野田政権による慰安婦問題をめぐる対韓協議

野田政権期には慰安婦問題の解決のために、韓国とかなり踏み込んだ協議が行われていた。現在の安倍政権の対韓交渉にも影響を与えていることなのでまとめた。
7
猫bot @bakenekodotcom

2011年に韓国の憲法裁判所で慰安婦問題に関する韓国政府への違憲判決が出た後、李明博大統領は京都で当時の野田佳彦総理に解決に向けて交渉したい旨申し入れた。 しかし、朝生でびっくりしたのは、全くその後の展開に言及する人間がいなかったこと。というか、野田が交渉を断ったことになってた。

2014-06-03 08:26:22
猫bot @bakenekodotcom

ちょっと書いとこう。覚書的に。 これ、書いたからってどっちが正しかった、どっちが間違ってるって話にはならないんだけど、あまりにも広まってなさすぎる。そして、「あまりにも」と打ち込むと必ず「甘利にも」と変換される僕のPC。オバマ来日の際、TPP交渉についてツイートし過ぎたらしい。

2014-06-03 08:05:21
猫bot @bakenekodotcom

まず、野田が慰安婦について協議を拒否したってのは大嘘。 野田は結構すぐに協議に応じた。それもかなり真摯なものだった。はっきり言って、野田政権でなされた唯一のまともな行いなんじゃないかと思うくらいだ。 まぁ最終的にポシャッたが。

2014-05-31 05:14:26
猫bot @bakenekodotcom

野田政権は2011年9月に発足してすぐに韓国との関係強化を最優先課題の一つにした。 政調会長に就任したばかりの前原誠司は予算編成で日程が詰まっている中、韓国に飛んだり東京の韓国大使館で行われた学術大会に直接出向いたりと、おそらくその最前線で動いた。 この動きはかなり本気だった。

2014-05-31 05:20:50
猫bot @bakenekodotcom

そんな折、韓国が慰安婦問題を提起したことによって、野田政権の試みに黄信号がともったが、野田は何とか対応しようとしたのだろう。交渉に応じることになる。 しかし、交渉は極秘密裏に行われたように思われる。なぜなら殆ど報道されていないからだ。 管見の限りで一紙だけ報道した新聞があった。

2014-05-31 05:27:05
猫bot @bakenekodotcom

それは北海道新聞だ。 しかし、一度報道しただけで続報もなく、専門家の間でもこれが本当なのかどうか意見は分かれた。 和田春樹東大名誉教授は他にも情報源があったのかもしれないが、これが本当だと見抜き論稿で発表した。

2014-05-31 05:30:47
猫bot @bakenekodotcom

僕がこれを本当だと確信したのは大分あとで、野田政権がつぶれた直後の2013年2月22日。 朝日新聞のオピニオン欄かどこかに、李明博大統領の側近だった金泰孝氏がその旨発表したからだった。 では、交渉はどのような内容でどのように進められたのか。 そして、どのように終わったのか。

2014-06-03 08:41:15
猫bot @bakenekodotcom

まず、交渉の具体的な内容は李明博には伝わっておらず、日韓の交渉官の間で進められ、2012年6月までには合意の一歩手前ぐらいにはこぎつけていたという。 その内容は、日本が国家の責任を認め謝罪することと、国家予算から賠償金を支払うこと。 かなり踏み込んだ内容だった。

2014-05-31 05:39:27
猫bot @bakenekodotcom

この二つ、韓国が安倍政権に現在要求している内容と同じだが、実は、以前、日本が殆ど合意しかけていたのである。韓国が何の考えもなく高いハードルを安倍に押し付けたというわけではない。 連続性のある外交交渉においては、一度相手に譲歩の言質を与えれば、それを撤回するというのはかなり困難だ。

2014-05-31 05:42:05
猫bot @bakenekodotcom

しかし、合意には至らなかった。 しかも、その遠因は何と、2012年6月の日本における原子力基本法の改正だった。 何のことかと思うかもしれない。しかし、当時、同法改正に当たって何が騒がれたか思い出してみると腑に落ちる部分がある。

2014-05-31 05:45:27
猫bot @bakenekodotcom

同改正法の第二条第一項で「原子力利用の目的」に「国の安全保障」が加えられたことは、日本国内でも「核武装」への道を開くものではと騒がれた。 そして、この表現は韓国においても日本脅威論を惹起したのだった。

2014-06-03 08:08:08
猫bot @bakenekodotcom

当事、日韓の軍事協力を促進する秘密情報保護協定が日韓当局者の間で秘密裏に協議されていた。 しかし、実際にその存在が韓国国内で明かされると国民は猛反対した。 要因の一つは、日本の米国にある慰安婦記念碑撤去運動だったが、原子力基本法改正で生じた韓国国内の対日脅威論もその要因だった。

2014-06-03 08:10:04
猫bot @bakenekodotcom

結局、同協定は韓国のドタキャンによって締結に失敗する。 さらに日韓間の軋みの煽りをくって慰安婦問題に関する協議も停滞する。 8月10日、慰安婦問題に関する詳しい交渉内容を知らない李明博大統領は、「日本に慰安婦問題を解決させるために」竹島に向かった。

2014-05-31 06:00:27
猫bot @bakenekodotcom

李明博大統領が竹島に行った理由は、完全には明らかになっていない。 単純に日本に怒って報復しようとしたのかもしれない。 レームダック化する中での人気取りなのかもしれない。 本人は「慰安婦問題を解決するため」と言っている。

2014-06-03 08:44:55
猫bot @bakenekodotcom

勿論、論理的にはおかしい。こんなことで解決するわけないからだ。 しかし、後に李明博は、国家謝罪と予算からの賠償という、竹島上陸前に日韓の交渉官の間で行われていた慰安婦問題に関する協議の詳細を知り、 「これを知っていたら竹島には行かなかった」 と述べたという。

2014-05-31 06:06:58
猫bot @bakenekodotcom

実は李明博は、東日本大震災の直後、日本で教科書検定基準の発表の際に竹島問題が韓国にとって望ましくない扱いを受けるだろうと感じ取り、国務総理談話を通じて韓国国民に日本に対する自制を促したことがあった。 地震で苦境にある日本に対して韓国世論が激昂しないようにである。

2014-06-03 08:18:19
猫bot @bakenekodotcom

それだけに、この豹変ぶりは不可解で、単なる人気取りだけでは説明できないのではないかと思うが、 それはそれとして、日韓関係を決定的に悪化させたことの責めを李明博が逃れることはできないだろう。

2014-05-31 06:16:13
猫bot @bakenekodotcom

しかし、その関係悪化に対する危機感がうまく作用したのか、日韓間で慰安婦問題に関する交渉が再開されることとなる。 そして以前と同じ内容、つまり首相による謝罪と、予算からの賠償金捻出で合意する一歩手前まで行き着いた。 しかし、交渉内容とは全く関係ない理由で交渉は再び失敗に終わる。

2014-05-31 06:21:10
猫bot @bakenekodotcom

その理由とは、日本での衆院解散と民主党の大敗だ。 「正直者」であることを証明したかった野田首相は、度重なる野党の嘘つき呼ばわりに耐え兼ねて、党首討論で突然衆院を解散すると宣言する。 そして、歴史的大敗をもって民主党政権は幕を閉じた。

2014-05-31 06:25:12
猫bot @bakenekodotcom

その後、慰安婦問題に関する交渉を日韓のどちらから打ち切ったのかはわからない。 ただ、野田の後を引き継いだ安倍は河野談話見直しを掲げて首相の座に就いたのであり、そんな交渉に乗るはずもない。 愚問だろう。

2014-05-31 07:15:19
猫bot @bakenekodotcom

しかし、結局安倍も、オバマに国賓として訪日してもらうために慰安婦問題をめぐる交渉のテーブルに着かざるを得なかった。 そして、以前野田政権が韓国側に与えた譲歩を持て余しているというわけだ。 これ以下の決着はかなり難しいと考えられる。 さて、この先どうなるのやら。

2014-06-03 08:17:50