スチームパワード 第1話#4(実況なし)

「ダイハードテイルズ出版局(ニンジャスレイヤー翻訳チーム)」によるツイッター連載小説"スチームパワード"より @diehardtalesによる第1話#4のまとめ(実況なし) #1 http://togetter.com/li/648050 #2 http://togetter.com/li/653266 #3 http://togetter.com/li/658694 続きを読む
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ダイハードテイルズ広報局 @dhtls

俺がペダルとレバーをうまく組み合わせて動かすと、サンダーウォーカーはググッと身を屈める。なにしろ身体がデカいから、それでも大仕事だ。サンダーウォーカーは……「AIEEEE!」捕らわれた連中が大声で叫んでいるのがわかる。サンダーウォーカーは指先で檻を引き裂き、破壊した。7

2014-05-05 20:18:00
ダイハードテイルズ広報局 @dhtls

檻は一つじゃない。だが、慣れればそう難しい作業ではない。『マニピュレータ操作の繊細さ……これも頭部トレパネーション神経接続によって可能となっている。君はスチームパワードそのものとなるのだ!』博士の嬉しそうな説明が思い出される。俺はノーコメントだ。二つ。三つ。檻を壊す。 8

2014-05-05 20:23:45
ダイハードテイルズ広報局 @dhtls

「AIEEEE!」破壊の過程で、何人か怪我をしたかもしれん。解放された市民は狂ったように逃げて行く。多分、死んだ奴はいない。お前ら、命あっての物種だ、責められる謂れはないぞ……チーン!チーン!チーン!「やめてくれ!」俺は受話器を取った。「取り込み中なんだ」「避けて!」「何……」9

2014-05-05 20:28:29
ダイハードテイルズ広報局 @dhtls

KRAAASH!「AAAAARGH!」凄まじい衝撃に俺は少なくとも二秒は気絶した。取り落とした受話器は垂れ下がり、ミシェルの叫びがノイズになって遠く聴こえる。ああ、ああ、わかってる、油断したんだろう。サンダーウォーカーは背中に巨大ホイールを受け、潰れるように倒れ込んでいた。 10

2014-05-05 20:32:59
ダイハードテイルズ広報局 @dhtls

なンてこった……下敷きになった市民もいるかもしれない。俺の油断だ。敵のスチームパワードはあれで死ななかった。起き上がって、俺を後ろから攻撃したんだ。サンダーウォーカーは手をつき、起き上がろうとする。『スチームパワードは無敵だ!沈黙させるのは容易ではない。ゆえに……』 11

2014-05-05 20:37:54
ダイハードテイルズ広報局 @dhtls

「どうすりゃいい?」『必ず、倒したスチームパワードの心臓部、即ちコズム・エンジンを機能停止させねばならん。コズム・エンジン炉は専用装甲で何重にも守られている。たとえばサンダーウォーカーの△▽△▽△が手っ取り早いが、頭部の熱線照射装置を用いるのが基本だ。焼き溶かすのだ!』12

2014-05-05 20:43:55
ダイハードテイルズ広報局 @dhtls

「熱線?そんな火星人のビームガンみたいな真似が……」『できる!君の懸念ももっともだ。そして残念ながら、その懸念はもっともだ。熱線照射は大変なテクノロジーの産物!照射を行う為にはスチームパワードの動力の九割を一時的にかき集める。全くの無防備だ。しかも時間がかかる。ゆえに……』13

2014-05-05 20:48:38
ダイハードテイルズ広報局 @dhtls

「ぶッ倒してからにしろッてんだな!」俺はサンダーウォーカーを立ち上がらせた。振り返りながら、飛来した新たな巨大ホイールを腕で受けた。亜オリハルコンの腕部多重リング装甲がこれを弾き返す!ホイールは舗装道路をガリガリと削り、マンションにめり込んだ。そう何度も食らってはいられない。14

2014-05-05 20:53:46
ダイハードテイルズ広報局 @dhtls

「キキキキャーン!」ホイール・オブ・サロウが吠えた。耳が温い。出血だ。俺の耳がこのふざけたノイズに根をあげているんだろう。俺はペダルを踏み込み、レバーを思い切り引いた。サンダーウォーカーは走り出す。腕を振り上げる!加速!走る!加速!走る!ドッシ!ドッシ!ドッシ!ドッシ!15

2014-05-05 20:56:31
ダイハードテイルズ広報局 @dhtls

「一発!」俺は右レバーを押し出す!KRAAAAASH!走りこみながらの大振り右フックがホイール・オブ・サロウの長首を殴り飛ばす!「キキキキャーン!」殴りつけた反動でサンダーウォーカーの上半身は殆ど真左を向いている。「もう一発!」俺は左レバーを押し出す!KRAAAAAASH! 16

2014-05-05 21:03:07
ダイハードテイルズ広報局 @dhtls

左拳がホイール・オブ・サロウの首根元を叩き潰し、殴り抜ける!操縦席の俺ときたら、左右に振り回されるGで、まったく惨めなもんだ。「……もう一発だ!」俺は右レバー……いや、違う!インスピレーションと身体記憶がスパークし、俺は左レバーの親指ボタンを押し込む。さらに前に押し出せる!17

2014-05-05 21:09:43
ダイハードテイルズ広報局 @dhtls

「ゴウオオオーン!」俺の傷ついた耳はその時、操縦席を震わせるほどの巨大な咆哮を聴いた。わかる!サンダーウォーカーが吠えたのだ。そりゃあ吠えもするさ。やってやるんだからな!サンダーウォーカーは殴り抜けた左腕ごと、そのまま上半身を回転させる。360度の回転だ!そして殴りつけた! 18

2014-05-05 21:12:30
ダイハードテイルズ広報局 @dhtls

KRAAAAAASH!ホイール・オブ・サロウは吹き飛び、道路に面した銀行建物をグシャグシャに潰しながら倒れた。ホイール・オブ・サロウは起き上がろうとするが、できない。どこかがイカレかけてるんだ。今のは効いた筈だ。俺自身、効いてるからだ。この苦労をフイにするわけにはいかない。19

2014-05-05 21:21:04
ダイハードテイルズ広報局 @dhtls

一歩。二歩。サンダーウォーカーはホイール・オブ・サロウに近づく。真正面から見下ろし、仁王立ちだ。ガゴン……操縦席が溜息をつくように震えた。照明がダウンし、俺は闇の中にいた。悲惨な状態だ。音を立て、操作パネルが迫り出した。ボタンにエッチングされた図画はシンプルだ。頭部熱線照射!20

2014-05-05 21:25:21
ダイハードテイルズ広報局 @dhtls

俺はその時ふと思った。敵のスチームパワードの胸部操縦席……今から焼く場所……には、やはり俺のようにパイロットが乗っているのだろうか。こういう時、博士の説明記憶は戻らない。だが、まあ、居るんだろう。人間かどうかはわからんが、機械を操縦できる知性の持ち主が。俺はボタンを押した。21

2014-05-05 21:36:24
ダイハードテイルズ広報局 @dhtls

BEEEEAAAAM……赤い光線がサンダーウォーカーの額から放たれ、ホイール・オブ・サロウの胸部と繋がった。装甲が赤く変色し、輝いた。KBAM!装甲が内側から爆発した。全体の巨大さ、生み出した破壊の規模からすれば、随分と地味な断末魔だ。敵に祈る言葉はない!信仰は忘れたからな。22

2014-05-05 21:40:30
ダイハードテイルズ広報局 @dhtls

操縦席を、それからそのまま奥のコズム・エンジン炉を破壊し、敵の完全沈黙を確かめた時、ようやく俺は受話器の存在を思い出した。俺は苦労して腕を動かし、受話器を再び取った。「俺だ。倒したぞ」「見てたわ!望遠鏡で!」とミシェル。「そうだろう。あのな、訊きたい事がいっぱいあるぞ」 23

2014-05-05 21:47:20
ダイハードテイルズ広報局 @dhtls

「話すわ!私の知っている範囲で……」「ヘックス。マニトゥ。スチームパワード。教団。ギャング。それから、俺の名前」「ごめんなさい、あなたの名前は知らないの。私も研究室内部の人間じゃないから……」「参ったぜ」「とにかく合流しないといけないわ」「そりゃまあ、その通りだ。頼む」 24

2014-05-05 21:51:52
ダイハードテイルズ広報局 @dhtls

俺はミシェルと合流ポイントを打ち合わせる。マニトゥから身を守りやすく、ギャングから身を守りやすく、教団から身を守りやすく、わかりやすい場所を。「あのな、何はともあれ、最初に知らなきゃならんのは、このくそったれ棺桶から抜け出す方法だ」「多分……大丈夫」俺は受話器を置いた。 25

2014-05-05 21:55:42
ダイハードテイルズ広報局 @dhtls

【スチームパワード】第一話 終わり。

2014-05-05 21:56:30

ダイハードテイルズ広報局 @dhtls

△【次回予告】溢れるマニトゥ!この都市に何があった?博士は何故、教会に狙われた?当然のごとく第二のスチームパワードが迫る!地上は地獄、300フィート上も地獄!サンダーウォーカーから降りて、乗って、西へ東へ!次回第二話を待とう△

2014-05-05 22:00:40

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