榊一郎氏の「エンターテイメント作品における「リアリティ」の話」

ラノベ作家 榊一郎先生のエンターテイメント作品における「リアリティ」についてのつぶやき
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榊一郎@来年のスケジュールを模索中♪ @ichiro_sakaki

なんかリアリティの話を何人かの人が気にしておられるようなので詳細を。創作物におけるリアリティ(現実味)と、研究資料などのリアル(真実)とは似て非なるものな訳ですが、意外にこれを同一視している人が多いと。創作物の中に含有される真実の割合が多ければ多い程にリアリティが増すとか、

2014-06-08 11:51:02
榊一郎@来年のスケジュールを模索中♪ @ichiro_sakaki

そう単純なもんでもないんじゃないの? という。先のRTにあった「本当の薄さに準拠した服の襟のCG表現」が「ぺらぺらに見えてリアルじゃないと見えてしまう」のも多分同様で、人間は服の襟について、視覚だけじゃなくて、大抵は手触りでも認識しているから、

2014-06-08 11:53:22
榊一郎@来年のスケジュールを模索中♪ @ichiro_sakaki

服の襟、つまりは布の事を、「紙よりは分厚く存在感がある」と認識、更に言えば「紙よりも布は頑丈」「頑丈とは即ち分厚い事」みたいな諸々――半ば無意識の経験則や知識からの判断で、「現実の布よりも何となく分厚いもの」という印象を持っているのではないか、とか。

2014-06-08 11:55:12
榊一郎@来年のスケジュールを模索中♪ @ichiro_sakaki

つまり、自分が五感で感じ取れる身近な「現実」の存在感は、視覚以外の情報も混ざってくる為、それを逆に「視覚だけで表現しようとする」と、他の情報も「盛って」しまう様なもので、どうしても分厚くなると。

2014-06-08 11:57:14
榊一郎@来年のスケジュールを模索中♪ @ichiro_sakaki

逆に、視覚知識で知っていても、現実にそれに「触れた」事の無い――五感でそれを感じた事の無い人にとっては、恐らく「現実のママの3DCGでもそれらしく見える」のではないかなあと。具体的には大抵の人にとっての、兵器とか、あるいはドラゴンみたいな架空生物。宇宙船等。

2014-06-08 12:00:49
榊一郎@来年のスケジュールを模索中♪ @ichiro_sakaki

その上で、それらのリアリティを補完する上で、「それそのものではないけど、視る人の近くにあって、理解の上で応用がきく」ものが、補助として添えられていると、途端にリアリティが増すんじゃないかなあとか。例えば、スターウォーズで出てきた、配管やら何やら剥き出しの宇宙船、

2014-06-08 12:02:45
榊一郎@来年のスケジュールを模索中♪ @ichiro_sakaki

あれって、スターウォーズ以前のSF映画って、あんまりああいう「ごてごて感」無かった印象。例えばスタートレックのエンタープライズ号とか(TV版ね)。ただ、流線型ののっぺりした宇宙船表現が主流だった時代に、いかにも「視聴者が視て分かる工業製品」ぽい記号が山の様にくっつけられた

2014-06-08 12:04:29
榊一郎@来年のスケジュールを模索中♪ @ichiro_sakaki

スターウォーズの宇宙船は、圧倒的な「リアリティ」=「本当にありそうに見える」感があった。でもって以後、ああいう宇宙船描写が増えて、結局、スタートレックですら新作で、そういうデザインが取り込まれ始めてるのは御存知の通り。つまり、スターウォーズで育ってきた世代にとって、

2014-06-08 12:06:12
榊一郎@来年のスケジュールを模索中♪ @ichiro_sakaki

「宇宙船のリアリティってこういうもの」的な刷り込みがある程度行われた結果、「リアリティ」の判断が、そっち側に寄ってきてんじゃないかとか。確かスタートレックの映画版の第一作だったか、SF考証とデザイナーさん達が考えた「23世紀の艦橋」ってのがあったのだけど、

2014-06-08 12:08:20
榊一郎@来年のスケジュールを模索中♪ @ichiro_sakaki

殆どがタッチパネルや何やで占められていてやたら凹凸に乏しいデザインになったと。しかし、脚本家や監督の要望で、「非常時にスコット機関長がレバーに身体全体でしがみついてくれないと、緊迫感が出ない」とかそんな理由で、敢えて、機械式スイッチを大量に造ったとか。これも「リアリティ」ですね。

2014-06-08 12:09:57
榊一郎@来年のスケジュールを模索中♪ @ichiro_sakaki

要は、エンターテイメント作品における「リアリティ」とは、お客さんが白けない為の雰囲気作りが最優先であって、逆に言えば大多数のお客さんが「なにこれ?」と戸惑うばかりで、ごく一部の知識と、高い考証力を持った専門家しか「なるほど!」と膝をうたないような表現は、リアルではあっても、

2014-06-08 12:12:03
榊一郎@来年のスケジュールを模索中♪ @ichiro_sakaki

リアリティ表現としては失敗してる、と考える事が出来る訳ですよ。勿論、その「一般の圧倒的多数のお客さん」の知識と考証力をどの辺りに設定するのか、これはもうターゲットたる客層と、時代や国によっても違ってくるので、そこをどう判断するかが問題になる訳ですが、少なくとも、

2014-06-08 12:13:39
榊一郎@来年のスケジュールを模索中♪ @ichiro_sakaki

一時期の某ビデオシリーズにあったような「銃オタは喜ぶけど、一般人的には本当にどうでもいい表現」をやたら強調していた表現手法は、銃オタにのみ売る積もりであったのならば問題は無い(事実私は喜んで視てた)けれど、まあ、一般には売れたりはせんだろうなあと。リアル、が足を引っ張るというか。

2014-06-08 12:16:01
榊一郎@来年のスケジュールを模索中♪ @ichiro_sakaki

事ほど左様に、リアルとリアリティは似て非なるもの、リアリティとはお客さんに向けての技法が生み出す空気であって、イコールで必ずしも結ばれるもんじゃねえですよ、という、結論からいえばただそれだけのつまらん話ですが。おそまつ。

2014-06-08 12:17:39