作家・ゲームデザイナー @cagamiincage

p400 この訓練を受けている軍が、受けていない軍と戦った場合、殺傷率は35〜50倍になる。

2014-04-26 18:00:18
架神恭介/作家・ゲームデザイナー @cagamiincage

p420 兵士の戦後の精神衛生のためには、戦地からの帰還は空輸よりも海路などにして冷却期間を与えた方がいい。船中で兵士仲間と感情を共有することで一種のグループセラピーとなる。また、故国でパレードや勲章などにより、戦闘行為の正しさと国民の感謝を示すことで「浄めの儀式」をすべき。

2014-04-26 23:44:51
架神恭介/作家・ゲームデザイナー @cagamiincage

p426 ベトナム戦争の帰還兵にPTSDが多いのは帰還後、自国民から白眼視を受けたから。戦場でも本国での戦争の評判が落ちるにつれ、精神的原因による後送が増えた。(6%から50%へ)

2014-04-27 00:03:00