都市伝説上のエアガイツ仮面
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その後、風の噂でRを大阪のコーハツだとか、基盤屋で見たって話だけは聞いた。 俺はもうゲーセンに行くことは二度とないと思うけど、でもさ、俺もたまーに思うんだよな。 あの時逃げないで、エアガイツ仮面にワンクレ奢られてたら、どうなってたんだろう、ってな…… fin
2014-06-11 15:31:18エアガイツ仮面は概念
エアガイツ仮面は西のエアガイツ仮面が生まれるまでは名前のない概念だった。光がなければ影が生まれないように、ただ世界を漂うガスのような概念だったそれに「西のエアガイツ仮面」が意味を与えた。
2014-06-11 23:07:24夏のエアガイツ怖い話拡大版
「格ゲーはシステムの複雑化とやたら長いコンボが衰退の原因」 「ねえたかし、何やってるの?別の女とメールじゃないでしょうね」 「ちげーよ、ちょっと呟いただけだよ」 「あ、これ、マズいよ」 「マズいって、何が」 「こういうの、来るらしいよ」 「だから何が」 「エアガイツ仮面」
2014-06-12 11:11:38「バッカお前あんなの都市伝説だろ」 「それがね、アケミの彼氏が同じように最近の格ゲーをdisったらしいんだよね、そしたら」 「粘着リプでも飛んできたのか?」 「そうじゃなくて、なんかURLが飛んできたらしくて」 「は?スパムってこと?」 「わかんないけど、クリックしちゃって」
2014-06-12 11:13:24「個人情報でも抜かれたのか」 「じゃなくて、なんかね、そのサイト、質問が書いてあるんだって」 「質問?」 「答えていくと、どんどん扉が開いて行って、最後には…」 「っんだよバカらしいタダの怪談かy、ん?なんだこのリプ」 『今の各ゲーにうんざりしていますか?』
2014-06-12 11:15:24「ハハハ、これかー、どれどれ」 「ひっ、た、たけし、やめなよ!」 「バッカこういうのはノリだろ、はい、っと」 『コンボが長いのが嫌ですか?』 「はい、っと」 『初心者でも上級者と戦えるシステムがほしい?』 「あるならねー、っと」 『タダでできるなら一度やってみたい』 「ん?」
2014-06-12 11:17:07『一度やったら楽しさがわかるはず』 『東京でも大阪でも、名古屋でもできる』 「お、おいなんだよこれ、おかしいぞ、もう俺はクリックしてないぞ」 『大丈夫、ちゃんと教えてあげるよ』 『今から迎えに行くからね』 『さあ、エアガイツをやろう』 「ひっ…!?」 「た、たけし!?」
2014-06-12 11:19:17「ええ、じゃあ彼氏が虚ろな目をして部屋を出ていったきりだと」 「はい」 「おかしなサイトねぇ。お嬢さん、まさかとは思うけど、薬物とか」 「やってませんよ!あ、あれです!エアガイツ仮面です!」 「はぁ、最近多いんだよねそれ」 「え?」 「いやね、エアガイツ仮面にさらわれたって」
2014-06-12 11:21:13「まあ、捜査はしますよ、エアガイツの合間にね」 「……え?」 「失礼、これからミカドに行くもんで、続きはまた後日」 「ちょ、ちょっと」 「え、なんですか、お嬢さん…一緒に来ます?そうですよね、彼氏だけなんてズルいですもんねじゃあ行きましょう楽しいですよ」 『エアガイツ』 fin
2014-06-12 11:22:53仮面さん
これはね、私の友達の話なんですけど、彼はゲームセンターを巡るのが趣味でして、まあそんなに地方までは行かないんですけど、レアなゲームが稼働してるって聞くと割りと遠出までする奴なんですよ。 その彼がある日、大阪にそういうゲーセンがあるって話を聞きつけて、南森町に行ったんだそうです。
2014-08-09 21:09:23そこはアーケードの中にあって、そんなに大きくはないんですが、大阪ではそこそこ見かけるスタイルですかね。そこで見たんだそうです。ネシカやALLネットに挟まれるように動いている、ちょっと荒いポリゴンのゲームを。 でもね、彼はまだ二十そこそこ、それがなんだかよくわかってなかったんです。
2014-08-09 21:10:52デモ画面をぼーっと見てると、その筐体の横に張り紙があるって気づいたんですね。「対戦会開催」ってね。彼は携帯を見ます。日付は奇しくも今日。この後、この場所で、このゲームの対戦会があるっていうんです。 こいつは珍しいってんで、ツイッターを開いて、「なんか知らないゲームの対戦会だって」
2014-08-09 21:12:21そう書き込んだ直後、通知欄に1の文字。 ゲーム仲間からかな?と思ってタップした彼の目に飛び込んできたのは 「私、エアガイツ仮面、今、新幹線に乗ったの」 おかしいです。 彼のフォロワーではないですし、そもそもIDが表示されていません。 なんだろうと思っていたら、少ししてまた1、と。
2014-08-09 21:13:50「私、エアガイツ仮面、今、新横浜にいるの」 おかしいですよね、前のつぶやきから10分とたっていません。 そう思っているうちにまた1. 「私、エアガイツ仮面、今、名古屋にいるの」 今度は5分もたっていません。 読み終わると同時にまた1。 「私、エアガイツ仮面、今、京都にいるの」
2014-08-09 21:15:14そこからはもう半狂乱です。 「私、エアガイツ仮面。今、新大阪にいるの」 「今、梅田にいるの」 「今、東梅田ってとこにいるの」 「今、大阪駅に戻ってきたの」 「今、本町にいるの」 「今、谷町六・・・あれ、九丁目?」 数秒おきにリプライがずーーーーっと飛んでくるんです。
2014-08-09 21:16:52彼はもうタップするのをやめて、ツイッターの画面を閉じました。最後に見た時、通知欄には80の文字がありました。 なんだったんだろう、彼がため息をつくと、突然携帯が震えました。 電話です。 彼はやめよう、絶対に危ないと思いながら、受話ボタンを押してしまいました。
2014-08-09 21:18:41「私、エアガイツ仮面。店長にお金払っておいたから、ゆっくり遊んでね」 それだけ言い残すと、電話は切れたそうです。 呆然と筐体を見ると、そこにはさっきまでなかった「フリープレイ中」の貼り紙が。 彼は転げるように店を出て、飲み物を買ってきてから思う存分エアガイツしたそうです……
2014-08-09 21:20:31エアガイツ怖い
「くっそー!また負けたァ!!」 「んだよチクショウ!」 「っざけんなよ今のナシだわ!」 ゲームセンターに響き渡るのは、敗者の叫びである。 それは同時多発的に、全く別々の筐体から上がったものだったが、フシギなことにその後、その声の主達はほぼ同時に間の抜けた声を出した。 「え?」
2014-09-10 23:43:39負けた彼らとてゲームセンターに集う紳士。アツくなってもマナーは忘れない。 それゆえ全員が連コを控え、一旦席を立っていた。 そして、これもまあ良くあることなのだが、それとなーく自分を無様に立たせた相手を見ようと試みたのだ。 もちろん、あからさまに見るのではなく、横目でちらり、と。
2014-09-10 23:45:35そして揃ったのが先程の声である。 何があったか。 何も無かった。 そう、自分たちを負かしたはずの、対戦台の向かいの椅子の、その場所に。 何も無かったのだ。 もちろん、そこから誰かが立ち去るのも見ていないので、捨てゲーではない。 CPUの乱入演出でもありはしない。
2014-09-10 23:46:52プレイヤーたちは首をかしげるが、事実としてそこには誰もいない。何も無い。 そして彼らは結論付けて精神の安定を保つしかなかった。何かの間違いである、と。 しかし、そんな努力も空しく、その不思議な現象は何度か続いた。 特にそのゲームをやりこんでいると自負する者が座るほど多く起きた。
2014-09-10 23:49:00