細谷功著「象と鼻のしっぽ」(梧桐書院)を読んで、今朝またひとつ賢くならせてもらった。リチャード・ワーマン著、松岡正剛監訳/杉本俊雄・前田啓子訳「理解の秘密 マジカル・インストラクション」(NTT出版)とともに、この二冊はコミュニケーション論の名著だと思った。
2010-11-08 08:35:53細谷功氏は、コミュニケーションにまつわる人間の思考様式を科学的に解説し、ギャップが生まれるメカニズムを分析し、どうやったらコミュニケーションのイライラを解消できるかを明快に説いている。事象をとらえる人間の認識を「フィルター」というコンセプトで解説したのは秀逸なアイデアだと思う。
2010-11-08 08:35:46具体的には「土瓶の中からすくって食べる松茸が美味い」と思っている人と、「土瓶の口からおちょこに注いで飲む汁が美味い」と思っている人とがいて、実はその違いが明確になるとお互い一歩も譲らず大激論になるくらいの違いなのに、意見は一致していると誤解していることは非常に多い。
2010-11-08 08:35:39③について僕はよく「松茸の土瓶蒸し」を例に挙げていた。「あれ美味いですよねえ。」と言うとほとんどの人が同意するが、実はうなずいた人たちの間でまったく異なるものを頭に思い浮かべながら、自分たちはみんな同じ認識だと勘違いしている。
2010-11-08 08:35:32原因①と原因②は自分のコミュニケーションに対する心構えについてのことなので、一度このことに気づけば、自分の認識を改めコミュニケーションについて注意深くなることができ、なんとか改善していくことができる気がするが、原因③は相手の認識の問題がからむのでさらに厄介だ。
2010-11-08 08:35:25原因③「象の鼻としっぽ」を別々に見ている:同じものについて議論しているつもりでも、実はそれぞれが全然違う部分を見て議論していることが往々にしてある。
2010-11-08 08:35:19原因②「伝わっている」という幻想:人は勝手に「自分の伝えたことは相手に伝わっている」と思っているが、ほとんどの場合自分が思うほどには相手に全然伝わっていない。
2010-11-08 08:35:13原因①人間は例外なく自分中心:人にはそれまでの人生経験や知識からくる固有のものの見方があるが、私たちは往々にしてこのことを忘れ、他人も自分と同じものの考え方をして当然と思い込んでしまう。
2010-11-08 08:35:06ビジネスコンサルタントの細谷功氏は、コミュニケーション・ギャップは次の3つの原因に起因すると分析している。非常に鋭い分析だ。
2010-11-08 08:35:0019世紀のアイルランドを代表する劇作家ジョージ・バーナード・ショーも、コミュニケーション・ギャップについて次のように述べたそうだ。「コミュニケーションにおける最大の問題は、それが達成されたという幻想である。」
2010-11-08 08:34:48私たちの毎日はコミュニケーションの連続によって成り立っているが、しかしこのコミュニケーションというものは非常に厄介で、うまく相互伝達ができないことによって(コミュニケーション・ギャップ)様々なトラブルを抱えた経験は、ほぼ全員誰にでもあると思う。
2010-11-08 08:34:39