- akigrecque
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こんなふうにあたたかいと、横たわって空だけ見ていたくなる。陽を浴びて、浴びているうちに身体が土になって、草が生えて、ほわほわと小さな野原になる。そのうえを虫や動物が歩いたり走ったりして、生きていたころのことが全部夢みたいで。もう春なんだ。風に包まれて、生きていることが夢みたいで。
2014-02-28 17:18:00待っているのが好きなんだ。それがいいことならもちろん、ほんの小さなことでもいい。待ってるときって、少し先に光が灯っているみたいなんだ。心がぽっとあったかくなるんだ。だから待たせるのが申し訳ないなんて思わなくていい。とくに待っているのが君なら、それはもうすばらしく素敵なことなんだ。
2014-03-01 10:42:52曇っている。薄暗くて、開きはじめた蕾たちもまどろんでいるのかもしれないね。妬んだり憎んだり、人の世は汚いと言う人もいるけど、花や草だってきっとそういうものを抱えてるんだ。それでもあんなに美しく見える。こんな薄暗い日は休めばいい。急がなくていい。ゆっくり、ゆっくり咲けばいいんだよ。
2014-03-02 11:14:27大人になるのが怖かった。大人になったら世界の見え方が変わる。だれかがそう言っていたから。いま見ている世界は消えてしまう。いまの自分の心は消えてしまう。怖かった。世界とはなんと不安定なものなんだ。こんな臆病な僕のことを僕はいつか忘れてしまう。空の高いところで雲がすうっと形を変える。
2014-03-03 09:09:03雛人形をしまった晩、夢を見た。お雛さまが細い細い月の舟に乗って空に浮かんでいるのだ。舟はふわふわと飛んで、小さな戸にはいっていった。わたしの育った家の押入れの天袋だった。なかはほんのり明るく、奥に道が続いている。お雛さまはあの道の向こうからやってきたんだと思ったとき、目が覚めた。
2014-03-04 21:24:47空から陽射しが降ってくる。真っ青な空の下に電線がのびて、あれはなにを運んでいるの。わたしもどこかにつながってるの。いいことばかりじゃないけど悪いことばかりでもない。まぶしいよ。おいしいコーヒーを飲めばまた一日生きていけるね、きっと。空を見る。壜の底から仰ぐように遠い遠い空を見る。
2014-03-06 16:27:48耳を澄ますと、遠くから鳥の声が聞こえてくる。風や車や電車の音も聞こえて、ひとりきりじゃないと思う。あれから何回か春が来た。強ばった心も少し緩んだけど、ただそれだけだ。低い空が霞む。どうしようもなさを噛みしめる。走って行く子どもの後ろ姿を見ながら、それでもともに生きていこうと思う。
2014-03-09 21:58:05川面がきらきら光っている。人の身体のほとんどは水だと聞いた。水は、雨になったり海になったり、雲や生き物の身体になって、地球のうえを巡っているらしい。あの川にも雲にも、かつて人だったものが混ざっているのだろう。あの人もあの人も、木や草花だったものも混ざって、きらめいているのだろう。
2014-03-10 21:50:34バスの窓から古い町並みが見えてくる。理容室、豆腐屋、焼き鳥屋。路地の奥の、剥げた壁、くすんだガラス、くたびれた洗濯物。目を凝らす。あれは小さいころに住んでいた町。思い出なんかじゃない。いまもあるんだ。わたしたちが行けなくなっただけで、いまもここにある。ガラスの向こうに浮いている。
2014-03-12 10:28:26ひとり暮らしの小さな部屋で僕はひとり目を覚ます。窓の外のだれもいない道に自転車が一台走っている。不安なんだ。今日一日うまくやっていけるのか。僕になにができるのか。死んだあとだれか覚えていてくれるのか。窓を開け日を浴びる。死にたいようなまぶしい朝だよ。それでもなんとか歩いていくよ。
2014-03-13 23:00:32朗読サイト開設されました。
140字小説の朗読の音源の置き場としてtumblrはじめてみました。twittsoundも気軽に公開できていいんですが、どこかひとところにためておいた方がなにかと便利かと思いまして。。。音源アップするとこちらにも流れますので、のぞいていただたらうれしいです。
2014-03-02 21:01:36tumblrのアカウントはこちらになります。 http://t.co/FDZ1gYhUw6 まだあんまりよくわかっていないのですが、よろしくお願いします!
2014-03-02 21:08:58連歌サイト開設されました。
連句用の新しいブログをはじめました!これまでは自分のブログに書いていたのですが、わかりにくいので連句専用ブログを作ることに。よろしくお願いします。13日に巻いた連句作品を掲載しています!→半歌仙「君に言わない」 http://t.co/H4TZzfJXUL
2014-03-16 19:49:56