2014年5月1日

絵本と反レイシズム①:『いぬ おことわり!』、あるいは「おさるのジョージ」誕生秘話

『いぬ おことわり!』(マーガレット・ワイズ・ブラウン作、H.A.レイ絵、ふくもとゆみこ訳)
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直立演人 @royterek

【ご案内】第2回「居留守de絵本市」(4月27日(日)午後2時~居留守文庫にて)参加者募集中です(飛び入り参加もOK)。見学も大歓迎。http://t.co/K3h6KuUIiM 私は反レイシズムの観点から何冊かの絵本を紹介する予定。

2014-04-25 01:20:18
直立演人 @royterek

今回の居留守de絵本市で私が最初に取り上げた絵本は『いぬ おことわり!』という作品。動物園に行ってみたいと思っていた子犬が飼い主と一緒に動物園に入ろうとしたところ、「いぬ おことわり!」という看板に出くわして、がっかり、しょんぼり。https://t.co/nsq7hHiKJN

2014-04-30 01:56:13
直立演人 @royterek

『いぬ おことわり!』(表紙) http://t.co/LAviG1kN8F

2014-05-02 02:45:43
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直立演人 @royterek

「むかしあるところに、どうぶつえんにいってみたいな、とおもっている、ちいさいいぬが いました」(よくかわいい小動物系の写真とかを大量投下されている方にもおすすめです) http://t.co/zzTnuwNPWb

2014-05-02 02:48:09
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直立演人 @royterek

念願だった動物園に出向く子犬と飼い主のこのにこやかな笑顔を見よ! そして「いぬ おことわり!」と書かれた看板の恐るべき不意打ち! http://t.co/cIwtCqVtmO

2014-05-02 02:50:54
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直立演人 @royterek

しかし、人間の子どものように見えさえすれば動物園に入れると門番から聞いた飼い主は、子犬を人間の女の子に見えるように、床屋で犬の毛をカットしてもらい、服を着せ(サングラス、香水、手袋まであてがう)、後ろ足で歩けるように調教する。女の子の恰好をした子犬を門番は見て見ぬ振りをして通す。

2014-04-30 02:03:17
直立演人 @royterek

人間の女の子に変装して動物園に入れるようにするために、床屋で犬の毛を刈ってもらい、女の子の服を買い揃えた飼い主の紳士。 http://t.co/bWPQ5CY0OB

2014-05-02 02:54:10
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直立演人 @royterek

「それでも、なんだか やっぱり いぬみたい」なので、青いグラサン、黄色い手袋、グラジオラスの香水を用意する飼い主のおじさん。そして、人間のように二本足で立つために調教に耐える子犬。 http://t.co/5XmducAOLG

2014-05-02 02:57:35
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直立演人 @royterek

そして、様々な工夫と苦労の末、人間の女の子に成り代わった子犬を連れて意気揚々と動物園の門前にやってくる飼い主。そして「二人」を見て満面の笑みを見せる人のよい門番のおじさん。 http://t.co/aPvYOuLs0J

2014-05-02 03:00:56
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直立演人 @royterek

「『おじょうちゃん、ほえないでね。しばふは、たちいりきんし。ライオンをこわがらせないように、おねがいします!』そういうと、もんばんは、いってしまいました。/そこで、すっかり ちいさいおんなのこに なりすました ちいさいいぬは、とことこと どうぶつえんに はいっていきました」

2014-04-30 02:06:06
直立演人 @royterek

そこで子犬と飼い主のおじさんは、あざらし、ライオン、ヒョウ、クマ、シマウマ、キツネ、カンガルー、ハイエナと見物したあとで、猿の小屋にたどり着く。猿たちの様子に魅了された子犬が思わず柵に近寄ると、猿という猿が子犬の帽子やサングラスや洋服を身ぐるみ剥いで子犬であることがバレてしまう。

2014-04-30 02:16:52
直立演人 @royterek

動物園といえば、やはりこれですね。「あら、さるばっかり!!!」 http://t.co/kwZqJf6mx6

2014-05-02 03:02:55
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直立演人 @royterek

しかし、一瞬の隙をつかれ、無惨な結果に…。 http://t.co/AnMyKJMq3o

2014-05-02 03:04:11
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直立演人 @royterek

「いやはや、ばれてしまったか。」と、おじさんは いいました。「これは にげるがかち!」 http://t.co/9K8BOEquoY

2014-05-02 03:05:22
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直立演人 @royterek

「『いやはや、ばれてしまったか。』と、おじさんは いいました。『これは にげるが かち!』/そして、いぬをだきあげ、ライオンを こわがらせないように、うわぎのしたに しっかりかくして、いちもくさんに――/うちに、かえりました」(おわり)

2014-04-30 02:18:43
直立演人 @royterek

『いぬ おことわり!』は、子犬が動物園に行きたがる、動物園に「犬お断り!」の看板がある、動物園に入るために子犬が人間のフリをする、子犬が動物園の動物を見て楽しむ、折の中の猿の悪戯で子犬であることがバレてしまう等、おかしな要素が満載で、これだけでもユーモア絵本としては上出来である。

2014-04-30 02:35:37
直立演人 @royterek

そして、そうしたおかしな設定の中でも輪をかけておかしいのは、「百獣の王」として恐れられているはずのライオンが何よりも恐れているのが子犬だという点である。このことは随所で強調されるのだが、実は『いぬ おことわり!』の原題も"Don't Frighten the Lion!"なのだ。

2014-04-30 02:44:58
直立演人 @royterek

かくして、子供たちがこの絵本を一種のドタバタ喜劇のように受容しても何ら不思議はないのだが、同時に、とりわけ最後のページから滲み出てくるなんとも言えぬペーソスの余韻は、この作品の主題に隠されたアイロニーの所在を予感させるに十分であろう。 http://t.co/oMTgrMDzjH

2014-04-30 03:17:14
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直立演人 @royterek

この「しょんぼり」振りを見よ。最後のページとともに、このページの子犬と飼い主の落胆ぶりもまた、幼い子どもの記憶になにがしかの印象を刻まずにはいられないだろう。そしてこの絵に込めた作者の並々ならぬ思い入れも伝わってくるというものである。 http://t.co/acwz5lgQB6

2014-04-30 03:39:23
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直立演人 @royterek

以上は、とりあえずテクストに内在的な次元の話だが、この作品が創作された背景、とりわけ作者の来歴とともに時代状況などに鑑みると、この作品に込められたメッセージはいっそう鮮明になってくるのではないかと思う。が、それについては追って触れることにしたい。

2014-04-30 03:23:10
直立演人 @royterek

『いぬ おことわり!』の原作者マーガレット・ワイズ・ブラウンは42歳で夭折したが、『おやすみなさい おつきさま』や『ぼくにげちゃうよ』など生前に100冊以上の絵本に物語を提供した20世紀アメリカを代表する児童作家の一人。特にレナード・ワイズガードと組んだ 絵本の数々が素晴らしい。

2014-05-01 15:51:22
直立演人 @royterek

そして、ブラウンのストーリーに生き生きとした挿絵を描いたのは、H.A.レイ。今や世界中の子供たちに愛されている「ひとまねこざる」、すなわち「おさるのジョージ」シリーズの生みの親である。今回の紹介にあたって、H.A.レイのバイオグラフィーについて調べたところ、多くの発見があった。

2014-05-01 15:57:00
直立演人 @royterek

まず驚いたのがH.A.レイという名前。”H.A.”は「ハンス・アウグスト」の頭文字で、レイはハンブルク生まれの「ドイツ人」だったのだ。と、『絵本の歴史をつくった20人』(鳥越信編)の記述から私はそう早合点して、絵本市でもそのように紹介したのだが、実はユダヤ系だったことが判明した。

2014-05-01 16:08:30
直立演人 @royterek

参照した本に「ユダヤ系」との記載がなかったとはいえ、「ハンス・アウグスト」といういかにもドイツ風の名前を見て「ドイツ人」と思い込んでしまったのは不覚だった。「ドイツ国民」という意味でドイツ人であったことは間違いないが、ナチズム台頭の前後で意味合いが全く異なることは言うまでもない。

2014-05-01 16:14:16
直立演人 @royterek

H.A.レイは1898年のハンブルク生まれ。動物が大好きで動物園に毎日通う少年時代を過ごしたというが、第一次世界大戦ではドイツ軍兵士として従軍した経験をもつ(独軍兵士として戦ったユダヤ人は少なくなかったが、この記述も彼をドイツ系と思い込んでしまった理由の一つだったかもしれない)。

2014-05-01 16:22:16
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コメント

マゴコロタロウ @taromagokoro 2015年8月24日
このツイートのまとめ、見逃してたので。H.A.レイの背景と人種差別について
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