線型偏微分方程式のはなし

どうでもいいけど「数学」ジャンルって【趣味】カテゴリーに入ってないんですかね。
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尿路結石おじさん @average33

さて、次は偏微分方程式のお話……

2014-05-17 22:23:53
尿路結石おじさん @average33

世の中そうそううまくいかないもので、多変数の微分方程式が必要になってくる場面が結構ある。 具体的にいえば、最も基本的なのが、「波動方程式」や、「熱伝導方程式(拡散方程式)」「ラプラス方程式」などだ。どれも解き方は似てるので、ひとつでも解けるようになれば問題ない。

2014-05-17 22:28:09
尿路結石おじさん @average33

で、残念なことにあぶらげさんが高校生時代に半年くらい格闘してたのが1次の「波動方程式」だ。 2変数関数u(x,t)があるとき、 ∂²u/∂x² = 1/c² ∂²u/∂t² を1次の波動方程式という。cは波の速さであり、なんでもいい。

2014-05-17 22:33:05
尿路結石おじさん @average33

自分が半年格闘してたのを、大学生なら1週間で理解しろってことだぜこの授業 半端なくない? えぇ…(ドン引き)

2014-05-17 22:34:42
尿路結石おじさん @average33

ともかく、なんか収まりつかないのでctという値を新しくTに置きなおそう。すると、 ∂²u/∂x² = ∂²u/∂T² と、すっきりした形になる。このように各変数の次元を揃える(場合によっては「無次元化」を行う)のも、偏微分方程式を解く上で重要な作業だ。

2014-05-17 22:38:00
尿路結石おじさん @average33

ここで、u(x,T)=f(x)*g(T)とおく。関数uを、xのみの関数f(x)と、Tのみの関数g(T)に分けるのだ。これを「変数分離法」と呼ぶ。 (fとgをなぜ掛けてるのか?足し算じゃだめなのか?他の形もありうるのでは?という人もいるだろうけど、重ね合わせの原理で説明はつく)

2014-05-17 22:40:55
尿路結石おじさん @average33

変数分離法を用いると、波動方程式は、 f''g=fg'' と、これまためちゃくちゃ簡単な形になる。 全体をfgで割ろう(どちらか片方が0の場合は解として面白くないので除外)。 f''/f = g''/g となる。

2014-05-17 22:43:41
尿路結石おじさん @average33

ここで、左辺はxのみの関数でTを含まず、 右辺はTのみの関数でxを含まない。 つまり、「両辺共々、xにもTにも関わらない、ただの定数である。この値をkとおく。」この考えは非常に重要である。

2014-05-17 22:47:21
尿路結石おじさん @average33

さて、こうすると、 f''=kf g''=kg という、2つの常微分方程式が出てくる。なんと、全く同じ形だ! これらは、見ての通り振り子などの方程式と同じだ。「kの値は正でも負でも全ての値をとる」ので、両方のパターンを考えよう。

2014-05-17 22:50:48
尿路結石おじさん @average33

kが正の場合は、f = Ae^(√k t)+Be^(√k t)となる。(双曲線関数を用いても良い。) kが負の場合は、f = Asin(√(-k)t)+Bcos(√(-k)t)となる。 初期条件によっては、前者の解は完全に0(定数)のままになったりもする。大切なのは後者の解だ。

2014-05-17 22:54:14
尿路結石おじさん @average33

解に三角関数含んでるから波動方程式って言うくらいなので、後者の解は重要だ。 つまり、波は、サイン波の重ね合わせである。という解が得られた。

2014-05-17 22:56:22
尿路結石おじさん @average33

そうだ、「重ね合わせの原理」について説明しよう。 偏微分にも線形性が成立する。先ほどの波動方程式のような斉次の偏微分方程式では、解p(t)とq(t)があるとき、 Ap(t)+Bp(t)も解となる。 解をA倍しようが、解同士を足そうが、それもまた微分方程式の解となるのだ。

2014-05-17 22:59:15
尿路結石おじさん @average33

この重ね合わせの原理があるので、u=f(x)+g(T)の形の解はそれほど考えなくても良い。u=f(x)g(T)の形の解を考えれば自ずとその形の解は含んでいるのだ。

2014-05-17 23:05:32
尿路結石おじさん @average33

話を戻す。√(-k) = ω_n と置こう。nは自然数だ。 つまり、先ほどの微分方程式の解は、 f_n = A_n sin(ω_n t) + B_n cos(ω_n t) となるような関数f_nを、 f_1 + f_2 + f_3 + … と足し合わせていったものである。

2014-05-17 23:08:45
尿路結石おじさん @average33

なんかさっきから変数tと置いてるけどごめんね ぜーんぶtじゃなくてxです

2014-05-17 23:09:48
尿路結石おじさん @average33

で、gの解も似たような感じなので、 u(x,T) = (f_1 + f_2 + …)*(g_1 + g_2 + …) っていう、項がめっっっっっっっっっっっっっっっちゃくちゃ多いのがこの微分方程式の一般解となる。お疲れ様です。

2014-05-17 23:12:23
尿路結石おじさん @average33

ということで解としてはまあ三角関数っぽいなあということがわかれば良い。 ここに初期条件を足せば、良い感じに関数が求まる。(といっても、初期条件が有限個だから結局無限個の解が出てくるけれど…)

2014-05-17 23:17:57
尿路結石おじさん @average33

ラプラス方程について。 ∂²u/∂x² + ∂²u/∂y² = 0 というのが2次元のラプラス方程式なのだが、これ実は y = ict と置くと、(iは虚数単位、cは波の速度)1次の波動方程式と何ら変わらない。解も同じ形をしている。

2014-05-17 23:23:16
尿路結石おじさん @average33

これらを拡張した、3次のラプラス方程式がいわゆる「シュレーディンガーの波動方程式」というやつなのだが、解く方針は変数分離法などを使うのでこれの応用に過ぎない。 ただ、u(r,θ,φ)という極座標から変数分離しているので計算は非常に煩雑なものである。

2014-05-17 23:26:37
リンク Wikipedia 水素原子におけるシュレーディンガー方程式の解 本項、水素原子におけるシュレーディンガー方程式の解(すいそげんしにおけるシュレーディンガーほうていしきのかい)では、ハミルトニアンが と書ける二粒子系の時間非依存なシュレーディンガー方程式の厳密解を解く(式中の記号の意味は後述)。 物理学的にはこれは、 粒子の波動関数を決定する事を意味する。正の電荷をもつ粒子と負の電荷がそれぞれ陽子と電子だとすればこの系は水素原子に相当するが、一般の価数の原子核を持つ1電子系多価イオン(水素様原子)の系も同一の方程式から解を導ける。この方程式は様々な教科書で取り上げられて
尿路結石おじさん @average33

それはさておき、熱伝導方程式について。 これは、 ∂²u/∂x² = α ∂u/∂t という形をしている。αは定数である。 波動方程式との違いは、右辺が1階微分ということくらいだ。

2014-05-17 23:28:52
尿路結石おじさん @average33

相変わらず変数分離法で解くと、 f''=kf αg'=kg の形になる。gのほうが1階の微分方程式なので、これの解は指数だ。

2014-05-17 23:30:28
尿路結石おじさん @average33

つまり、熱伝導方程式では時間変化について波ではなく指数的に変化する。(位置については相変わらず波動的に変化する。) 大雑把にいえば、e^(-λt)sin(ωx) みたいな形の解だ。

2014-05-17 23:33:23
尿路結石おじさん @average33

こういう2階2変数の偏微分方程式には一般形があり、 a∂²u/∂x² + 2b ∂²u/∂x∂y + c∂²u/∂y² + d ∂u/∂x + e ∂u/∂y +fu = 0 である。長いね! 判別式があり、D =b²-ac と置かれる。

2014-05-17 23:38:12
尿路結石おじさん @average33

ここで、 D > 0 は「双曲形」の偏微分方程式と呼ばれ、例として1次の「波動方程式」がある。 D = 0 は「放物形」の偏微分方程式と呼ばれ、例として1次の「熱伝導方程式」がある。  D < 0 は「楕円形」の偏微分方程式と呼ばれ、例として2次の「ラプラス方程式」がある。 

2014-05-17 23:45:00