桐生】狭間駿が指定した、見通しの良いポイント。隣に佇む相棒の能力を借りて、姿と、その音を隠匿している。 斑鳩】「まぁじで、ダッセェー。ケーサツが過激派雇うとか、始末書じゃ済まねッスよコレェー」 桐生】時折悪態をつく相棒を無視して、静かに時を待つ。
2014-05-05 20:09:33纏】からんころんと、下駄を鳴らし、真下を向いて歩く。 ざわざわと騒ぐ胸とは裏腹に、その足取りは重い。 どうして『こんなこと』になったのかわからない。答える義務もない。 なのに、鈍い足取りではあるものの、指定された公園まで、ゆっくりと、足を、進める。
2014-05-05 20:10:12狭間】桐生トウヤからの依頼に沿って呼び出した少女の、名前を自分は知らない。黒い髪の女子高生、桐生トウヤがマリアと呼び、みずからは悪意ロベリアと名乗った少女。その到着を、うららかな陽射しの下で待つ。
2014-05-05 20:11:02狭間】公園には、さほどヒトは多くない。とはいえまったくひと目が無いわけでもない。指定したベンチは公園の隅、遊具からも離れ、見通しはいいがあまりヒトが好んで目を向ける位置でもない。頭上でさやさやと、葉ずれの音がする。
2014-05-05 20:12:44纏】トウヤの携帯にきた一通のメールの主、狭間駿。 …会ってどうしろというのか、辛さんの話なんか聞いて、どうするつもりなのか… 指定された公園。この東京の中には珍しく、緑が青く茂り、たまに吹く風にざわざわと鳴る。 まるで自身の胸のように…
2014-05-05 20:14:29桐生】既にその赤いパーカーは"存在している"。歩行に必要な杖を傍らに預け、"悪意"を待ち構えている。 「……」 息を潜める必要などない。しかし、風の囁きが耳を撫ぜると、自然に身を強張らせて呼吸を止めた。
2014-05-05 20:16:09纏】公園の敷地内に一歩踏み入り、辺りを見渡す。 人はそう多くはない。 白い髪の赤いパーカーの若い男。 それだけですぐに分かるのかと思ったが、意外と、すんなりと、その男はみつかった。
2014-05-05 20:20:32桐生】「――!」 息を呑む。狐面こそないが、あの姿を見るのは二度目だ。 艶やかな和装に、洋風のフリルを織り交ぜたようなドレス。 からころと陽気に音を立てる下駄とは裏腹に、その面持ちは昏い。 どんな手段を以てでも生還させたいと望む相手。しかし正攻法とは程遠い現状に後ろ暗さを覚える。
2014-05-05 20:24:12@c_yu_n 纏】「……」 男をみつけ、数秒躊躇したが、それでも鈍い足取りを、男が座っている公園端のベンチへ向ける。 からころと下駄の音を響かせながら男の傍まで歩み寄る。 男から三歩程離れた場所で立ち止まり、じいっと男の様子を伺おう。
2014-05-05 20:25:14狭間】ヒトを探すようなそぶりをした、奇抜な装束のその少女が、例の彼女だろう。伝えた目印が分かったのだろうか、彼女はすっとこちらの方を向いた。 「………」 歩いてくるのを待ち、
2014-05-05 20:25:59@narikirichiku 狭間】「…コンニチワ、」 立ち上がらず、座ったまま見上げて、小さな笑みを作る。 「来てくれてありがとう。情報屋です。…あなたのことは、なんて呼べばいいですか」 座ったらどうか、とは勧めない。彼女の動きに任せる。
2014-05-05 20:27:53狭間】今この声が聞こえる距離には、見える相手はこの少女しかいない。しかし、不可視の存在がこの場にはあと四人、存在する。…斑鳩雄大と、彼の異能で姿を消した桐生トウヤ、それから、自分の要請を承けてやってきたK子。上空のどこかには、源風香もいるだろう。
2014-05-05 20:35:10@c_yu_n 纏】「…好きに呼んだらいい。私の事は知っているのでしょ?」 ベンチには座らず、男が座っている傍らに立ったまま瞳だけ男に向ける。 「あなたの目的はなんなの?」 単刀直入に一度聞いた質問をする。 「トウヤに頼まれたのはわかったわ…。で、それで貴方はなにがしたいの?」
2014-05-05 20:35:14@narikirichiku 狭間】「俺は?…俺は、」 こちらのしたいこと、を問われたので、それに答えよう。少女を見上げたまま口を開く。 「あなたに、桐生トウヤを裁いてもらいたい。…『俺は』そのために来ました」
2014-05-05 20:38:26狭間】真っ赤な装束を目の前に据えたまま、はっきりと発音する。何故だろうか、そのあざやかな赤の印象が不思議に薄い。他の色がそこにはあるような気がする。風が吹いてゆく。 「………」 自分たちの会話は、周りにいる不可視の彼らに聞かれることとなる。目の前の少女はそれを知らない。
2014-05-05 20:40:52纏】「…は?」 考えても見なかった答えに、思わず間抜けな声が漏れた。 「…言っている意味がわからないわ……あなたは桐生トウヤに依頼されてここに…私に愛に来たのじゃないの?」 眉を顰めあからさまに訝しげに男を睨む。 目の前にいる白髪の男の考えていることがまったく理解できない。
2014-05-05 20:43:17