茂木健一郎(@kenichiromogi)さんの連続ツイート第1257回「マスコミの、定型性」

脳科学者・茂木健一郎さんの6月5日の連続ツイート。 本日は、今朝のニュースを見ていて思ったこと!
5
茂木健一郎 @kenichiromogi

連続ツイート1257回をお届けします。文章は、その場で即興で書いています。本日は、今朝のニュースを見ていて思ったこと!

2014-06-05 06:55:06
茂木健一郎 @kenichiromogi

まて(1)STAP細胞の主論文について、小保方晴子さんとバカンティ教授が撤回に同意した、そのことによって、ネイチャー誌の論文が二つとも撤回されることになり、STAP細胞の研究が白紙に戻ることになったと、各メディアが報じている。なんか、すげーえなあと思う。

2014-06-05 06:56:40
茂木健一郎 @kenichiromogi

まて(2)何がすげーえなあと思うかというと、日本のメディアの見事な保守性である。STAP細胞の第一報が出て、小保方晴子さんが割烹着で出てきたときには、「おーっ」と思った。小保方さんのキャラクターもあったのだろうけど、メディアの報じ方が、なにか、斬新だったのである。

2014-06-05 06:57:35
茂木健一郎 @kenichiromogi

まて(3)ところが、インターネット上でSTAP細胞論文について疑義が指摘されると(このことは、peer reviewとネットの検証の関係という、興味深い論点を提示している)、日本のメディアの報じ方は、伝統芸能というか、毎度おなじみの定型へと戻っていった。ぼくがすげーえなと思うのは

2014-06-05 06:59:00
茂木健一郎 @kenichiromogi

まて(4)その「保守性」である。事象が異なっても、結局同じパターンを繰り返しているのだ。何か「不祥事」が起こる。その背景には、規定だとか、ルールだとか、何らかの「基準」がある。「不祥事」は「基準」に抵触するというかたちで起こったのである。マスコミは、こぞってかき立てる。

2014-06-05 07:00:15
茂木健一郎 @kenichiromogi

まて(5)日本のメディアの伝統芸能は、ある事象が、「基準」に抵触したことを書き立てることである。その過程で、調査報道もあるが、基本的な世界観が、ある事象が「基準」に抵触したという、その枠組みにあることは変わりない。そして、その事象を、有権的に処理する「機関」が現れる。

2014-06-05 07:01:41
茂木健一郎 @kenichiromogi

まて(6)マスコミ報道は、「基準」抵触を書き立て、やがて、「機関」がその事象を処断する(人ならばクビにしたり、事業ならば停止したり)まで続ける。そして、その処断がなされると(当事者が辞任する場合もある)「一件落着」であって、マスコミはその目的を達成したことになる。

2014-06-05 07:02:54
茂木健一郎 @kenichiromogi

まて(7)STAP論文報道で新しかったのは「処断」をする主体がネイチャー誌という科学論文の編集部だった点。理化学研究所による処分は、従来のパターンんお見事な踏襲である。とにかく、マスコミは、「基準」抵触を書き立て続け、ネイチャーないしは理研が処断する時点で「一件落着」なのである。

2014-06-05 07:04:20
茂木健一郎 @kenichiromogi

まて(8)さて、報じられるニュースによれば、ネイチャー編集部はバカンティ教授に自主的撤回を打診した。強制的に撤回されることは不名誉だという。ここに、日本のマスコミの伝統芸能の「エンドゲーム」の条件の一つが満たされた。残るは、理化学研究所の「処断」だけだ。

2014-06-05 07:05:36
茂木健一郎 @kenichiromogi

まて(9)つくづくすげーえなと思う。日本のマスコミの伝統芸能。その「型」が、STAP細胞論文という、科学的にも社会的にもきわめて面白い「新しい事象」にも適用される慣性の法則は、実に瞠目すべきものだった。ところで、処分で一件落着という型の外に、本当に面白いことはあるように思う。

2014-06-05 07:07:13
茂木健一郎 @kenichiromogi

以上、連続ツイート1257回「マスコミの、定型性」でした。

2014-06-05 07:07:54