茂木健一郎(@kenichiromogi)さんの連続ツイート第1221回「ハーバードは、バスケットボール選手をなぜ入学させるのか」
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はば(1)3月の下旬、TEDに参加してバンクーバーから帰ってくる飛行機の中。ぼくのとなりのおじさんは『アナと雪の女王』を観ていた。そのさらに向こうのカナダ人の女の子が、David and Goriathというタイトルの本を読んでいた。むむむと思ったら、Gladwellだった。
2014-04-30 07:20:46はば(2)Malcolm Gladwellの仕事は素晴らしく、Tipping Point, Blink, Outlierなど、ベストセラーになった本はどれも洞察に満ちている。飛行機の中で、『アナと雪の女王』を観ているおじさんの横の女の子が持っていたので、新刊の存在を知った。
2014-04-30 07:21:35はば(3)さて、TEDでバンクーバーに滞在している時、一つ、謎の光景があった。ぼんやりテレビを観ていたら、大学バスケットボールの試合をしていて、ハーバード大学とどこかが対戦していた。ハーバードの選手たちは、アフリカ系が多く、背が高く、また、すげーバスケがうまかった。
2014-04-30 07:23:16はば(4)「へえ〜このバスケ超絶うまいやつらも、ハーバードの学生なんだ〜でも、なんかヘンだなあ〜」と素朴な疑問を持った。その疑問に対する答えが、今回、Malcolm GladwellのDavid and Goriathをアメリカで買って読んでいたら書いてあって、深い感動を持った。
2014-04-30 07:24:19はば(5)話は変わるが、東京六大学野球で、東京大学が何十連敗か何かしていて、もはや何かの風物詩のようになっているが、東京大学とハーバードの、根本的な違いはここにあると思う。東大はペーパーテストだけで選抜して、スポーツがうまいから、という理由で入ってくる人はいない。
2014-04-30 07:25:42はば(6)ハーバードは、ある時期から、スポーツが卓越している、という基準で学生を入学させている。その深い理由が、GladwellのDavid and Goliathに書いてあって、大変感動的なのであるが、その詳細をここで論じるのはやめる。別の機会に。あるいは、翻訳書に任せる。
2014-04-30 07:29:01はば(7)少しだけヒントを書くと、ハーバードでも、SATの平均点がハーバードよりも低い大学でも、科学の学位をとって卒業する人の割合は、大学内の成績のパーセンタイルと相関がある。さらに、学位取得後、どれくらい良い論文を書けるかも、ハーバードと他大学で大差ない。
2014-04-30 07:31:47はば(8)つまり、「大きな池の中の小さな魚」になるより、「小さな池の中の大きな魚」になることの方が、その人のキャリア全体を見ると大事なことがあると、Gladwellは書いているのであるが、そのことと、ハーバード大学が、バスケットボールの選手をとることと相関があるのである。
2014-04-30 07:33:14はば(9)私は一貫して偏差値入試を批判していて、偏差値を計算している限り、予備校は悪の産業でつぶれちまえ、という思いを抱いていることは変わりない。Gladwellの今回の著作で言えば「絶対にやってはいけないこと」を、日本は、受験産業のせいで、国全体でやってしまっているのである。
2014-04-30 07:34:42以上、連続ツイート第1221回「ハーバードは、バスケットボール選手をなぜ入学させるのか」でした。答えが気になる人は、Malcolm GladwellのDavid and Goliathを読んでください。
2014-04-30 07:35:37